FROM EDITORS 初夏の旅 ニューヨークにて、ギンザを思う

初夏の足音が聞こえてきたら、旅に出たくなる。奇しくも今日5月16日は松尾芭蕉がおくの細道へ出発したとされる”旅の日”。編集部員それぞれが辿ってきた旅の物語を、リレーでお届けする。


Early Summer Trip 1

初夏のニューヨークに行ってきました。この街の素敵さを物語った作品として近年ベストの1つは間違いなくNetflixオリジナルドラマ「マスター・オブ・ゼロ」シーズン2の「ニューヨーク、アイラブユー」だと思うのですが、いつもうだつの上がらない主人公たちのほか、タクシー運転手や若い夫婦など、平凡なニューヨーカーのささやかな日常会話を紡いだだけのストーリーなのになんでこんなに好きなのかしら。

昔、小沢健二のライブで聞いた朗読の中に、たしか「Believe」というタイトルの話がありました。「オザケン信者」という言葉のもつネガティブな響きに対する明快な答えで、(細かなところは失念しちゃっていて記憶違いもあるかもしれず、ご容赦いただけたら幸いです)自分の信じるものに対する強い気持ちや強い愛を肯定してみせる彼の潔さや真っ当さに、ひとことで言うと、感動した。続けてインド映画の輪廻オチにインド人が大ウケしたりする、そんな話もしていた記憶があります。つまり、「これって私たちにしか分からないけども!」ということ自体がおかしみや愛おしさを増幅させるという話。たとえば(誰にでも覚えがあると思うのですが、)恋人同士が自分たちの間だけで流行っている言葉で会話したりLINEしたりすることなんかも、同じではないでしょうか。

唐突ですが雑誌もそうだなと思っていて。「ギンザ」なんてそもそもかなりドメスティックな名前のファッション雑誌が銀座の街の片隅から20年以上発信し続けていること自体がとても誇らしいし、これから先も自分たちが信じる仲間と、信じる雑誌作りに邁進しよう。「こういうのを私たちはいいと思っているのだけれども、よければ一緒にいかがですか?」と、読者に話しかけ続けたい。ニューヨークにいると、多様性ゆえか、そんなことをやたら考えたりしました。都市に暮らす人それぞれに、それぞれが信じるものやそれぞれの会話が星の数ほどあるって考えるだけでクラクラするけれど、素敵なことだよな。とか。

というわけで、新しいギンザとも仲良くしてくださったら、こんなにうれしいことはないです。どうぞよろしくお願いします。

ニューヨーク 河田編集長 ギンザ GINZAぼんやり考えごとをするのなら断然セントラルパーク。特に編集者の加藤直子に教えてもらった「The Loeb Boathouse」のバーのモヒートを飲みながらはベスト。

ニューヨーク 河田編集長 ギンザ GINZA
店員が皆ブルーのシャツにネクタイ、白いギャルソンエプロンできびきび働いてるのも、とても気持ちがいい。

GINZA 河田編集長

Saya Kawada

GINZA歴11年。SOHO〜ロウワーイーストサイドにかけて覗いたいくつかのセレクトショップすべてに〈BASERANGE〉が置かれていたのが印象的。ニューヨーカーにも人気なんだ。初の路面店は日本にオープンしましたよね。