20 Jan 2017
洋服がデバイスに!? SFの世界がやってくる「ファッション未来予想図2017」テーマ02:ウェアラブルは消えていく!?

3Dプリンターを使って服を作るデザイナーもいれば、アフリカの技術に目を向けるブランドもある。あなたが抱く“ファッションの未来”とは、果たして? 年始ですもの、たくさんの夢を描いてみましょう。
THEME-02
ウェアラブルは消えていく!?
〈Apple Watch〉にはじまり、〈JINS MEME〉(メガネ)や〈Orphe〉(スニーカー)、〈RINGLY〉(指輪)……と多様化していく〝ウェアラブル〟。スマホ同様に使えるものや、心拍数など体のデータを分析するものなど、日々進化している。
さらなるトピックを探していると、2015年12月にCNBCでNew Enterprise Associatesのリック・ヤンさんが、「16年はウェアラブルが消える年だ」と語っていた記事に目が止まった。
なるほど! 17年に製品化される〈プロジェクト ジャカード〉は生地だし、〈DuoSkin〉はタトゥーシール。もはやウェアラブルの範疇を超えている。さらには、体に埋め込むデバイス〈Underskin〉なるものも開発中……。近い将来、スマホ機能は体の中に埋め込まれて手ぶらで通話もネットもできる、そんな時代になるのかもしれない。
Project Jacquard
グーグルが開発した〈プロジェクト ジャカード〉は、伝導性の糸を織り込むことで、服をまるごとデバイスにしてしまう生地。第1弾となるアイテムは、リーバイス®とタッグを組んだトラッカージャケット。袖をタッチするだけで、スマホ同様に電話に出たり、音楽を再生したり。マップ機能も活用できるから、写真のように自転車に乗りながらの住所検索も夢ではない。日本での発売時期は未定。
商品説明の動画はグーグルのサイトへ。atap.google.com/jacquard
DuoSkin
マイクロソフト・リサーチとMITメディアラボが開発した〈DuoSkin〉は、肌に貼り付けた金箔が、デバイスの一部になるという発明品。タトゥーをスワイプすることで、PCやスマホと連動させることができる。発売は未定。
Underskin
NewDealDesignが考案した〈Underskin〉は、体に流れる電気を利用して操作。鍵を使わずにドアを開けたり、握手で相手と連絡先を交換したり。NewDealDesignが考案した〈Underskin〉は、体に流れる電気を利用して操作。鍵を使わずにドアを開けたり、握手で相手と連絡先を交換したり。アイデア段階なので、実現までは少々時間がかかりそう。
newdealdesign.com/work/project-underskin
◆ 着る暖房、実用化開始! ◆
MINOTAUR
「朝、スマホの目覚ましを止めて、隣のアプリをオン。すると、ベッドから出た時は服が温まっている、というスーパーズボラなアイテムです」と笑うのは、〈ミノトール〉デザイナー、泉栄一さん。
「ニット状に編み上げた銀の繊維シートが入っているので、薄くてのびる。この開発によって、日常的に着られる服になりました。一応、世界初」と、ちょっぴり誇らしげに微笑む。温度調節は4段階。デザインがシンプルなのもいい。
「この冬は、コレとTシャツだけで生活しようと、自転車も買って……実験ですね。“今日は何度設定で行こうかな?”なんて、新しい楽しみ方もできる。〈ミノトール〉の服は、保温、軽量、ストレッチ、脱臭、などの機能も増えている。これからは“機能コーデ”の時代です」。冷房ヴァージョンの発売も、期待してます!
スマホと連動したヒーターシステム搭載のI/O COLLECTION。左: 11月にはギアを中心に集めた M.U.G NAKAMEGUROがオープン。
Heat 2B Tailored Jacket ¥130,000(MINOTAUR | M.U.G)
Heat Vest ¥130,000(MINOTAUR | M.U.G)
◆ 映像やサウンドを生み出す服と靴 ◆
ANREALAGE
ARとは、たとえばポケモンGOのようにコンピュータを用いて現実に情報(=ポケモン)を付加提示する技術。〈アンリアレイジ〉は2017 SS、専用のARアプリをインストールしたスマートフォンをかざすと、映像やサウンドが生まれる服とスニーカーを発表。アプリの開発はAR三兄弟の川田十夢が、サウンドはサカナクションの山口一郎が担当。
アプリを通した拡張現実上では、服に描かれた言葉や風景とそれに連動した音が聞こえてくる。たとえば上の写真では、加工された波の音とともに海の映像が浮かび上がる。
オニツカタイガーとコラボしたスニーカーも一部AR機能を装備。
スニーカー ¥15,000(アンリアレイジ | アンリアレイジトーキョー)
Photo: Getty images
Text&Edit: Itoi Kuriyama, Shunta Ishigami
GINZA2017年1月号掲載