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伊藤万理華「誰かのホーム・スイート・ホーム」vol.04 ひらのりょうさん

伊藤万理華「誰かのホーム・スイート・ホーム」vol.04 ひらのりょうさん

映画『サマーフィルムにのって』では時代劇オタクの高校生を、『もっと超越した所へ。』ではダメ男に振りまわされる金髪ギャル役を熱演。来年春まで、舞台や映画に引っ張りだこの俳優、伊藤万理華さん。多忙を極めながらも、プライベートでは、気が済むまで服や漫画をディグる日々。つねに頭の中で「好きなもの」をブックマークし過ぎてパンク気味の伊藤さんが、仕事仲間やクリエイターをゲストに迎え、勇気を出して部屋にお邪魔させていただく連載、第4回をお届けします。前回はこちら


第4回のゲストは、アニメーション作家のひらのりょうさんです。鮮やかな色彩と躍動感あふれる最新作のアクション&ホラー短編アニメーション『Krasue(ガスー)』は世界20カ国以上で上映。2021年に公開された『サマーフィルムにのって』では、劇中アニメーションのシーンと、パンフレット内に描き下ろし漫画「サマーフィルムにのって あれから」で参加。そして2022年秋、伊藤さんのファンクラブサイト「#脳内博覧会PLAYLIST」内で摩訶不思議なアニメーション映像が公開されたばかり。忙しく制作に追われているであろうひらのさんが、長野県・八ヶ岳の近くで移住生活を送っているとの情報を小耳に挟み、なんだか最近自然に癒されたい気分の伊藤さんと、お宅へうかがうことになりました。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム| ひらのりょう

伊藤万理華(以下、伊藤) まさか長野県に引っ越していらっしゃるとは思いませんでした!住み始めてどのくらいですか?

ひらのりょう(以下、ひらの) ちょうど一年半ほど経ちました。同居人がこのエリアにハマって、最高の物件を見つけてくれたので、思い切って移住しちゃいました。遠くまで来てくれてありがとうございます。

伊藤 いかがですか、こちらの生活は。

ひらの 寝るのが早くなりましたね。夜12時くらいには眠くなって、朝7時くらいには起きています。庭で野菜なんか育ててるんですよ。

伊藤 理想的です。いつかこんな生活してみたいなあ。

ひらの 田舎だけど、近くにコンビニもスーパーもあるし。ものづくりをしている人で、東京から移住してくる人も増えているエリアなんですよね。高速バスのバス停も近いので新宿までも出やすい。僕の仕事って基本どこにいてもできるので、不自由は感じていません。

伊藤 このお家には、松本(壮史)監督もいらっしゃいましたか?

ひらの 来ました来ました。僕と松本さんは、もともと大学の同級生なんです。学生の頃は、一緒に住んでいた時期もあります。

伊藤 初めてひらのさんを拝見したのがロロの舞台「はなればなれたち」に出演されていたときで、てっきり役者さんだと思ってました。

ひらの もともとロロの舞台がすごく好きでよく観に行ってたんですけど、演出の三浦(直之)さんと知り合ってから、意気投合しまして。ある日突然「役者として出てくれないか」と言われたんです。一瞬耳を疑いましたが、人生で1回くらい、演技やってみようかなと思って(笑)。

伊藤 すごくお上手でした。その少し後に映画『サマーフィルムにのって』の劇中で、私が描いた相手役・凛太郎のイラストを、ひらのさんがアニメーションで動かしてくださることになって……めちゃ感動しました。

ひらの 僕自身も、『サマーフィルムにのって』に関われて光栄でした。松本さんが撮る初めての長編作品だって聞いていたんですけど、試写を見て「同級生がこんな名作を作ってしまうなんて!」と心底驚きましたね。

伊藤 パンフレットの中にアフターストーリーの漫画も描いていただいて、さらに感動。

ひらの いやあ、韓国でもタイでも大ヒットでしたよね。

伊藤 私もここまでロングランになると思っていなくて、驚きました。

ひらの そんな繋がりもあって、伊藤さんからアニメーション制作の話をいただけて嬉しかったです。

 

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伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム| ひらのりょうさんの作品

伊藤 そうなんです。ファンクラブサイトで映像を作ってみようとなりまして、真っ先にひらのさんが思い浮かびました。音はパソコン音楽クラブさんにお願いしました。以前から、パ音(パソコン音楽クラブ)さんの音楽は、ひらのさんとマッチしそうだなと思っていたので。みなさん快諾してくださって、Zoomでの顔合わせもすごくスムーズでしたよね。

ひらの まず伊藤さんに好きな色とかモチーフとか聞いてみたんですけど、だいたい好みが同じだとわかって安心したので、早々に切り上げました(笑)。

伊藤 宇宙とか、石とか、恐竜とか。私が好きなものばかり詰まっていて嬉しかったです。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム

ひらの あのアニメーションは、魔術の本とか参考にしたかな。僕の本棚に、伊藤さんが好きなものは多いはず。タロットとか、フリーメイソンとか。

伊藤 わあ、めちゃくちゃ好きです。そういえば私、いつからこういうのが好きなんだろう…。小さい頃、周りの友だちは女の子とか描いていたけど、私は変な色のキノコとか蝶々とか描き続けてました。ひらのさんは小さい頃、何を描かれていましたか?

ひらの なんだろう、妖怪とか描いてたと思います。

伊藤 想像できます。あっ!『マンアフターマン』私も持ってます。

ひらの えええ、これは希少本だから持っている人すごく少ないはず。

伊藤 めちゃくちゃ影響を受けた本です。3年ほど前に、フリマサイトで頑張って探して買いました。帯あり、羨ましいなあ。

ひらの 僕もずっと探してやっと買えたんです。「もしも恐竜が絶滅してなかったら」とか「もしも人類が滅亡したら」なんかをテーマに奇妙な生物を紹介してる本で、作者のドゥーガル・ディクソンは古生物学者なので真実味があるんですよね。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム

伊藤 こいつが一番好き。遺伝子組み替えされたパック付き人間。狂ってますよね。

ひらの すごくわかる。最近買ったお気に入りは、エド・サイモンの『アートからたどる 悪魔学歴史大全』。こういうモンスターの図鑑って、RPGゲームとかにめちゃめちゃ影響を与えてるはずです。

伊藤 確かに、ゲームのリファレンスになっていそう。モンスター系だと、漫画の『天国大魔境』にもハマりました。

ひらの 石黒先生の名作ですね。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム

伊藤 ひらのさんのアニメーション作品には、ホラー要素も入ってくるところが個人的にツボなんです。初めてちゃんと作品を見たのは、NHKの『テクネ』だったと思います。たしか、懐メロの映像だったような。

ひらの 西田佐知子の「くれないホテル」ですね。MVがなかった時代の懐かしい楽曲に映像をつけるっていう企画だったんですよね。

伊藤 同じ企画で、別の監督の映像作品に私も出演させていただいたことがあって、オンエアを見ていたらひらのさんのアニメーションが流れてきて。色使いとかモチーフがすごく好きで、チェックしていました。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム

ひらの 伊藤さんのために作ったアニメーションのデータもしっかり残ってますよ。パソコン2画面で、こうやって粛々と作っていたんです。

伊藤 うわ〜!え、こんな風に作ってたんですか!UFOとかプテラノドンとか。全部1つ1つレイヤーが分かれてたんですね!すごすぎる……。ここの隕石飛んでくる展開が好きです。撮影して大丈夫な画面ですか?企業秘密ですよね?

ひらの 大丈夫です(笑)。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム| ひらのりょうさんの飼い猫

伊藤 ところで、この猫ちゃんとはどこで出会ったんですか?

ひらの しゃがれと言います。春日部の実家に住んでいた頃、雪の日に、突然僕の部屋に迷い込んできた子です。窓を開けたらトコトコ入ってきて、僕の膝の上に乗ってきて。そのまま住み着いちゃいました。

伊藤 運命的ですね。どのくらい一緒に過ごしてるんですか?

ひらの もう10年くらいのお付き合いかな。この家に、猫があと2匹います。

伊藤 しゃがれさんと一緒に写りたい!かわいいね〜いい子だね!

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム

伊藤 ひらのさんのお家、本当に癒されました。今度またゆっくり遊びに来てもいいですか?

ひらの もちろん! 鍋でもつつきましょう。

伊藤万理華|誰かのホーム・スイート・ホーム|ロゴ

連載4回目のカラフルな題字は、ひらのりょうさんに描いていただきました。モチーフは、冒頭でご紹介したアニメーション映像にも登場した脳みそや、異世界からやってきた毛むくじゃらの生き物など。愛らしさの中にも毒のある、そしてどこかワクワクさせられる、ひらのさんの頭の中を覗き込んだようなイメージが広がっています。

伊藤万理華  いとう・まりか

1996年大阪府生まれ。乃木坂46のメンバーとして活動後、2017年に卒業。映画、舞台など俳優としての活動を本格化する。2020年に2度目となる個展「HOMESICK」を開催し、漫画家やデザイナーなど数々のクリエイターとのコラボレーションが実現。2021年は主演を務めた映画『サマーフィルムにのって』(松本壮史監督)が映画祭で数々の賞を受賞、ドラマ『お耳に合いましたら。』で主演を務める。2022年10月、金髪ギャルの役を演じた映画『もっと超越した所へ。』が公開、待機作に今冬公開予定の映画『そばかす』(玉田真也監督)がある。また、10組のクリエイターと共に作り上げた書籍「LIKEA(ライカ)」が12月20日に発売、その本を軸に発想を得たパルコ展覧会三部作最終章『LIKE A EXHIBITION LIKEA』を12月2日(金)~12月19日(月)の18日間、GALLERY X BY PARCO(渋谷パルコB1F)にて開催。

ひらのりょう

1988年埼玉県春日部市生まれ。アニーメーション作家。FOGHORN所属。産み出す作品はポップでディープでビザール。文化人類学やフォークロアからサブカルチャーまで、自らの貪欲な触覚の導くままにモチーフを定め作品化を続ける。その発表形態は、アニメーション、イラスト、マンガ、紙芝居、VJ,音楽など多岐に渡る。国内のみならず、海外の映画祭や芸術祭でもたびたびアニメーション作品が上映されている。

公式サイト

Photo: Takao Iwasawa(THE VOICE) Text: Satoko Muroga Title logo: Ryo Hirano & Marika Ito

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