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山田孝之の『勇者ヨシヒコ』も。真剣にふざけ切ることの痛快さ。脚本家・福田雄一の心に残るドラマ

山田孝之の『勇者ヨシヒコ』も。真剣にふざけ切ることの痛快さ。脚本家・福田雄一の心に残るドラマ

実力派の脚本家たちにより優れた作品が次々と生み出されている、 近年の日本ドラマ界。書き手の名で番組を選ぶという人も少なくない。今回はなみいる名手の中から、オリジナル脚本を得意とする人物をピックアップ。テレビドラマに造詣が深い岡室美奈子さんに、 各作家の見どころとおすすめの作品について語ってもらいました。

File 05:
福田雄一

福田雄一

ここがスゴい!
☐テレビドラマを
自由にした脚本家!
☐自意識過剰な
キャラクターに潜む“志”
☐常連俳優たちの
真剣にふざけた演技


アオイホノオ
『アオイホノオ』第11話。初めてモユルの原稿が載った漫画雑誌に、 同級生の庵野がサインを求める。プロとしてのスタートラインに立った瞬間。

焔(心の声) 庵野 「なんだろ、手放しで喜べん。夢にまで見たデビューなのに」 「思っていたほど嬉しくないだろう。何故だかわかるか?すぐに、認められたらすぐに、プロとしての責任感とそれに対する不安が襲ってくるからさ」

───────『アオイホノオ』11話より

え!テレビドラマでこんなことやっていいの?福田雄一さんのドラマでは、俳優や制作陣が一緒になってふざけて面白い作品を作り出そうという空気がうかがえます。『アオイホノオ』を見た時は本当にびっくりしました。主人公の焔モユル(柳楽優弥)が漫画家デビューを目指す作品なんですが、フィクションの物語の中に何名か実在の人物が登場していて、その描き方がとにかく面白い。特に後にアニメスタジオのガイナックス社長となる岡田トシオ(濱田岳)の要塞みたいな家を庵野ヒデアキ(安田顕)らと訪ねるシーンは、遊びが度を超していて、お腹を抱えて笑いました。その一方で、漫画家になりたくてジタバタする焔くんの姿を通して、ものを作るとはどういうことかをきっちり描いています。

福田さんの自由さがいかんなく発揮されているのが『勇者ヨシヒコ』シリーズです。ヨシヒコ(山田孝之)が魔王を倒すために仲間を携えて旅に出る、RPGの世界を低予算で描く。出演する俳優さんたちも、存分に楽しむ姿が画面からひしと伝わってきます。


『アオイホノオ』(14)

島本和彦の同名漫画が原作。80年代の大阪芸大を舞台に、超自意識過剰な焔モユル(柳楽優弥)が漫画家としてデビューするまでを描いた青春コメディ。後に漫画界、アニメ界で大きな仕事をする面々がまだ無名だった時代を描いていること、暑苦しさが画面からも伝わってくる過剰な演出が話題となった。*DVD発売中

『勇者ヨシヒコと魔王の城』(11)

カボイの村出身の勇者ヨシヒコ(山田孝之)が、口説き上手な戦士のダンジョー (宅麻伸)、ヨシヒコを父の仇と思い込む“素人の女”ムラサキ(木南晴夏)、役に立たない呪文しか使えない魔法使いのメレブ(ムロツヨシ)の仲間を連れて魔王退治の旅をする。低予算冒険活劇。*DVD発売中


Profile

福田雄一
ふくだ・ゆういち

1968年栃木県生まれ。演劇、バラエティ番組の構成、テレビドラマ、映画などを手がける。近作に『今日から俺は!!』(18)がある。

Navigator:岡室美奈子 おかむろ・みなこ

早稲田大学文化構想学部表象・メディア論系教授。早稲田大学坪内博士記念演劇博物館館長。専門は現代演劇やテレビドラマなど。演劇博物館で『大テレビドラマ博覧会』という展覧会を開催したり、ツイッターで発言するなどドラマ論に定評がある

Illustration: Tetsuya Murakami Text&Edit: Keiko Kamijo

GINZA2019年8月号掲載

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