20 Jun 2022
時の流れを感じさせる石や土【手のひらサイズの世界】

きっと大切なのは、大きさではなく濃度。片手に乗るアイテムに凝縮された作り手の愛や物語は、暮らしに斬新な視点をもたらす。素材ごとに集合したあれこれを覗き込めば、いつの間にか、仲間入りした気分に。日常から非日常へと誘うシュールなパラレルワールドへようこそ!
時の流れを感じさせる石や土が織りなすのは
スモールキングダム
1 南米ペルー、アンデスの山で採掘された石から、ひとつひとつ職人が切り出し加工を施し7種類のピースが完成。天青石・蛇紋石・碧玉・滑石などがランダムで使われ、天然石ならではの質感と配色はムードたっぷり。完成させて飾るだけでなく、お気に入りのかたち、色、模様をピックアップして楽しむのもよし。ストーンゲームス H4.5×W4.5×D4.5cm*出来上がりサイズ ¥16,280(ディー・エー・アール プロイェクトス | ウサギノネドコ オンラインストア)
2 フランスの菓子「ガレット・デ・ロワ」のなかに隠す磁器製の飾り、仏語で空豆を意味する“フェーブ”。誰もが知っている国民的ミニチュアだ。毎年1月にホール型のケーキを切り分け、これが入っているケーキに当たった人は1年が幸運になるという愉快な風習も。専門職人による精巧なつくりと質の高さに定評があるフェーブ専門のプリーム社からの直輸入品。食品に入れてよい認可のある塗料だけで作られる。フェーブ 貴族の靴*10ピース 約H1.5×W2.8×D1cm ¥4,400(プリーム | レザべイユ南青山)
3 ルビーのようなヴィヴィッドな赤!ひとつとして同じものがない素材を活かしたマーブル模様のせいか、毒っ気も感じられてエレガント。枝はリアルに再現されて、底は平らで安定しているから飾りやすい。サイドテーブルに常備すれば、読みかけの雑誌からしばし離れるときページをマークできる。ホワイトやブラウン、グリーンもある。マーブルアップル レッド スモール φ5×H7cm ¥1,980(ディテール)
4 中国で陶芸を学び、ロンドンを拠点に活躍する日本人作家によるミニチュア陶芸作品。一瞬、目を疑う親指サイズでありながら、ろくろで製作されているというから驚く。独創的なアイデアだけでなく、卓越した技術がなければこの大きさは実現不可能。オリジナルの釉薬による色のニュアンスも美しくそれぞれ一点もの。買ってきたお花から切り分けた細い枝の花をちょこんと生けてもいいし、花瓶だけでも部屋のなかのアートに。花瓶 S 約H3cm ¥4,980/M 約H7cm ¥6,050(共にユウタ セガワ | アイムオーケー)
5 豊潤なワインやオイルはフレッシュなまま味わいたい。そんなときに役立つのがこちら。コルクに付いた陶器の骸骨は、ハンドクラフトによるアンバランスな顔つきで、キッチンや食卓に程よくゴシックな雰囲気を醸し出す。バロック時代の宮中生活がアイデアソース。ボトルストッパー H7×W3×D4cm ¥9,350(クーン・ケラミック | エイチ・ピー・デコ)
6 創業100年以上の歴史を持つテーブルウェアブランドNIKKOが、アーカイヴのなかからタイムレスに活躍するアイテムを選抜したコレクション「REMASTERED」。約30年前に中華料理用の小皿としてデザインされたスパイス皿は、真ん中に仕切りをつけて2種類の調味料をセパレート。混ぜずに、ちょんちょんとしたい人、いるはず。辛いも甘いも酸っぱいも、好みの組み合わせでハーフアンドハーフに。スパイスディッシュ6 φ6×H2cm 各¥1,540(ロスト アンド ファウンド | ロスト アンド ファウンド トウキョウ ストア)
7 大理石の卵の置物は、人から人へ受け継がれてきたヴィンテージ。よくよく眺めると不思議に思えてくる絶妙な楕円形。キリスト教で卵は生命の象徴とも考えられ、イースター祭でイラストを施すなど、歴史的に見ても装飾品にも長く扱われてきたモチーフ。新しいものから中古まで、国籍を問わず店主の独自の視点で集めてきた物を放出する、ガレージセールのようなウェブショップには、手のひらサイズの素敵な小物が多数。イタリアンマーブルエッグ φ3.9cm ¥3,300(ガフールクレヴェリグ)
8 吸湿性の高い珪藻土でつくられた調湿剤は、土の特性を活用したナチュラルなもの。塩や砂糖など調味料がサラサラに保てて、食べ切れなかったお菓子などシケやすい食材と一緒に保存容器に入れると、味わいキープ。パステルな色味は自然由来。リサイクル性も高く環境にやさしいのもポイント高め。巻貝のフォルムは置物としても優秀。ドライングオブジェ スパイラル グリーン H4×W7×D3.2cm ¥1,430(ソイル)
*記事は2022年4月12日時点の情報です。現在は価格や在庫内容等が変更となっている場合があります。
Photo: Wataru Kitao Text&Edit: Yoshikatsu Yamato (kontakt)
GINZA2022年5月号掲載