あのお店のあの一品。帰り道にどうしても食べたくなるあの味。初回もなかなか好評なおつまみ連載。第2回目もGINZAクルーのとっておきの一品をご紹介します。
夜な夜なおつまみ愛 vol.2 エディター編
さて梅雨ですね。雨に降りこめられると日々の疲れは倍増。なので、飲みに行きましょう!お腹も空いたし、いい頃合い。夜中の小腹を満たしに向かうのは、編集部からほど近い「銀座 真田」。長野県アンテナショップの上にある、信州蕎麦と和食のお店です。大好きなお蕎麦にたどり着く前に、お酒と一緒に楽しみたい品がありまして・・・。それが、「すくい豆腐」(880円)なるメニュー。私の狙いは、豆腐の上に乗ったこの黒い豆たち。黒豆と米を麹にし、醤油ダレにつけこんだ長野伝統の発酵食品ですとな。その名も、醤油豆!(そのまんまー!)。
しかしこの醤油豆の本領は、豆腐と共にあってこそ発揮されます。豆腐のやわらかな甘味に包み込まれ、つぶつぶとした食感とともに黒々しい味わいが弾ける…!そして次の瞬間にはもう、爽やかなミョウガやミツバとの出会いを待ち望んで仕方がない。単品だとかなり濃ゆい醤油豆が、豆腐というクッションをはさんでピリッとした薬味との邂逅を遂げる・・・真田のすくい豆腐は、そんな叙事詩を描く一皿なのです。
傍らには、信州貫徹でチョイスした「みぞれりんご梅酒」(790円)。すぐに酔っぱらってしまう私にもやさしい、甘くてかわいいお酒です。
「銀座 真田 本店」
住: 中央区銀座5-6-5 NOCOビル 3F
☎︎: 03-5537-7355
営: ランチ 11:00~17:00、ディナー 17:00~4:30(L.O.3:30)
日・祝 11:00~23:00(L.O.22:00)
※月曜日が祝日の場合の日曜日 11:00~4:30
編集クロ
ちなみに真田でのお通しは、生野菜に醤油豆をのせたもの。こちらもスーパー美味!春夏はすだち蕎麦、秋冬は玉子とじ蕎麦がお気に入り。
アンチョビ入りオリーブのフリット
旬の魚介類、そして国内外産ワインと日本酒をたっぷり楽しめるイタリアンバル「ラ・ボッテガ・デルマーレ」。魚は富山県から毎日取り寄せているから、人気メニューも魚料理が中心のお店。
イワシをオーブンで優しく焼いて、オレンジと香草を添えた「イワシのベッカフィーコ」がお店のシグネチャー。数人で行ったら「生ダコのグリル サルサヴェルデソース」もオーダーすべき品。柔らかくもしっかりとした歯ごたえのあるタコには、富山の「へしこ」と香草をからめたソースにジャガイモのピューレ、そして赤ワインで作った塩が添えられている。”味変”させながら食べたい逸品。
そんな魚介がおいしいお店だけれど、僕がおすすめしたいのは「アンチョビ入りオリーブのフリット」。上品な塩気を感じるアンチョビと、豊かな風味と食感を持ったオリーブがワインとよく合う。ペアリングしたのは山梨のオレンジワイン「Hanamizuki Blanc」。わずかに感じられるタンニンを味わいながら、カウンターで今日一日を振り返る。声をかければマスターがいつでもオーダーした料理に合うワインを選んでくれます。
渋谷の出版社に勤めていた2016年までは、銀座線に乗ってよくここに通っていた。今は行かないのか、って?当社マガジンハウスから徒歩1分のところにあるので、今夜もふらりとお邪魔します。
「ラ・ボッテガ・デルマーレ」
住: 東京都中央区銀座3-11-7 鶴見ビル1・2F
☎︎: 03-6264-7874
営: 月〜金 17:30〜00:30(L.O.23:30) / 土・祝 16:30〜23:00(L.O.22:00)
休: 日曜日
Shin Takayanagi
『GINZA』のウェブプロデューサー。夜は外食中心なので、本連載「夜な夜なおつまみ愛」に出てくるお店に興味津々。今は東東京のレストランを開拓中。
マヨネーズのゼリー寄せ
澄んだ琥珀色にまろやかなアイボリーが眩しい夜。
若葉から荒木町へと移った今もなお愛され続ける和食料理屋「万作」。同じ名をもつ大将は四ツ谷にかれこれ40年近く店を構えている。少々頑固だが絵になる男で、年季の入った藍色の作務衣姿がモダンに見える。ちなみに正体は超フランクな69歳のシティボーイ。休日はyoutubeで古典落語をディグりつつ、茶革のグラスコード、杢グレーのハット、白い口髭にスニーカースタイルで散歩するのがお決まりらしい。
豆腐を一切使わないのに万代豆腐(まよどうふ)と呼ばれるこの直方体の味を想像する。かすかな弾力を壊さぬようそっと舌へ運ぶと、もったりと軽やかにほぐれていく。マヨネーズが調味料の粋を超えた瞬間である。絶妙な塩梅と食感はやおよろずの酒に合う。すかさず冷ひれ酒を一口。酒器を傾け、水面に浮かぶひとひれに邪魔されるのもご愛嬌。これは遊びだ。通常2、3枚からなるひれ酒だが、なんと大将は7枚のふぐひれから丸二日かけて贅沢に抽出する。特製の万代豆腐と、特製のひれ酒。一瞬で香りと味にやられる幸せ。
美しきもののみ機能的であるとはよくいったものだ。特に和食はいただく前によく眺めてしまう。素材と素材が組み合わさる時の色彩と輪郭。添えてある葉物や、ちょこんと鎮座するカラシやわさびも愛おしい。
私がもし魚だったら、焼き魚として皿に寝る。隣には大根おろしに居て欲しい。
住: 東京都新宿区荒木町3-14 YDビル 1F
☎︎: 03-6380-5385
営: 月・火・木・金 昼11:30-13:30、夜17:00-22:00
水 17:00-22:00
土 予約のみ
休: 日・祝
saori uemura
自宅で飲むならコンビーフとマヨを和えて食パンにサンド。大好きなノザキのコンビーフ缶は、形、グラフィック、描かれている牛の表情も全部イイ。