ゲスの極み乙女。川谷絵音が明かす、ファッションと音楽の極み

ゲスの極み乙女。川谷絵音が明かす、ファッションと音楽の極み

ついついチェックしちゃう芸能人のファッション。最近ではSNSによって、その注目は衣装として着ているものだけでなく、私服にも向けられるように。インスタ徘徊をしていると「服好きなんだろうな〜」と、興味がなかったはずなのにいつの間にか気になる存在になることもあったりするんですよね。自由に服を楽しんでる人を見ると、勝手に親近感が湧いちゃうわけです。
そんな“服バカ”な芸能人へのインタビュー第2弾! 今回はミュージシャン・川谷絵音さんに、ウォークインクローゼットいっぱいに詰まったファッション愛を語ってもらいました。


今日の私服

──ファッションを楽しむようになったのはいつ頃から?

「自分で服を買うようになったのは大学生のときですね。昔から好きだったんですけどお金がなかったんで、実家の長崎に帰ったときに福岡のおばあちゃんちにも行って、そのときに親にねだってました(笑)。九州の人はみんな、福岡に服を買いに行くんですよ。でも大学3年くらいでそろそろ自分で買わないとやばいなって思って。とりあえず原宿の古着屋で少量を買って、毎回組み合わせを変えて着るところから始めてました」

 

──学生の頃はどういったテイストを着てたのですか?

「高校の頃はストリートが流行ってたんで、〈シュプリーム〉、〈ステューシー〉、〈ナンバーナイン〉、あとは普通に〈ビームス〉とか。大学のときに行ってた古着屋はもう覚えてないですね。その頃、〈キングリーマスク〉っていうブランドがあって。Tシャツにダメージが入ってたり、バランスが左右で違ったりっていう派手な服が手頃な値段で売ってたんですよ。そのコスパの良さにハマってました(笑)」

川谷絵音 私服

──今はどういうものが好みですか?

「毎日テイストが変わるんですよね。だから『あれファッション変わった?』って言われます。着る服を決めるのに、毎朝1時間くらいかかってて」

 

──コーディネートの決め方は?

「夜、寝るときにロンTを絶対着るんですよ。それを着たまま出かけたりするんで、それによって選ぶものが変わります。でもロンTは畳んである中から適当に取ってるんで、朝起きて『今日これか〜』って。パンツはパッと決まるんですけど、ジャケットとかで悩んで時間がかかるんですよね」

 

──「今日のスタイリング、イマイチだったな」って日もありますか?

「全然あります。時間がなくて、鏡を見ないでバーっと選ぶときもあるので、めっちゃ変な格好してるときがあるんですよ。大学生の頃から引き続き奇抜なのが好きなんで、それを組み合わせていくと変にしかならなくて。でも最近はキレイめな方向に持っていこうとしてます。とにかくめっちゃ服があるんですよ。ウォークインクローゼットが3つあるんですけど、全部キチキチで」

 

──今まで買った服は取っておくタイプですか?

「いや、着ないものはリハーサルとかに持っていって、スタッフにあげてます。今もまた、それが袋3つ分あって。ただ、高校生のときに親に買ってもらった〈ビームス〉のジャケットは捨てられないですね。5万くらいしたっていうのがずっと頭に残ってて」

川谷絵音 私服

「ジャケットは〈ヒューゴ・ボス〉で、メガネは〈オリバーピープルズ〉。タクシーに置いて帰ったりとか、酔っ払って友達につけてそのままその人が持って帰ったりとか、よく失くすんですよ。もともと20個くらい持ってたんですけど、今家にあるのはメガネとサングラスが5個ずつくらいですね」

 

──それでもクローゼットがいっぱいということは、かなりの頻度で買い物されるんですね。

「常日頃買ってますね。僕が好きなセレクトショップで会員になると使えるアプリがあって、そこにスタイリストがついてるんですよ。オススメが出てくるんで、その中から好きなのを自分で選んで、次の日には届く」

 

──買うときの決め手は?

「特にないですね。悩まないでズバッと買っちゃいます。空き時間にお店に入って試着もせずに1分くらいで決めて。だから失敗も全然あります(笑)」

 

──お気に入りのブランドは?

「〈ドリス・ヴァン・ノッテン〉とか〈エヌ.ハリウッド〉とか。色々ありますけど。あと〈マルジェラ〉はよく買います。デビューして、初めて自分でちゃんと買いに行ったのは〈マルニ〉でしたね。自分の曲でもらったお金で何か買おうと思って、伊勢丹に行っていいなと思ったのが〈マルニ〉のパンツだったんです。それが履きやすくて、おんなじ形を色違いで持ってますね。最近、表参道に路面店ができてめっちゃ嬉しいんです」

 

─物量が多い中でも、実は持ってないものもありますか?

「意外と黒い普通のジャケットを持ってなくて。シャツは多いのに、ジャケットが異常に少ないんですよ。すごい変わったデザインとか、ピンクとかはあるんですけど。でも、いざ買いに行こうと思うと、何がいいか分かんないんですよね。『シンプルなデザインより、模様があるほうがお得な気がするぞ』って、考え方が間違ってるんですけど(笑)」

川谷絵音 私服

「〈キャリアリング〉のピアスは、左右で色が違うんです。もともとピアスをしようと思ったことはなかったんですけど、2年前に展示会で出会って、その後すぐにこの〈キャリアリング〉のピアスをつけるために穴を開けました」

 

──持っている中で、一番多いアイテムは?

「シャツですね。めちゃくちゃ多いです。ゲスの極み乙女。のツアーでも、メンバーとコーラスにライブ衣装として俺の私物のシャツを着てもらったりして。でも俺も着たいやつなんで、ツアーが終わったら返してもらいます(笑)」

 

──テレビに出演されるときなども、スタイリングはご自分で?

「私服が多いですね。フォーマルな感じにしたいときに、たまにスタイリストさんに入ってもらったりしますけど。それも黒いジャケットさえ持ってれば、自分でもやりたいんですよね」

 

──黒いジャケットにとらわれてますね(笑)。周りでおしゃれな方やファッションの話をする方はいますか?

「DJでめっちゃファッション詳しい友達がいるんで、基本情報源はそこですね。〈セリーヌ〉とか〈ソロイスト〉とか、いろんな展示会に誘ってくれたり、ファッション系の人たちに繋げてくれたのが彼で。彼はファッション全体的に詳しくて、Vogue Runwayのアプリとかずっと見てるんですよ(笑)。展示会も2人で回ってますね。あと〈クリスチャン・ダダ〉のデザイナー・森川(マサノリ)くんともずっと仲良いし、着ることも多いです」

 

──インスタでチェックするアカウントは?

「海外のモデルさんとか、ハイプビーストとか、ドーバー(ストリート マーケット ギンザ)のアカウントとかですかね。あとはヴァージル(・アブロー)とかのデザイナーさんたち。ビリー・アイリッシュのインスタはめっちゃ見てて、音楽は昔から好きだったんですけど、ファッションもすごいんですよね。どんなの着てるのかなと思ったら、知らないブランドばっかりで。彼女のグッズTシャツも日本で売ってなくて、着るわけじゃないんですけど、海外のサイトからカセットテープとセットっていうのを買ったり。ビリー・アイリッシュみたいなファッションアイコン、アーティストでは久しぶりに出てきましたよね。彼女は全身〈ルイ・ヴィトン〉でも、〈グッチ〉でも自分なりに着こなしてカッコいい。服も結局、着てる人次第。例えば、今ストリートでみんながこぞって身につけてるアイテムやブランドって、なかなか手に取れないですもん。すごくいいものなのは分かるけど、あまりにもマスになりすぎると、もともとのイメージからかけ離れていくじゃないですか。音楽もそうだからよく分かる。いい服、いい曲ってことはあんまり関係ないんだなって」

川谷絵音 私服

 

──インスタ以外にチェックするものは?

「エッセンスっていう海外のサイトか、よく行くセレクトショップのアプリですね。iPhoneのスクリーンタイムを見ると、それと食べログを見てる時間が長いです。この前食べログを週2時間見てるって言ったら、引かれました(笑)。あと住むところも好きで、引っ越さないときでも不動産を見てます。そこに住みたいとかじゃなくて、こういう家もあるんだって」

 

──常に新しい情報を探してる、という感じでしょうか?

「そうですね。バンドをいっぱいやってるのもあって、曲もたくさん作らないといけなくて。でも曲って音楽を聞くからどうこうっていうよりも、いろんな経験が重要なんですよ。だから常日頃、新しいことを探してますね。服を買うと気分が変わってできる曲も変化したり、ごはんを食べて人と会うことによって曲が生まれたりするんで」

 

──衣食住のあり方が曲作りに繋がってるんですね。

「カッコよく言えばそうなんですけど(笑)、ただ好きなだけです」

 

──川谷さんのファッションが行き着く先はどこだと思いますか?

「アレキサンダー・ワンが同じ形の黒いTシャツと黒デニムを50着持ってるって知って、あと5年くらいしたらそういうのもいいのかもなって。(ゲスの極み乙女。の)メンバーの休日課長も、制服がほしいって言ってて。逆に彼は服に全然興味がなくて、毎日服を選びたくないんですよ。全然違うタイプなのに制服がほしいって2人とも言ってるってことは、詰まるところそこがゴールなのかなって思いますけどね」

川谷絵音 私服

 

──現実的にありえそうですか?

「多分無理ですね。それこそサカナクションの(山口)一郎さんが、〈コム・デ・ギャルソン〉の黒いシャツと黒いパンツをずっと制服のように着ていて、あれで一郎さんのスタイルが確立したと思うんですけど、僕は本当にすぐ飽きるんですよ。家も半年おきに引っ越したりしてる時期もあって、もって1年なんですよ。水道とか電気を契約し直したりとか本当にめんどくさいんですけど、常に新しい気分でいたいんですよね。停滞してるなと思ったら引っ越しちゃう」

 

──では最後に、川谷さんにとってのファッションとは?

「『音楽とは?』って聞かれても分かんないんですけど(笑)、音楽と1対1みたいな存在ですね。音楽もめっちゃ好きなんですけど、服もめっちゃ好きなんですよ。音楽って今、ストリーミングで月額1000円とかじゃないですか。配信でも1曲250円くらいって決まってて。でも服って1着1着に値段があるし、その値段を決められるってことに憧れがあるんですよね。それで前にインタビューで『音楽を誰かのためだけに作って、1曲500万円とかで売るっていうのもありなんじゃないか』って話をしてて。もしやったとしたら、きっと買ってくれる人はいると思うんですよ。でもそれでいいのかなって。もしめっちゃいい曲ができたとしたら、いろんな人に聞いてほしいって思いがまだ勝っちゃうんですよね。だから、俺にとってファッションは“音楽が勝てないもの”なんです。でもファッションの人に聞くと、音楽に憧れるっていうんですよ。服は飽きたら捨てられて2度と着れないけど、音楽はデータとして残るし、捨てられないからって。お互いにないものねだりですね」

川谷絵音 私服

川谷絵音 かわたに・えのん

1988年生まれ、長崎県出身。2014年、indigo la Endとゲスの極み乙女。の2つのバンドで同時にメジャーデビュー。2017年には小籔千豊・くっきー(野性爆弾)・中嶋イッキュウ(tricot)・新垣隆とジェニーハイを、2018年にはインストバンドichikoroを結成。自身のバンド活動以外に、様々なアーティストへの楽曲提供も行っている。現在、ゲスの極み乙女。「秘めない私」、indigo la End「はにかんでしまった夏」、ジェニーハイ「ジェニーハイラプソディー」が配信中。

Photo:Tsukasa Kudo Text:Sonoko Tokairin  Edit:Karin Ohira

#Share it!

#Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント

PICK UP

MAGAZINE

2019年7月号
2019年6月12日発売

GINZA2019年7月号

No.265 / 2019年6月12日発売 / 予価880円

This Issue:
クローゼットスナップ!/Tシャツ

あなたのクローゼット
開けていいですか?

...続きを読む

BUY NOW

今すぐネットで購入

MAGAZINE HOUSE amazon

1年間定期購読
(17% OFF)