俳優・矢本悠馬インタビュー:GINZA編集部が今会いたい!

俳優・矢本悠馬インタビュー:GINZA編集部が今会いたい!

なにかを背負うことって面白いし
自分のギアがどれくらい上がるのか楽しみです

オーバーサイズの柄シャツに太めのパンツという私服でスタジオ入りし、衣装合わせから始まった今回の撮影。なかでももっとも派手なピンクのジャケットを自ら選んでテスト撮影をすると、モニターに映し出された姿にその場がパッと華やいだ。彼は自分に似合うものをよく知っている。

「服に一番お金を取られてます。最近、買いものは2店舗しか行かなくなっちゃって。神宮前に『乱痴気』と、『ネペンテス』って店があるんですけど、そこで大量に買ってます。休みがあったら必ず行きますね」

これ、と決めたらとことんこだわる。そんな自分のスタイルを持つ矢本さんには、大切な〝マイ・スタンダード〟があるという。

「一番はマーベルのフィギュアかもしれないですね。2、3歳のころから集めてます。いくつあるかわかんないんですよ。たぶん世に出たものはすべて持ってて、しかも同じものを何個も買うので。なんでそんなに集めるんだろうって自分でも思うんですけど(笑)。でも、〝カッコいいなー〟って見るだけで楽しいんです。身につけるものだったら、下着のパンツ。ぜんぶ同じです。〈ユニクロ〉で赤のボディに、ゴムの部分が青いデザインのがあるんですけど、50着くらい持ってます。それじゃないと気持ち悪くて芝居できないですね(笑)。役者を始めてたまたまこのパンツを買って、これをはいている日はやたらと調子がよくて、これしかはかなくなったんです。スパイダーマンの色合いと同じなのもよくて(笑)」

もちろん食べ物にも、欠かせないマイ定番が。

「からあげは毎日食べてますね。昔、宮藤官九郎さんに、〝矢本、今日の夜飯なに食べたいの?〟って聞かれたとき、〝からあげ〟って言ったら、〝からあげ好きってアホだよね〟って言われて。あの宮藤官九郎さんに〝アホ〟って言われるのはすごく貴重だなと思って、それでからあげを愛してしまいました(笑)」

2010年より、大人計画に研究生として参加し、宮藤さんと知り合った。その後、『ごめんね青春!』(14)、『ゆとりですがなにか』(16)など、彼が脚本を手がけた作品に出演し、注目を集める。以降、『今日から俺は!!』(18)をはじめ、ヒット作に欠かせない俳優となり、気鋭クリエイターからのオファーが後を絶たない。最近では、福田雄一さんが監督・脚本を手がけたソフトバンクのウェブCMに出演し、話題となった。

「10分超えの長回しをほぼ一発で撮ったので緊張しました。リハーサルもせず、すぐ本番だったんですよ。1回も台本通りにセリフを言えなかったんじゃないかな(笑)。福田さんが〝面白い作品にしなくちゃいけないと考えたときに、賀来賢人、太賀、矢本悠馬の3人は絶対に必要だ〟と言ってくれて、それほど信頼してくれていたのかと思うとうれしかったですね」

子どものとき、両親が応募したことで始まった役者の仕事。中学生になってから、しばらく休業をしていた期間がある。テレビに出ていることを同級生にからかわれるのが恥ずかしくて、決意がまだ固まっていなかったのだという。しかし、高校卒業後に演劇の学校へ通うことを決めた。

「高三のときに大学へ行きたくないと親に話したら、なにかしらの学校へ行ってくれないと不安だと言われたけど、やりたいことがなくて。〝役者をやってたんだから、演劇の学校はどう?〟と勧められました。そのときすんなり受け入れられたんですよね。でも、学校をサボって芝居の勉強はあまりしなかったから、いざまた仕事を始めてみると、辛いことばかりでした。最初からわりと大きな舞台には出させてもらってたんですけど、何もできない自分が毎日すごく悔しくて。もう辞めたいなって思うときもありました」

再び役者の道を歩み始めたものの、プロとしての自覚が芽生えるまでには少し時間がかかったという。2016年に出演した映画『ちはやふる』との出合いが、彼の仕事に対する向き合い方を変えるきっかけとなった。

「周りの役者が年下っていうのもあって、現場で監督やプロデューサーから〝矢本、頼むな〟って言われたんです。そこでようやく役者としての責任感やプライドが出てきて、スイッチが入ったのかもしれないですね。なにかを背負うことって面白いし、少しは胸を張れる仕事を自分にもできたのかなって思いました。〝これで一生食っていけるんだったら最高だな〟と思えたのは、あの瞬間だったかもしれないです」

今年1月に、入籍を発表。7月には第一子が生まれ、父親になる。背負うものがもうひとつ増えるいまの心境は?

「子どもには〝早く会いたい!〟しかないです。家族を養っていくと思うと、自分のギアがどれくらい上がるのか。いままで使ってなかったエンジンがかかって、もっと役者として裸になれるのか、社会人として成長できるのかが楽しみです」

公私ともに親交の深い、俳優仲間の存在も、彼を後押しする大きな力となっている。

「賀来賢人と柳楽優弥は父親として先輩で。僕がまったく結婚に興味がなかったときから、〝やもっちゃん、早く結婚しなよ。パパ友になろうよ〟って言われてたんです。あの2人の芝居って、結婚してから確実に変わったんですよね。それをわかってたから、この2人が言うんだったら、家族を持つのって自分にとってもいいことなのかもしれないなと。太賀は結婚もしてないのに、〝やもっちゃんは結婚した方が成功する俳優だから〟って偉そうに言ってきたことがあって(笑)。たしかに、実際に子どもができて、前より芝居にかける熱量が完全にアップしている自覚があるので、いまでは太賀の言うことを聞いておいてよかったかなと思いますね(笑)」

矢本裕馬
ジャケット ¥45,000(ケイル)/シャツ ¥37,000(ブリエンヌ)、パンツ ¥78,000(カミエル フォートヘンス | 共にビオトープ[ジュンカスタマーセンター])/ベルト ¥13,000(サイ | マスターピースショールーム)/靴 ¥29,000(ニードルズ×トロエントープ | ネペンテス)

矢本悠馬 やもと・ゆうま

1990年生まれ、京都府出身。2003年、阪本順治監督の映画『ぼくんち』でデビュー。同年、NHK連続テレビ小説『てるてる家族』でテレビドラマ初出演。5月3日に公開となった英勉監督の映画『賭ケグルイ』、また9月公開予定、伊坂幸太郎原作、今泉力哉監督の映画『アイネクライネナハトムジーク』にも出演。

Photo: Yasuhide Kuge  Styling: Yuta Kaji  Hair&Make-up: Yuka Kuramoto  Text&Edit: Satomi Yamada

GINZA2019年6月号掲載

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