高橋れいみさんにご紹介いただいたのは、フリーランスのグラフィックデザイナー・石川愛子さん。
「ときどき『てよみ』という名前で手相もよみます。住まいが職場でもあるので、食う・寝る・働くの切り替えができた方がいいだろうと3つの部屋がある古いマンションに暮らして早10年。ライフもワークもごった煮で生きてしまいがちなので、いつか自分という大枠ででーんっと構えて大きなワンルームとかに住むために人間力を高めたい!と思ったり、思わなかったり。」
愛子さんの暮らしの3か条
1.食う・寝る・働くを3つの部屋に分配
2.自力で持てないもの、洗えないものはなるべく所有しない
3.どこでもラジオが聴けるように!
散りばめられたデザイナーズ
仕事部屋はユニットシェルフで打ち合わせテーブルと作業場をゆるく仕切っています。テーブルと窓に飾っているクロスはコウモリヤさんデザインのテキスタイル。冴えた黄色の発色が好き。月末はここで私の母(占い愛好家)が占うサンメイガクサロンもおこなっています。
出先で拾ったどんぐりなど、何かありがたそうなものをちまちま置いている玄関まわり。ランドマークは広瀬良二さんのオブジェ。空間にぽつんと打たれた黒い点が異次元に繋がっているようでとてもお気に入り。
三つ葉の松の葉は私は見つけたことがないのだけど、四葉のクローバー的なラッキーアイテムらしく、母がちょこちょこ見つけたのをくれるので置いています。後方に燃え盛っているのはテディベア作家・外間宏政さんの作品。
信じるものは救われる・・・
玄関入って廊下突き当たりに鎮座ましましたる猫は、ミグラトリーで偶然見つけたもの。キリッとしたお顔に行儀の美しいシルエットが木板からぼうっと浮き出ていて、その神聖さからうちの守り神的ポジションに。
タモリ祭壇。うちに初めて来た人が「タモリさんお好きなんですね」と言う率87%(当社ざっくり調べ)。「やる気のある奴は中心しか見てない。面白いことは周辺から生まれる」というタモリさんのお言葉は肝に据え置き。
占い小道具たち。30分砂時計は手相をよむときの目安用だけど、夢中で話していると見る間もなくだいたい全砂落ちていたり。SEINで見つけたうつむくライトはヨーロッパのヴィンテージで、手のひらを照らすのにちょうど良い。木製の子ども箸は、ほどよい先端の丸さで手のひらの線をやさしく指し示してくれます。気学の本は母からの課題図書だけど、古い本で一行が54字もあり、同じ行を二度読みする率が高すぎてなかなか捗らず。
寝るところは気が散らないよう、だいたい白いものを選んでいます。北枕で頭寒足熱のおかげか死んだようにいつもぐっすり。朝起きたらまずラジオをつける。テレタビーズのポーは内蔵電池をとってあるのでもう喋ることはないけど長年傍にいてもらってます。カエルの王子様はポーの相方。
ローな幸せを感じ取る
たまに友人たちと料理の実験会もする食事部屋。遊牧民みたいになるべく腰を据えない暮らしが理想なので、ソファはなく座布団でごはん。ACMEのローテーブルはさらにローにしたくて自分で足を短くしました。TVボードも同じくローなものを。このローな空間でごはんを食べながら寝ちゃうこともしばしばだけど、それもなかなかの幸せ。
ズボラ人間なので、植物は手間がかからず丈夫なものを。もっぱら多肉が増えてきています。アロマティカスは、ベルベッドな肌合いに爽やかミントの香りがするところが何か奇妙で、いつもなでなで見入ってしまう。右のガジュマルの鉢は、高校生のときに使っていた陶器の筆洗に炭のハイドロカルチャーを入れたもの。この仕様で10年以上生息している頼もしさ!
意識は高くない系だけどバランスボールに乗って仕事しています。空気で微妙に高さが調整できて便利。でもうっかり居眠りできないのが難点。仕事中はだいたいラジオをかけていますが、面白いのがないときは、昔 MDに録音したラジオを繰り返し聞いています。2007年頃の菊地成孔さんの「THE UNIVERSE」はほとんど落語のよう。
最近、近所の古道具屋・マルカクさんで見つけた古い鉄瓶。錆がちょっと出ていたのを緑茶カテキンで黒くするようメンテしたりして少しずつ育てている。これで沸かしたただのお湯が美味しすぎてもう電気ポットには戻れない。対して、アラジンなコーヒーサーバーは古い相棒。実家を出るときに親が使っていたものを譲ってもらいました。出自も素材もデザインも全く違うけど、この2つが力を合わせて毎日美味しいコーヒーを仕上げてくれています。