『拡張するファッション』から10年。「here and there」編集者、ジャーナリストの林央子の待望の書き下ろし『つくる理由』が発売された。90年代終盤から書いてきたものを集め、14年には美術展にもなった前作の刊行以降、10年の間に著者を動かすモチベーションとなったのは、“つくる理由”を共に探ることができるアーティストたちの言葉だったという。
現代アーティストの青木陵子から始まる取材は、竹村京、居相大輝、 山下陽光、PUGMENT(パグメント)、田村友一郎、L PACK.(エルパック)、金氏徹平、志村信裕へと続く。こうした同時代を生きる表現者との対話の記録は、アート、ファッションというカテゴリの枠にはめることなく綴られる。
装丁を手がけるのは、2017年に行われた、東京藝術大学公開講座(担当教員:竹村京)、林央子レクチャーシリーズ「つくる理由」のフライヤーをデザインした小池アイ子。表紙のモチーフとなったTシャツは、古着をリメイクし、あえて低価格で販売する、山下陽光による「途中でやめる」のもので、著者の私物だそう。