「HIGH CASUAL」をコンセプトに、NYの景色や住む人々から着想を得たタイムレスでカジュアルなスタイルを提案する〈MADIONBLUE/マディソンブルー〉がポップアップストア「MADISONBLUE BOOKSHOP」を開催。代官山 蔦屋書店にて12月25日(日)までオープン。編集者・中島敏子が手がけるビジュアルブックなども販売される。
〈マディソンブルー〉が代官山 蔦屋書店でポップアップ開催。編集者・中島敏子が語る「紙媒体の逆襲」
代官山 蔦屋書店の一角に突如あらわれる真っ青な空間。「街の小さな本屋さん」をイメージしたという店内には、ブランドを代表するワークシャツやトートバックなどのアイテムが並ぶ。特に注目したいのが、ポップアップとともにお披露目となった2023春夏のビジュアルブックだ。GINZAの元編集長・中島敏子さんが2021年秋冬より手がけ、シーズン毎に話題を呼んで来た。4冊目となる今号は、なんとA3サイズのスペシャル仕様に。
2021年よりシーズン毎に発行されてきたビジュアルブック。ポップアップでは、バックナンバーも販売される。
シーズン恒例となった作品は、アートディレクターに鵜飼悠さんを迎え、フォントひとつにまでこだわりが伝わってくる。最新号ではモデル・甲田益也子さんをはじめ、様々な年齢や国籍の人々がマディソンブルーのシャツを着こなすポートレートや、ブランドにとってミューズのような存在のモデル・アンジェラさんのロングインタビューなど、読み応えのある一冊に。
ビジュアルブックの他にも、誌面で登場した作品の展示や、アートがプリントされたTシャツ、中島さんが直々に声をかけ参加したクリエイターのZINEなどが並び、ポップアップ全体が本の中から飛び出してきたような空間となっている。
ブランドカタログの域を超えた作品を産み出す中島さん。「剛気で理解のあるクライアントのおかげで、これまでに培ってきた編集スキルを詰め込んで製作できた」というビジュアルブックの裏テーマは、「紙媒体の逆襲」とのこと。
「今のファッション業界やメディアを取り巻く、息苦しさのようなものを少しでも打破できればと思っているんです。ただでさえ業界は辛くて、本屋さんは減っていて。本来だったらWEBに全力投球すべきなんですよね。WEBにはまだまだ可能性があるので期待しています。
だからこそ紙の媒体を選ぶなら、『残るもの』を意識しないといけない。シーズンカタログって目を通したら捨てられるものですよね。これまでもたくさんのカタログが捨てられてきて紙の無駄だと感じてきました。つまらないものは破棄されてしまう。だからこそ『一生持っていたい』と思う、面白いものを作らなければならない。
『いかに表現するか』という世界で、どんなことでもオリジナル性のあるクリエイティビティを生み出すのが編集者。今まで見たことのなかった世界を自分で創り出すことが、編集の面白さだと思うのです。そこをサボるな!と言いたいです。
昨今の息苦しさのなか、ファッション編集の若手は萎縮しているように感じるのです。でも、今までの常套句や実績のある売り方、既存のデータを信じたら何も新しいものは生まれない。若い時は何をやってもいいんだよ、怒られてナンボです。私だってそうしてきましたから。
今回のビジュアルブックも『日本のファッション編集者に告ぐ!』という気持ちで作りました。一人一人と、会社の意識を変えて欲しいと願っています。」(中島さん)
マディソンブルーのファンにはもちろん、ファッションや編集業に携わる人々にもバイブルとなる1冊。ポップアップに訪れてぜひ手に取ってほしい。
「MADISONBLUE BOOKSHOP」
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中島敏子
マガジンハウスの『BRUTUS』の編集者、『relax』副編集長を経て、2011年より7年間『GINZA』編集長を務めた。のち独立し、Rakuten Fashionをはじめとする様々なプロジェクトで活躍する。