『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』を訪れて

『クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ』を訪れて

ロンドン、ヴィクトリア&アルバート博物館で開催中の『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展。過去最大規模の回顧展に足を踏み入れた山田由梨と点子の姿を気鋭の映像作家、UMMMI.がドキュメントします。


3人の才女が体験した
クリスチャン・ディオールの世界

20世紀を代表するクチュリエ、クリスチャン・ディオールと、彼に続いたアーティスティック ディレクター6名の足跡をたどる回顧展がロンドン、ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で開催中だ。昨年、パリの装飾芸術美術館で公開された展示内容を、V&Aが独自に再編した本展。ディオールが愛したイギリス文化に焦点を当てた「DIOR IN BRITAIN」も加わり、11のセクションを通してメゾンのサヴォワールフェールを探る。日本から本展を訪れたのは、劇団「贅沢貧乏」を主宰する山田由梨。ロンドン在住の点子と、今回の撮影を担当したUMMMI.もV&Aに集合。3人の才女によるルポルタージュとともに、ディオールの夢見る世界に触れてほしい。

 

山田由梨 at
Victoria & Albert Museum

ヴィクトリア&アルバート博物館

1852年に開館したヴィクトリア&アルバート博物館は、芸術とデザインを専門分野とし、貴重な衣装を多数収蔵する。

 

ヴィクトリア&アルバート博物館

 

ディオールという人のこと
文・山田由梨

ラグジュアリーブランドにはなかなか手を出せないし、ましてやディオールのファッションなんてとても遠い存在な気がする、と思っていたロンドン行きの飛行機。正直、ディオールは香水やコスメティックのブランドという印象の方が強いくらいだった。この展示はクリスチャン・ディオールの生涯に沿いながら、ブランドの歴史を回顧していく作りになっていたのだが、「そうかディオールさんという人がいたんだよな」とそんな当たり前のことを再認識する始末。

しかし、ディオールというあまりに有名で高貴なブランド名を、ひとりの人物として考えてみた時に、その人がどういう人で、どういう想いで服を作っていたのかということに俄然興味がわいてきた。会場にずらりと並ぶウエストがキュっとしまった美しいドレスたちはどれも一輪の花のようでひとつひとつが特別な存在感を放っている。実際、ムッシュ ディオールは女性を花に見立てることが多かったようで、女性の次に花が美しいんだとも言っていたそう。

11ある展示ルームのうちのひとつ「THE GARDEN」は、花をモチーフにしたドレスが集まっており、ひときわ華やかだった。花の刺繡や飾りはどれも手作業で繊細に作られていて、特に色鮮やかに染められた羽毛を花びらに見立ててドレスに縫い付けているデザインにはあまりの細かさに見入ってしまった。

幼少期から花に囲まれて育てられた彼は、庭の手入れをすることが好きでクリエイションの合間にもそうして息抜きをしていたよう。シャイで人前に進んで出るタイプではなかったという繊細な人柄が、ひとつひとつのデザインから見てとれる。花の手入れもそうだが、料理にも凝っていたらしくレシピ本まで出していたんだとか。なんだかそんな話に想いを馳せていると、もしかしたらムッシュ ディオールは、男性としてドレスをデザインしていたというより花や女性の美しさに自らが憧れながら作っていたんじゃないかなという気がしてきた。そう思いながらあらためて展示を見回すと、ドレスも〝ディオール〟も少し身近に、愛らしく思えるのだった。

ヴィクトリア&アルバート博物館にて

 

UMMMI.と点子が体験するディオール ビューティの世界はこちら

 


YURI ジャケット ¥620,000、ハイネックニット ¥175,000、スカート ¥530,000、イヤリング ¥71,000、ネックレス ¥200,000、シューズ ヒール8cm ¥104,000 
TENKO ブラウス ¥270,000、ハイネックニット ¥150,000、パンツ ¥195,000*すべて予定価格、ブレスレット*参考商品(以上ディオール | クリスチャン ディオール)/その他*スタイリスト私物

山田由梨 やまだ・ゆり

1992年生まれ。劇団「贅沢貧乏」主宰。脚本家、演出家、俳優。現代の社会問題を、ポップで軽やかな手法で浮き彫りにする演劇作品を数多く発表し、2017年『フィクション・シティー』が演劇界の“芥川賞”と称される岸田國士戯曲賞にノミネート。今年9月、東京芸術劇場にて新作公演が控える。

『Christian Dior: Designer of Dreams(クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ)』展

 

会場: ロンドン ヴィクトリア&アルバート博物館 会期: 開催中〜9月1日

モバイル公式サイト

参考文献:『Christian Dior and I』Christian Dior(1957/ E.P Dutton & Company Inc. New York )、『Christian Dior』Oriole Cullen and Connie Karol Burks(2019/Victoria and Albert Publishing)、『Reading Our Lips: The History of Lipstick Regulation in Western Seats of Power』Sarah Schaffer(2006/ Harvard Library)

Photo: UMMMI. Styling: Ayaka Endo Hair&Make-up: Kanako Yoshida (mod’s hair) Models: Yuri Yamada, Tenko Text&Edit: Sakiko Fukuhara

GINZA2019年5月号掲載

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