川端康成の短編小説「無言」を原作にした映画音楽の巨匠アレクサンドル・デスプラによる新作オペラ「サイレンス」が2020年1月に京都と横浜で初演される。〈ヴァレンティノ〉のクリエイティブディレクターによる衣装など、あらゆるジャンルのトップアーティストが集結する世界最高峰の現代オペラに注目が集まっている。
川端康成生誕120周年記念、映画音楽の巨匠による新感覚オペラが日本初演
川端康成の小説にインスパイア
アカデミー受賞作曲家によるスペシャルオペラ
「ハリー・ポッターと死の秘宝」、「英 国王のスピーチ」などの作曲で知られ、「グランド・ブダペスト・ホテル」「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞作曲賞を受賞するなど、映画音楽の巨匠 アレクサンドル・デスプラ。
「サイレンス」は大の日本びいきで日本通でもあるデスプラが、2019年に生誕120周年を迎えた小説家・川端康成の小説にインスピレーションを受け、満を持して書き下ろした初の室内オペラ。デスプラの公私にわたるパートナーであるソルレイ(ドミニク・ルモニエ)との共作であり、2019年2月にルクセンブルクで世界初演。
3月にパリで上演され絶賛された。
本作は、ルクセンブルクを拠点とするアンサンブル「アンサンブル・ルシリン」の演奏や、〈ヴァレンティノ〉のクリエイティブ・ディレクター、ピエールパオロ・ピッチョーリによる衣裳、フランスで活躍する永田鉄男が撮影監督を務めた映像などスペシャルなコラボレーションも話題だ。
2020年1月にこのオペラの日本初演が早くも実現する。今回はデスプラ自身が指揮し、横浜と京都でそれぞれ1回ずつ上演される。これまでにない新感覚のオペラにぜひ足を運んで。
■川端康成『無言』について
『伊豆の踊子』『雪国』『古都』などの代表作をはじめ、大正から昭和の時代にかけて活躍した近代日本文学界を代表する作家のひとり。『無言』は、主人公が病気にかかった小説家を見舞いに行った帰り道のトンネルのタクシー内で、女性の霊に遭遇するという怪談話が軸になっている。彼の作品の多くに通じる幻想的な心霊の世界観が凝縮されている作品。物語に登場する病を患った小説家と、デスプラの公私にわたる長年のパートナーであるソルレイ(台本・演出・映像で本作に参加)に起こった出来事(ヴァイオリニストであるソルレイの片手が不自由になったこと)が重なり、舞台化に繋がった。テーマとして掲げられた「表現する手段を失った芸術家は、その後どう生きていくのか」 という視点からも『無言』の世界を楽しめる。
*ちくま文庫刊『川端康成集 片腕―文豪怪談傑作選』に収録
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アレクサンドル・デスプラ
フランス/パリ出身。映画音楽の作曲家としてヨーロッパのアート作品からハリウッド大作まで幅広く手がけ、グラミー賞、ゴールデングローブ賞等で音楽賞を多数受賞している。2005年、『真夜中のピアニスト』でベルリン国際映画祭銀熊賞とセザール賞を受賞した。また、2006年 の『クィーン』、2008 年の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、2010年の『英国王のスピーチ』でアカデミー賞にノミネートされている。2014年の『グランド・ブダペスト・ホテル』でアカデミー 賞を初受賞。2018年『シェイプ・オブ・ウォーター』はゴールデングローブ賞最優秀作曲賞、アカデミー賞作曲賞を受賞。
ボーダーレス室内オペラ/川端康成生誕 120 周年記念作品
「サイレンス」
■原作: 川端康成「無言」(『中央公論』1953年4月号初出)、作曲指揮: アレクサンドル・デスプラ 台本: アレクサンドル・デスプラ/ソルレイ 、演出・映像: ソルレイ、 美術・照明: エリック・ソワイエ、衣装: ピエールパオロ・ピッチョーリ、演奏: アンサンブル・ルシリン、出演: ジュディス・ファー(ソプラノ) ロマン・ボックラー(バリトン)、ローラン・ストッカー(コメディーフランセーズ/語り)
京都公演
日時: 2020年1月18日(土)18:00開演(17:30開場)
会場: ロームシアター京都 サウスホール
https://rohmtheatrekyoto.jp/lp/silence_kyoto/
チケット料金: 一般 ¥6,000 、ユース(25 歳以下)¥3,000
チケット発売中
問合せ: ロームシアター京都チケットカウンター 075-746-3201
https://www.e-get.jp/kyoto/pt/&s=20011841rr(オンラインチケット)
横浜公演
日時: 2020年1月25日(土) 14:00 開演 (13:00 開場)
会場: 神奈川県立音楽堂
https://www.kanagawa-ongakudo.com/
入場料金:
全席指定(税込)
一般: ¥6,000 シルバー(65 歳以上): ¥5,500 、学生(24歳以下): ¥3,000 *シルバー・学生席はチケットかながわのみ取り扱い。
チケット取り扱い: チケットかながわ https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/ 0570-015-415(10:00~18:00)、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット
*車椅子席有り(付添 1名無料)*未就学児童の入場はご遠慮ください。託児サービス有り。
問合せ: チケットかながわ 0570-015-415 (10:00~18:00)
Text&Edit: Hiroko Chihara