平成元年生まれのオタク女子4人組からなるグループ「劇団雌猫」が、オタク心を持つ読者の日頃の悩みをズバっと解決。応募フォームに集まったお悩みに、メンバーである、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんが月替わりで回答します。前回のお悩みはVol.29 いい歳してフリルやリボンが大好きな私。このままで大丈夫?
平凡で退屈な人生。このままでいいのでしょうか?【劇団雌猫 愛と浪費のおなやみ劇場 vol.30】
質問
今月の悪友:ドリスさん
こんにちは!いつも楽しく拝読しています。趣味の映画鑑賞をするうちに、「はて、自分の人生は映画化に値しない(=魅力的ではない)んじゃないか?」と考えるようになりました。地元で進学・就職し、勉強も仕事も真面目に取り組んできましたが、真面目で無難な選択をしてきたことが今になって「普通でおもしろくない」と感じられます…。大成功も大失敗もせず、当たり障りのない道を歩んでいる気がして、このままでいいのか?という漠然とした不安があります。劇団雌猫の皆さんも、同じような気持ちを抱いたことはありますか?また、人生の選択に迷った時にはこの考え方で判断している!など、ご自身の外せない基準のようなものがありましたら教えてください。
劇団雌猫からのアドバイス
今月の回答者: もぐもぐさん、ひらりささん
ひらりさ 今回はひらりさ・もぐもぐペアでお送りします!ドリスさんのお悩みは「自分の人生が当たり障りなくてこれでいいのか不安」ということだと思うのだけど、もぐもぐさんは似たような不安を感じたことある?
もぐもぐ あるよ、気持ちわかる!ドリスさんは今大学4年生とのことだけど、私もその時期は具体的に将来が見えてくる中で「私の人生、この先もこのままなんとなく過ぎていくのか……?」って妙に不安になったのを覚えてる。
ひらりさ たしかに、子供の頃は「将来の夢」ってなんでも書けたけど、20代過ぎるとある程度自分が選べるオプションが見えてきてしまうから、その中で選んでることに気づいてモヤモヤが湧いてくるのかも。
もぐもぐ そうそう。いい意味でも悪い意味でも、道が狭まってきたことを感じてしまうよね。
ひらりさ 私は今32歳でドリスさんより10歳上なんだけど、「20代にもっと冒険しておけばよかった」病に苛まれているよ。
もぐもぐ 熱い!冒険って、例えばどういうこと?
ひらりさ 当時は就職するならお金を稼げる仕事がいいなとか、世俗的な物差しで物事を選んでいたのだけど、よくよく考えるとそもそも頭から抜けていた選択肢がたくさんあったのかもしれないなって。まぁ、当時の自分が思い付かなかった時点で大してやりたいことではなかったんだと思うのだけど。
もぐもぐ 「これやっておけばよかった」というより、「もっと視野を広げて選択肢を見ておけば他にもやりたいことがあったかもしれない」ってことか。
ひらりさ そうそう。やっぱりその時の環境で得られる情報でしか人生は作られないじゃない?そう考えると、大学生の時はなんとなく決めた学部の中でみんなが目指しているような職業に就きたかっただけだったなぁと。だから、ドリスさんがもし「映画みたいな人生」に憧れるなら、ちゃんと選択肢を洗い出しておくのはありだと思う。
もぐもぐ そうだね、「結局、何に憧れてるんだ?」って考えてみるっていう。私は「普通すぎて面白くないんじゃ?」と不安になる気持ちはわかるけれど、「映画みたいな人生」に憧れたことはないんだよね。そもそも、映画化に値する人生なんてそうそうないよ!(笑)
ひらりさ たしかに「映画になる人生」と聞いて思いつくの、『ハドソン川の奇跡』くらいだよ。
もぐもぐ 飛行機事故の話だっけ?
ひらりさ 主人公はパイロットで、いつものように旅客機を離陸させたら、バードストライクっていう事故に遭ってしまうの。エンジンが止まっちゃったけど近隣の空港への着陸が難しく、咄嗟の判断で川に旅客機を着水させることになるのね。毎日コツコツ鍛錬を積んでいたからなんとか助かってお客さんも全員無事だったのに、「他の手段をとれたはずだ」と訴えられるという…。
もぐもぐ 頑張ったのにかわいそう(笑)。飛行機事故に遭ったり犯罪を起こしたり革命家になったりしたら映画になる可能性は高まるけど、リスクが大きすぎる……(笑)。
ひらりさ 『ハドソン川の奇跡』でいうと、真面目に平凡にパイロットをしていた人が急に事故に遭遇したわけで、人生はのんびり仕事していても突然自分の判断で成功と失敗が決まってしまう瞬間がやってくるっていうことじゃない?そう考えると、今ここで何かが起きた時に最善の行動を取ろう!と思いながら鍛錬を積むだけでも映画化に値すると思うの。
もぐもぐ いい言葉!そういう名前のないたくさんの人の存在で、社会は成り立っているもんね。
ひらりさ 細かい心構えで、映画の主人公としての自覚を積んでいくことはできる。
もぐもぐ たしかに「どうせ映画化に値しない人生…」って落ち込むより、「私が主人公として生きるんだ!」っていう心構えの方が楽しいことがたくさん起きそう。
ひらりさ あと、同じクリント・イーストウッド監督の『15時17分、パリ行き』という映画があるんだけど…って、今日映画の話しすぎ?
もぐもぐ 『GINZA』だしOK!
ひらりさ 『GINZA』さんの懐の深さを信頼します(笑)。これは電車の中で無差別テロが起きたのに抵抗して死者ゼロに収めた若者3人を中心にした実話を乗客本人たちに演じさせている映画なの。
もぐもぐ 本人が演じてるんだ!?面白そう。
ひらりさ 映画内での描き方も、特別な紆余曲折があるというわけではなくて、その若者3人がただただ性格が良くて日頃から体を鍛えていたり、事故が起きるまではヨーロッパ旅行を無邪気に楽しんでいたりする映像がひたすら流れるの。つまり、「誰もが映画の主人公になる」ことを描いてるんだよね。
もぐもぐ たしかに、超天才とかめちゃくちゃ容姿端麗とかじゃなくてもみんなそれぞれ物語があるもんね。ドリスさんは相談文では「魅力的ではない(人生)」って書き方をしているけど、もしかしたらエキサイティングな人生を歩みたいというより、他人から見て素敵な人生を歩みたいっていう世間的な評価に重きを置いているのかな?と思った。もし、なんとなく毎日退屈だなって思うなら、例えば3カ月とか期間を決めて、主人公になった気持ちで今までやったことないことにトライしてみるのはいいかも。
ひらりさ 昔、友達が毎月新しいことをやるって決めてたんだよね。そんな大それたことではなくて、例えば「立ち食い蕎麦を食べてみる」とかそういうレベルだったけど、生活に起伏を作っていてすごく楽しそうだったよ。
もぐもぐ いいね!たしかに立ち食い蕎麦って意外に行かないね。知らない駅で下車したり、興味あったけど踏ん切りつかなかった習い事をやってみたり、いろいろできる〜。
ひらりさ そこが「きさらぎ駅」(※)である可能性はありますが……。ドリスさんもコロナ禍で家でじっとしていないといけない期間が長かったと思うけど、最近少し落ち着いてきていると思うから様子見ながら普段やらない行動をとってみるといいかも。
(※)インターネットの都市伝説として知られる無人駅。
もぐもぐ そうだね、まずはやりたいことを書き出してみたら、それだけでも楽しい気持ちになれそう!22歳で就職が決まっていたりすると、子どもの頃のように無限の可能性があるとまではいかないと思うから、これからは「これしかない!と縛りつけすぎない」くらいの心意気の方が考えやすいのかも。じわじわと選択肢を広げてみたり、同じ道を歩むにしても少し寄り道をしてみたり。
ひらりさ 経済的なハードルはあるかもしれないけれど、今は第二新卒や転職の幅も広がっているから、もし「あの職種に興味あったのに」みたいな思い残しがあるのであれば挑戦してみてもいいかもしれないね。
もぐもぐ そうだよね。コロナ禍で制限された分、今から動いていくのでも遅くない!私は学生時代より働き始めてからの方が新しい出会いや発見があって楽しいから、ドリスさんにも楽しい未来があるといいな。
ひらりさ 応援しています!
☆次回 かん・もぐもぐが登場します☆
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