編集者・渡部かおりの「かわいい」ゼミナール Vol.2 女子が似合うスニーカー

編集者・渡部かおりの「かわいい」ゼミナール Vol.2 女子が似合うスニーカー

「かわいい」。その言葉に理屈はない。直感で、右脳で。人は日々の生活の中で「かわいい」ヒトやモノ、コトを見つけて、思い、言葉にし、愛でる。それはきっと、好きのはじまり。だから「かわいい」は正義であり、哲学である。この連載ではファッションを通じて、女性の暮らしや生き方を通じて「かわいい」を追求し、その言葉の背景をとことん掘り起こして研究します。そこには、GINZA ガールズの背中をおす大切ななにかがあると信じて。さあ、「かわいい」ゼミナール、開講のお時間です!


—気楽さが導く、かわいいについて—

普段履きするスニーカー

随分と唐突ではあるが、皆さんはスニーカーがお好きだろうか?私は冠婚葬祭などの特例を省き、ほぼ毎日、365日、スニーカーを履いている。日常はもちろんのこと、世界中のファッション猛者が集結するパリコレクションでさえ。とびきり華奢で美しいピンヒールで優雅に歩く人々の横を、〈VANS〉の「オーセンティック」でのしのし歩いて取材している。そして、そんな自分をわりと好きでもある。
ハイブランドのものは履かず、コラボものにもあまり手をつけず、スニーカーブランドのインラインものばかりを愛用中だ。つまり、欲せばいつでもどこでもわりと楽に手に入るものを好んで履いているし、値段も手頃なものばかりだ。履き込んで壊れたら、同じシリーズのものをまた買う。定番であり、消耗品でもあるのだ。なにも限定品や超高級品やトレンド最先端だけが「かわいい」わけではない。世の中に大きく開かれたファッション、みんなのファッションこそ奥深い。そんな気持ちでスニーカーを愛している。

最近では、職場でのヒール、パンプスの強制をなくしたいという#KuToo運動、スニーカーでの就職活動を認めることをキャンペーンにした、ジョンソン・エンド・ジョンソンの#スニ活もニュースになった。そうだ、洋服はここ10年の間に大きく流れが変わった。ウエストを締め上げるコルセットもベルトも主流ではないし、動きやすくて着心地のいいことを最優先する「エフォートレスウエア」という言葉も生まれた。靴だって、ぎゅうぎゅうと細いパンプスに押し込めて、足首を細く見せるために痛い思いをしてまで、ヒールばかりを履かなくてもいいじゃないか。「おしゃれは見栄とやせ我慢」はきっと、もう古い。はき心地がよくて、「かわいい」スニーカーなら、無理なく自分らしくどこまでも歩ける。そんな心持ちや振る舞いが、その人本来の「かわいい」をしっかり支えてくれると思う。

発売日に、レアな一足を求めて長い行列をなす男性の情熱に敬意を表しつつも、今回は女性に似合うスニーカーについて考えた。よって、見ての通り、決してとびきりにキャッチーで写真映えするものではないかもしれない。でも、ワンピースやスカートに合わせると「かわいい」ことを条件に、定番の形を中心に、自称「スニーカー女子」として、変わることなく愛し続ける3ブランドからスニーカーを紹介したい。

 

ADIDAS

愛しの3本線(スリーストライプ)、〈adidas〉。3本線を主張したデザインの「キャンパス」を、”キング・オブ・スニーカー”と呼んでおり、靴箱に6足ストックしてある。デビューは1983年。ビースティボーイズはじめ、多くのアーティストが愛用したことで知られるが、とにかくどんな格好にも合わせやすい。アッパーがスエード素材ゆえ、どことなく品もあり、オールインワンだろうが、マルチカラーの花柄ドレスだろうが、ジャケットだろうが、「キャンパス」は、今日はそんな気分ね、了解!と大きな心で受け止めてくれる(気がする)。今季は80年代に誕生したZXシリーズに最新テクノロジーを投じてアップデートした(ZX トルション)もおすすめ。こちらはベージュのワントーンスタイルなど、シックな着こなしにこそ合わせたい一足。

 

NIKE

夏がもう終わろうとしているが、猛暑の街を少しでもハッピーに歩くため、過酷な撮影現場をこなすため、今年も「エアリフト」ばかりを履いた。証拠写真をお見せするが、「エアリフト」焼けが私の定番。毎年、猛暑の中心で〈NIKE〉愛を叫んでいる。オーセンティックで無駄な装飾のない「エア フォース 1’07」は若手の編集者、スタイリストの女の子たちに人気。太めのカラーパンツや、柄もののハーフパンツに合わせていてとても「かわいい」。適度なボリュームで、女性の華奢なふくらはぎと相性がいいと思っている一足だ。これからの季節にはミニ丈のスカート+タイツなんかにもよさそう。「エア マックス 270 リアクト」はポップなウィメンズカラーを選んだ。足の甲とサイドのスウォッシュ近辺が透けている。分厚いソックスとの合わせ方を存分に楽しみたいところ。

 

VANS

履きつぶしては買い、履きつぶしては買い、これまでもこれからも一体、どれだけの〈VANS〉を履くのだろうか。80歳になっても〈VANS〉のカラフルな「オーセンティック」や「スケートハイ」、「スリッポン チェック」が似合う人でありたいと思う。私の周りには幸運なことに、自由で果敢でチェーミングな女性の先輩がたくさんいるのだが、黒基調の〈VANS〉スニーカーの愛用率がとても高い。旬のトレンドや個性的なヴィンテージのアイテムを着るけれど足元は〈VANS〉だよ、というバランスに今の「かわいい」を見出している。「今日、スニーカーお揃いですね!」なんて会話が弾みやすいのも〈VANS〉のいいところである。

今回はちょっと授業時間をオーバー(早い話が長文)してしまいました。よって宿題はなし。その代わり、明日はワンピースとスニーカーで、街へ出てみてください。今日は、ここまで。

渡部かおり わたなべ・かおり

編集者・ライター。編集プロダクションFW(フォワード)主宰(info@forward-fashion.co.jp)。GINZAをはじめ、様々な女性ファッション誌で編集と執筆の両方を担当するほか、広告のビジュアル制作、ブランドのリブランディングなど。近著は『英国ロイヤルスタイル』(クレイヴィス刊)「この連載のイラストは同姓同名の相棒、foxco、渡邉香織さんにお願いしました!」

photo:kaori ohuchi  Illustratin: foxco

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