02 Feb 2023
クローゼットの宝もの Aya Gloomyさんの和柄のベストと70年代のワンピース

現代のものにはない色や柄、フォルムに無性に惹かれるのはなぜだろう。時間という魔法にかけられて、それらはとってもチャーミングな輝きを放つ。ヴィンテージを愛する人に“いちばんのお気に入り”を見せてもらいました。
「クローゼットの95%はヴィンテージです。5歳の頃から母の友人の古着屋さんがいちばんの遊び場。店内のテレビで海外アニメの『パワーパフ ガールズ』を観ながら、カラフルなお洋服に囲まれて過ごしてました」
そう語るのは、ミュージシャンのAya Gloomyさん。趣味が高じて古着のオンラインショップ「POMPOM SHOP」も手がけている。今回見せてくれたのは、いつも買い付けに行くLAの「ローズボウル・フリーマーケット」で自分用に見つけたもの。生涯持っていたいと思えるお気に入りだ。
「色や柄が個性的で、ほかの誰も着ていない服を身につけるのが心地いい。昔から目立ちたがりなんです。中でも大好きなのが和柄のデザイン。中綿の入った日本製のベスト(左)は子ども用で、七五三の時に着るお祝いの服なのかな。海外の蚤の市では、子ども服の山の中にお宝があることも多く、小柄な私にはちょうどいいんです」
紫、水色、赤、ピンクの色使いがサイケな総柄ワンピース(右)は70年代製。大きめのチャイナカラーは生かしつつ、身頃をタイトに縫い直し、スリットも入れた。
「ジャストサイズで着たいので、お直しは必須。お店に出す時はシルエットや縫い方などを細かく指定します。なかなか思う仕上がりにならなくて、4回やり直してもらったこともあるくらい。長く着続けたいから、裏地などの見えない部分も修理します」
ピピッと心が動いた服はすぐに買う。“合わせやすさ”みたいなことは考えない。
「手に入れてから、着方をあれこれ想像するのが楽しいんです。新曲のMVで、この和柄ベストを着た時は、ラメ入りの真っ赤なチューブトップをミニスカート風にして合わせました。自分に似合うかどうかですか?それも一切考えないかも。好きなものを選びとる選択眼には自信があるんです。私、ビョークのステージ衣装や、パンクのゴッドマザーと呼ばれているミュージシャンのニーナ・ハーゲンの服装にシンパシーを感じるのですが、派手派手な色でもちょっと変わったデザインでも、本人が堂々としていて、楽しんでいるのが伝わってくる。カッコいいかどうかは、着る人のマインドで決まるって信じています」
Aya Gloomy
アヤ・グルーミー>> ミュージシャン。新曲「IRO IRO」発売中。12月5日より90年代の古着が中心のポップアップショップも。Instagram→ @ayagloomy, @pompomshoptokyo
Photo: Ayumu Yoshida Text: Masae Wako
GINZA2022年12月号掲載