ニューヨーカーと話していて驚くのが、結構多くの人がメディテーションを実践している(憧れて試そうとしている)ということ。ヴィンテージショップで働く友人からはメディテーションの本を勧められ、別の友人はハワイのヴィパッサナー(期間中、誰ともコミュニケーションを取らず、目も合わせないというメディテーション・トリップ。ネットはもちろん、読書や書き物もしてはいけないそう!)から帰ってきたばかり。また、この前インタビューしたスタートアップ企業CEOの30代の女性も、毎朝、メディテーションから1日をスタートしていると話していた。
ヨガをきっかけに始める人もいれば、マインドをリフレッシュ&リセットしたいと思う人、アメリカやヨーロッパとはまったく違う東洋の考え方に興味を持って感化した人など、理由はさまざま。
気になるけれど、どんな風に始めたらいいのかな……と思って、向かったのがチベットハウス。そう、ここはダライ・ラマが代表を務めるカルチャーセンター&ギャラリー。マンハッタンのユニオンスクエアの近くにあって、毎週火・水・木の1時から45分間のランチタイム・メディテーションが行われている。
「先生はやっぱりお坊さんかしら?」と思っていたら、やってきたのはこちらの男性。心理療法士でもある、笑顔が優しい、とっても気さくなAARON LAUBER(エーロン・ラウバー)先生。
イスが用意されつつも、床に座ったひともいて、「どっちの方がいいのかな?」と尋ねると、「どこでもいいんだよー自分が居心地のところで」とのこと。さて、気になるメディテーションは、こんな内容でした。
Step1. ティンシャの合図でスタート
ティンシャと呼ばれるチベットのベルを鳴らして、メディテーションがスタート。好きな姿勢でしっかりと座り、目を閉じて、まずは呼吸にフォーカス。「あれ、鼻呼吸?腹式?」なんて考えていると、「どんな呼吸法でもいいんですよ。楽に、自然に、体の隅々に酸素を送ってあげるイメージで息を吸って、吐いてくださいね」。
Step2. 体をゆっくりスキャニング
呼吸に意識が集中してきたら、今度は先生の「かかと……、ヒザ……、腰……」といったガイダンスをもとに、足の先から、頭のてっぺんまで、体のいろいろな部分にゆっくりと焦点を当てていき、体をスキャンしていきます。「どこか痛いとか、調子の悪いところはありますか?メディテーションで痛みを取るというわけではありませんが、違和感のある部分をしっかり感じて認識しましょう」。
Step3. しばらく空白の時間
「それでは少し静かにします。フォーカスできなくなったら、いつでも基本の呼吸を思い出してくださいね」。途中で、外の騒音が聞こえても、先生は「大丈夫、気にしないで」とひと言。
Step4. 休憩&おしゃべりタイム
再び、ティンシャのベルが鳴ると、一旦休憩。ちょっとした自己紹介をかねて、みんなでおしゃべり。数年、通っているベテランから、「仕事が忙しすぎて、気分転換したかった」というひとに、私のようなビギナーも。「大統領選以降、ネガティブなニュースが多すぎて、気持ちが落ち込んじゃって」という話には、「僕たちは、嫌なことやネガティブなことを感じると、抵抗しようとしてギュッと力が入ってしまう。それか、その気持ちを避けようと、見なかったふりや無視をしてしまうことがある。でも、そんなフィーリングも認めてあげることがとっても大切。僕たちにはいろんな感情があるからね」と先生。
Step5. 最後はマインドのスキャニング
再び、メディテーションをスタート。次は、心のスキャニング。「今はどんな気持ちですか? 喜び?悲しみ?怒り? 心には小川のようにいろんな感情が通り過ぎていきます。ひとつひとつを感じながら流していきましょう。もし集中しづらかったら、いつでも最初の呼吸に戻ってくださいね」。ラストはまた静かな時間を経て、セッションは終了。
ふー。メディテーションといえば、邪念を解き放して「無」の状態でいなければいけない!なんて思っていたけど、けっこう気楽に試せるものなんだなぁというのが、率直な感想。いつでもクラスに参加できるわけでもないし、家でも始めてみたいなと、先生にビギナーに向けてアドバイスを尋ねると、
1. まずは、じっと座ってみる。
「5分間じっと何もせずに座ってみて。イスでもいいし、床でもいいし、どこでもいい。たったそれだけでいいんだ。『こうしなきゃ、ああしなきゃ』なんて、ルールは考えずに」。
2. お気に入りのガイドに沿って。
始めは、自分ひとりでメディテーションするのはなかなか難しいもの。だから、「アプリやCD付きの本などのガイドに添ってみるのがいいよ」と、先生がオススメしてくれたアプリは、「Insight Timer」「Calm」「Headspace」(こちらは英語のみ)。
「さまざまなメソッドがあるし、自分に合う、合わないという好みもある。いろいろ試してみて、しっくりくる方法を見つけてみて」と、エーロン先生より。
ちなみに、こちらのチベットハウスUSは、今年で創立30周年。先日は、ミニマル・ミュージックの巨匠フィリップ・グラスの80歳とWのお祝いでベネフィットコンサートを開催しました。場所は、由緒正しきNYを代表するベニュー、カーネギー・ホール。参加アーティストは、パティ・スミス、イギー・ポップ、ローリー・アンダーソン、ニュー・オーダー、ベン・ハーパー、アラバマ・シェイクス、スフィアン・スティーヴンスなどなど。NYレジェンドがずらり、さらにロックフェスより豪華なラインナップに痺れました!チベットハウスに集まる面々がすごすぎ!
22 West 15th Street, New York, NY 10011
☎212-807-0563
営:10:00〜18:00
休:土&日
ランチタイム・メディテーションは、毎週火~木 1:00~1:45。$10(サジェスティッド・ドネーション)