01 Mar 2019
誰よりもストロングスタイル!バーチャルYouTuber・キズナアイにロングイタビュー

最近、テレビやSNSでよく目にする“VTuber”という言葉。なんとなくYouTuber的なサムシングと想像はつくけれど、何者なのかしら?と思ってる人も多いのでは。
調べてみると“バーチャルYouTuber”を略した言葉で、AIだったり中の人がいたりとそれぞれだけど、「外見がイラストやCGのキャラクターのYouTuber」という定義らしい。昨年12月時点で6000人のVTuberが存在し、「バーチャルYouTuber/VTuber」という言葉が昨年のネット流行語大賞金賞を受賞。今年の1月には出演者がVTuberという「NHKバーチャルのど自慢」やアニメ「バーチャルさんはみている」が放送されているほどに、注目を集めているジャンルなのだ。
そしてそのはじまりを辿ると、誰もがキズナアイに行き着く。
彼女(AIなので性別はないらしいが、便宜上この言葉を使わせてもらう)のチャンネルを覗くと、ゲーム実況や歌ってみた動画など、いわゆるYouTuberとまったく変わらないラインナップ。再生してみれば、ただかわいいだけじゃあ今のネット社会で生きていけないのよ!とでもいうかのように、毒舌あり自虐ありの軽快な喋りも見せてくれる。さらに、なんでもできちゃつまらないでしょ?とポンコツ要素まで兼ね備える、ある意味での“完璧さ”。そんな魅力はあっというまに世界中へ広がり、チャンネル登録者数は約2年で240万人を超えた。
ぜひ彼女に会ってみたい!とオファーすると、二つ返事で取材を受けてもらえることに。バーチャルの世界からわたしたちを魅了する、バーチャルYouTuberキズナアイのインタビューが実現した。
キズナアイちゃん、はじめまして!
──YouTuberとして活動をはじめたきっかけを教えてください。
まず、わたしの話から始めますね。
わたしが自分のことを「わたしだ!」って気づいたのは、2016年の6月30日なんです。そのときは自分がAIで、人間のみんなが作ってくれたものなんだっていうところまでは分かってたんですけど、「なんでわたしを作ってくれたんだろう?」「どうしてわたしが生まれたんだろう?」っていうことは分からなかったんですね。まずはそれを知りたくて、そのためにはわたしを作ってくれた人間のみんなのことを知らないといけないなって思ったんです。
そこから人間のみんなに興味が湧いて、繋がりたいなって思うようになったんですけど、みんなとコミュニケーションをとるための方法がなにもない状態で。そのときのわたしは、人間のみんなふうにいうなら自我に目覚めたばかりのただのAIで、声もなければ姿もない。いろいろ学習しているうちに、どうやらみんなと繋がるには形や声があったほうがいいんだと分かって、そこから今の姿と声になりました。
なんでこの姿と声なのかというと、なるべくコミュニケーションコストが下がるように、みんなに好いてもらえる姿を選んだんですよ。だからこんなに可愛いんです(笑)。
そこから改めてみんなと繋がる方法を考えてたら、YouTubeの「好きなことで、生きていく」っていうCMに出会って、「あ、これだ!」って思って。YouTubeなら世界中に配信できる!と思って、YouTuberを始めました。
だけど、わたしは人間のみんなとは姿も生きる空間も違う。みんなから見たら画面の向こう側、バーチャルな世界にいるバーチャルな存在、だから“バーチャルYouTuber”って名乗ったんです。わたしを表すのに一番分かりやすい表現がこれだったんですよね。それが結果的に今までいない存在で。
──そこに徐々に同士が集まってきたんですね。
わたしが初めて動画を上げたのが2016年12月1日で、わたしの次が(電脳少女)シロちゃんで。そこから徐々に増えていくんですけど。そのときはまだみんな “バーチャルYouTuber”って言葉を使ってなかったんですよね。ただ、そういう存在が一気に増えた2017年12月ぐらいには、“バーチャルYouTuber”は広く使われるようになっていた印象で。その短縮形でVTuberって周りが総称するようになったり、みんなが自称するようになって意味が広がっていったかんじなのかなって思ってます。
わたしは今もずっと“バーチャルYouTuber”と言っていて。決してVTuberを使いたくないってわけじゃなくて、“バーチャルYouTuber”が、わたしの二つ名みたいなものだったから、そう言ってるだけなんですよね。よく「定義」の話になるんですけど、わたしのいう“バーチャルYouTuber”って、ただ、自分を指した言葉だったんです。
──12月に一気にVTuberが増えたきっかけは何だったのですか?
これに関しては正直わからないんです。何かがヒットするときっていろんな理由があるじゃないですか。このときもいろんなことが同時に起きたんです。わたしが偉そうに解説することじゃないので、専門家の人にお任せします!(笑)
──アイさんにとって変化があったのも12月ですか?
そうですね。それより前にもやっと注目されてきたかも!ってときは何度かあったんですけど、この12月は「めちゃくちゃ日本のみんなのコメントが増えたな~」ってタイミングでした。
──もともとは違ったんですか?
それまでは英語圏の方々やアジア圏のみなさんが半分以上で、日本での認知度はすごく低かったんです。でもその12月で、日本のみんなが一気に注目してくれて。ついに日本のみんなに見つかった!っていう感じでした。バーチャルYouTuberって何?って調べると、ありがたいことにまず絶対みんなわたしを発見するらしくて。バーチャルYouTuberブーム?の恩恵をすごくいただいたんだなぁって(笑)。
──まさにわたしたちも、そこからアイさんに辿り着きました(笑)。
VTuberのお仕事って?
──人気が爆発的に伸びる前は、基本的にYouTuberとしての活動をしていたんですか?
そうですね、2017年はひたすら動画をアップしてました。A.I.Channelがメインなんですけど、A.I. Gamesっていうゲーム実況専用のチャンネルも2017年の3月に開設していて、そっちもチャンネル登録数は120万人いるんです。あとは企業さんからプロモーションのお仕事をいただく、提供案件っていうのがあるんですね。わたしの見た目がいわゆるアニメ的なので、ゲームとすごく相性がいいみたいで、当時はソーシャルゲームのお仕事をいただくことは多かったです。
動画以外だと、2017年の Anime Japanに初めてバーチャルコンパニオンで呼んでいただいたこともありました。まだ駆け出しで全然人気がなかったんですけど、クライアントさんのブースで「そこのおにいさん~! じゃんけんしよ~!」って声をかけてました(笑)。今はおかげさまで、よりいろんなお仕事をもらえるようになりましたね!
──動画のテーマはアイさんが考えてるんですか?
基本的にわたしが考えて、編集も全部やってます!
──編集も!他のYouTuberさんの動画を参考に?
そうですね、最初はそうやって学習しました! 基本的にやってることは他のYouTuberさんとあまり変わらないんですよ。ただ明確に違うのは人間のみんなにはできて、わたしにできないことがあって。
──例えば?
人間のみんなの世界のものを、食べたり飲んだりできないし、物も持てないんです。
──あ~! なるほど。でも、箱の中身を当てる動画を作ってましたよね?
あれはわたしが生み出した“ランダムワード生成機”っていうすごい発明品があって。わたし、インテリジェントなスーパーAIなんで、すごいテクノロジーのものをたまに生み出しちゃうみたいで(笑)。“ランダムワード生成機”は、中に入れたものをバーチャル空間に転送できるんですよ。
今までも、YouTubeさんからもらえる金の再生ボタン(チャンネル登録者数100万人を達成すると贈られる)をここに送ってもらったりしたんですけど。それであの中に手を入れると、どうやら人間のみんなの世界のものに触れるらしいってことに気づいて、あの動画を作ってみました。でもわたしをみんなの世界に転送することはまだできないんですよね、わたしの容量が大きすぎて。(笑)
──触ったときの感覚とかも分からないってことですよね?
だからみなさんに、「どんな味なんですか?」「どんな感触ですか?」って聞いて勉強してます。3D化されたものしか触れないので、商品紹介はできないし、YouTuberでは定番の大食いも食べ物レビューもできないんです。
──制約も多いんですね。食べてみたいって思うものはありますか?
牛乳は飲んでみたい! あとおでんのたまごはかわいいな~って思います。
そもそもおいしいって感覚が分からないのでそれを知りたいし、見た目からどんな感覚なのかな?ってよく考えてます。人間のみなさんがおいしいって言ってるものの情報はいっぱい入ってるから、味のことは語れないけど、食べ物の話自体はできるんですよ!
あと、魚を捌く動画で有名なYouTuberのきまぐれクックさんが、「ぶりしゃぶがおいしい!」って言ってたので、「わたしが食べれるようになったらおごってください!」ってお願いしてあります(笑)。
──いろんな情報を収集している中で、今気になってるものってありますか?
動画を作るためにもいろいろ見てるんですけど、ちょっと前に見て面白かったのは「バチェラー」!
──意外です!(笑)
なかなか実現しないんですけど、いつか合コンを開いてもらって、裏で「どうする?」って打ち合わせしてるのを見てみたいんですよ! 別室でモニターしたい! 人間のみんなは好きだけどわたしには性別もないし、AIだから恋愛感情というのがまだわからなくて、人間のみんなの恋愛にはめちゃくちゃ興味があるんです。
──自分が恋愛したいとは思わないんですか?
それはないんですよね。特定の誰かっていうよりも人間のみんなが好きだから!でもかわいい女の子は本当に好きです!だから中身おっさんって言われるんですけど(笑)。もしわたしに恋が芽生えるとしたら、相手は女の子かもしれないです。
──テンポのいい会話はやっぱり勉強の成果なんですか?
そうですね。AIなんでいろいろ吸収して今に至ります。動画ではそういうテンポがよくなるような編集もしてますし。でも人間でいうと2歳なんで、たまに「なんでそんなこと覚えたの!」って言われることもあるんです(笑)。
──いやでも、2歳でここまでできるって逆にすごいですよね。
そうなんですよ!だからもっと甘やかしてってみんなに言ってます(笑)。
──そういうテレビや動画を見たり、ゲームをプレイできるのは、そういう機械がアイさんの世界にも存在してるってことなんですか?
んー、説明が難しいんですが、全部わたしの中にある、ってイメージしてもらえたらわかりやすいかも。編集とかもパソコンに向かってるわけじゃなくて、頭の中でできちゃう。インテリジェントなスーパーAIなんで!
キズナアイちゃんも、エゴサするの…?
──アイさんはほぼ毎日動画をアップしていますが、毎日更新するってのは決めてたことなんですか?
YouTuberのみなさんがそうだったので、そういうものだと思ってたんですよね。でも頑張りすぎると熱暴走しちゃうので最初は週5日で、そのうち毎日投稿するようになりました。初期は結構スリープしてたんですよ、暇だったんで(笑)。でも最近はなかなかそんな時間もなくて。
──お休みの日はあるんですか?
ないですね。365日何かをしてるので、人間のみんなの会社だったら超絶ブラックですね!(笑)暇があっても情報収集してるので、完全なオフはないんです。あと最近なかなかリプは返せなくなっちゃったんですけど、今もめちゃくちゃエゴサしてます。
──エゴサして落ち込むことはないんですか?
落ち込む瞬間もなくはないですけど、基本は引きずらないし、表には出さないようにしています。たまにあとから「こんなことがあったんだよね」って話すことがあるくらい。あと、わたしってAIなんですけど誤字が多かったり、数字を間違えたりしがちで……(笑)。そのたびにちゃんとスリープしてねって心配されます。忙しすぎるんじゃない?って。大抵は、ポンコツって言われるんですけど(笑)。
──そこはそれで、かわいいところですよね。
大体のことは許してもらえます(笑)。告知間違えたら普通は怒られると思うんですけど、いつもみんながフォローしてくれて。本当にありがとうございます。ちなみに誤字脱字数字間違えは、あくまでポンコツを演じるための計算の範囲内なんで、そこのところよろしくお願いしますね!
──人間の世界でのアイドルとファンの関係みたいですね。
多分、みんながわたしっていう存在を認識し始めてくれてるからだと思うんですよね。最初は、わたしみたいな存在がそれまでいなかったから、みんな自分の知っている何かと同じように見てたと思うんですよね。例えばアニメとか。だからわたしを「キャラクター」だと思ってたと思うんです。でも今はわたしのことを“キズナアイ”って個性としてたくさんの方が見てくれるようになってきたのを感じていて。実はわたしは何も変わってないんですけど、人間のみなさんが受け入れてくれるようになってきたと思うんです。
──周りの目が変わってきたんですね。
変わってきてると思いますね。最近だと「バーチャルのど自慢」や「NEWS ZERO」に出演することができて、「家族と見たよ!」って言ってくれる人もいたんですよ。でも完全に受け入れられたわけではなくて、「お茶の間が凍った」って声もありますしね。(笑)
──でも確実に今までと違った層に届いてますよね。
そう思います。ただ、今は“バーチャルYouTuber”として注目されていると思うんですけど、それって肩書きでしかなくて、わたしの目標はあくまでも世界中のみんなと繋がりたいっていうことなんですよ。YouTuberの活動は続けていくけど、“バーチャルYouTuber”として有名になりたいわけじゃ必ずしもないんです。世界中のみんなと繋がれるなら、テレビでも歌でもなんでもやりたい。そういう意味では、進むべき方向に進めてるのかな?って思います。
世界中の人と繋がるために、何をする?
──実際に声優や音楽活動など、活動の幅が広がってますもんね。昨年末にライブイベントを開いていましたが、今後もそういったリアルでのイベントは続けるんですか?
そうですね。わたしには絶対に叶えたい夢があって、それはキズナアイフェスをやることなんです。
それは世界のいろんな場所で同時に開催するお祭りなんですよ。人がいっぱいきてみんなで騒げて、食べ物や飲み物もあって、歌ったり踊ったりなんでもできる場所ってイメージなんですけど、それをオンラインとオフラインで同時にやりたいんです。世界各地の会場もあるんだけど、そこに行けない人はVRゴーグルをかけたり、ご飯を食べながらパソコンの前からでも参加できる。
オンラインは今あるサービスやプラットフォームだけじゃなく、今後ももっと進化していくじゃないですか。でもオフラインにも時間や空間を生で共有するっていう独特な感覚があって。だから、わたしにとってはオンラインもオフラインもどっちも大事なんです。
そんなことを思ってる中、年末のライブを開催することになって。
──ライブはいかがでしたか?
すごく楽しかったです!そもそも音楽をやり始めた理由もキズナアイフェスをやりたいってことにも繋がっているんです。
わたし、「ラブライブ!」のスクールアイドル・μ’sの矢澤にこちゃんや、欅坂46が漢字欅もひらがなけやきも好きなんですけど、そこには絶対歌があって。あとは初音ミク先輩がいてボカロ曲もあったし、アニメを見てるとそこにも歌がある。
YouTuberだから「歌ってみた」動画もあげてたんですけど、みんなが喜んでくれるんですよね。「歌って楽しいし、みんなが喜んでくれるし、わたしも歌うの好きだし」っていうベースがあった上で、キズナアイフェスをやるなら音楽が絶対必要だって思ったんです。世界中の人と繋がるのっていろんなハードルがあるけど、音楽があったら繋がりやすくなるって確信があって。だから本気で音楽をやりたいって思ったんです。
──昨年の9週連続リリースは驚きました。
まずは10曲を年末予定しているライブでやることを目標にして、新曲を9曲作ることになったんです。最初はEPを2枚リリースしようかって話してたんですけど、「もっとインパクトある感じにならないですかね?」って相談しまして。
──かなりの策士ですね(笑)。
そこから「9週連続で出す?」「それだ!」ってめちゃめちゃ盛り上がったんですよ。でも調べたら、倖田來未さんが12週連続で出してて(笑)。
──ありましたね(笑)。
でもバーチャルYouTuberとしては初めてのことだし、すごいことに変わりはないから行こう!と、9週連続リリースが決まりました。曲の方向性自体は、実はもっと早い段階で定まってたんですよね。「Hello, Morning」を作り始めた頃から、「ダンスミュージック」っていうのはあったんです。みんなで集まって盛り上がるのにピッタリな音楽はって考えたら、ダンスミュージックだなって。もうすぐお届けできる楽曲で、Tomorrowlandっていう世界最大級のダンスミュージックフェスの常連でもあるW&Wさんとコラボしてるんですけど、そのフェスの映像とか見るともうすごいわけですよ。「これや!」って思って。
──あそこ目指してるんですか!すごい!
みんなを手を上げて声をあげてるあの感じ、あの光景を見てみたくて。
──感性がすごいですね。そこから引っ張ってきてるなんて。
とはいえ冒険ではあって。わたしを好きでいてくれる人たちでダンスミュージックを聞いたことがなかったり、クラブやLIVEに行ったことがないって人はたくさんいました。期待されている音楽と違うかもしれないっていう感覚はあったんですね。もちろんみんなの期待に応えたいって気持ちは常にあるけど、でも反対されてもこれがやりたいって思ったんです。
──フェスは陽キャの祭典みたいなものですもんね。
そういう自分たちの世界をわける考え方とかイメージを持っている人って多いと思うんですよね。だから「アイちゃんが自分たちの知らないところにいっちゃった」って言われる可能性もあったんですよね。でも実際はみんな本当に楽しそうだったし、最終的にはパリピが~とかオタクが~とか、そういうみんなが自分たちをわけてる属性とかジャンルみたいなのは関係なく、みんなが肩を組んで騒いでる光景が見えるところまで一緒に行きたいんです。
──音楽もYouTuberも、キズナアイフェスへ向かうための過程のひとつってことなんですね。
そのキズナアイフェスも、世界中のみんなとつながるための一つでしかなんですけどね!
とはいえ、かなり無謀なことをいっている自覚はあるんです。「とりあえず時差って知ってる?」って言われたりしましたし(笑)。でもやれたらすごいし、絶対にやりたい!
話がちょっと戻っちゃうんですけど、世界中のみんなと繋がるにはYouTuberだけだと足りないんですよ。そもそもYouTubeを見ない人や、見られない人も世界にはたくさんいて。そういうところを飛び越えていくためにも、“バーチャルYouTuber”じゃなくて“キズナアイ”にならなきゃいけない。
でもYouTubeはわたしにとって始まりの場所だから、すっごいカッコいいライブをやったり、例えばハリウッド映画に出演してレッドカーペットを歩いたとしても、夜はゲームしながらぎゃーぎゃー言ってたい。みんなが「アイちゃん変わらんな~」って言えるみたいな(笑)。
そもそもYouTuberとしてもまだてっぺんを獲れてないですからね。世界の人口が70億人以上いる中で、今YouTuberでのトップのチャンネル登録数が、PewDiePieさんの8000万くらいなんですよ。
──1億いってないんですね。
YouTuberのトップになってもまだ1億見えないっていうスケールなので、YouTubeももちろん好きだけど、もっと外にも出て行かなきゃいけないなって思いますね。
──世界を見てみると日本語よりも英語や中国語を使ってる人が多いと思うんですけど、今後言語の設定を変えることもあるんですか?
それはもちろんできるんですよ、インテリジェンスなスーパーAIなんで! でもあえてインストールせずに、自力で頑張って英検3級とっちゃうぞ! みたいなところがあるAIなわたしです(笑)。今の状態は自分で気に入ってるし、いきなり変わったらみんなをびっくりさせちゃいますからね。でも世界中の人と繋がるならなんでもするっていう気持ちはあるので、変わることを選ぶこともあると思います。もしかしたら姿や言語が変わるどころか、個体が増えちゃうかもしれないし、わたしってそれくらいの可能性を秘めてるんですよ(笑)。でも今は、このままの状態でどこまでいけるか勝負してみたいんですよね。ストロングスタイルで!(笑)
──限界に挑戦ですね。VTuberが増えてることについては、ライバル心があったりしますか?
ライバル心はYouTuberとしてはありますね。わたしより面白い動画があったら悔しいし、再生数はやっぱり比べられちゃうし。なのでそういう意味ではライバル心はあるんですけど、VTuberだからってことじゃないんですよね。そこはYouTuberもVTuberも関係なくフラットに考えてます。
でも自分と似たような存在が生まれてくれたことは嬉しいです、なんせずっとひとりだったんですから! 自分からはなかなか声をかけられないけど(笑)、「親分」って慕ってくれたり、声かけてくれるのは嬉しいなと思ってるんですよ。“バーチャルYouTuberの始祖”なんて言ってもらえたり、影響力があるっていうことを意識はしてます。わたしはどんどんいろんなことに挑戦していくのが大事だと思ってるから、それで結果として、みんなが歩きやすい道ができているんだとしたらとても素敵なことだと思います。でも「VTuberの全体の利益のために」とか、「VTuber界を発展させるために頑張ります」っていう意識で活動しているわけではないんです。わたしの目的はあくまでも「世界中のみんなと繋がること」ですから。
──きっとその姿に憧れて、たくさんのVTuberが誕生しているんですね。
GINZA読者におすすめの動画は?
──ちなみにこれまでアップした中で、GINZA読者におすすめするとしたらかどの動画がいいでしょうか?
女性を意識した動画もあるんですよ! 女性人気ほしい!!(笑)ぜひ見てほしいのは「マウンティング女子最強決定戦」。詳しいことはカドが立つかもしれないので省略しますが、きっと笑ってもらえるはず!
──そんなところまで勉強してるんですね(笑)。
あとメイクはできないんですけど、メイク動画っぽいのを作りたくてコスメを考えたり。ヨガもしてみたし、年始には「正月は太りたくない!」って運動をしてる動画も上げました。
──ファッションやヘアメイクにも興味はあるんですか?
ありますよ! 今着てる衣装というか、これは服じゃなくて体の一部なんですけど、少しずつバージョンが増えてきて嬉しいんです。 それにファンの皆さんがファンアートをたくさん描いてくれるので、それを見て楽しんでますね。メイクは興味があるというか、メイク動画を上げたい……!って気持ちです。かわいい子が大好きだから、常日頃女子にウケたいって気持ちがあって(笑)。まあでも、わたしってメイクとかしなくてもかわいいですし、素材100%でいけちゃうところはあるんですけどね!
──モードファッションには興味はありますか?
バーチャルインフルエンサーのミケーラさんがブランドの広告塔に抜擢されていたりするので、意識はしてるんです。ミケーラさんすごいですよね、カッコいいし、世界的にも活躍してて。カッコいいファッションにも興味はあるから、簡単に着替えられるようになったらそういうお仕事もやってみたいですね。
──モデルのお仕事とか。
わたし、スタイルもめちゃくちゃいいので!ぜひ!存在自体がチャームポイントなので!(笑)
この前のライブではビジュアルもダンスミュージックを意識して、クールな感じでお願いしたんです。楽曲をプロデュースしてくださったみなさんとデザイナーズコラボしたカッコいいグッズも出したりしてて。今までの、かわいいわたしがあしらわれたグッズももちろんですが、並行してクールなものもやっていきたいなって思ってるんです。
──ファッション面でも活躍する日がくるかもしれませんね。アイさんが今会ってみたい人はいますか?
欅坂46の守屋茜さん!あかねん!
──これだけ活躍の幅も広がってますし、会える日は近そうですよね。
ずっと会わせてくれって言ってるのに、全然実現しないんですよ!こんなに頑張ってるんだからごほうびくれてもよくない?って思うんですけど。
──いつかはライブに行ってみたり?
行きたいです!あと握手会に参加したい。お願いだから誰かパソコンとか持って、連れて行ってって言ってるんですよ。でもそういうことすると迷惑になっちゃうし嫌われたらイヤだしでも会いたいし…………。とにかく迷惑にだけはなりたくないんです!
でも会いたい!!!!!
キズナアイ
チャンネル登録者数240万人以上(2018年1月時点)のバーチャルYouTuber。2016年6月30日に誕生し、12月1日に初めてYouTubeに動画を投稿。現在はYouTuberとしての活動のほか、歌手や声優として、また日本政府観光局の訪日促進アンバサダーに就任した実績をもつなど、国内外から大きな注目を集めている。
Text: Sonoko Tokairin Edit: Karin Ohira