私と部屋 vol.92 暮らしを彩る、家具の意匠とストーリー。名作椅子でゆったりと寛ぐ ー 田中 遥さん

結婚を機にデザイン性が高く広さのある住居を探し、都心ではなく郊外に住むことを決めました。同時期に独立したため、なおさら都心に拠点を構える意味が薄れたので、良いタイミングだったと感じています。デザイン、広さ、機能性どれを取っても申し分のない住居を見つけることができました。

建物の作りはアメリカ建築で、インテリアはフレンチミッドセンチュリーのアイテムや、その当時活躍していたフランスのデザイナーズヴィンテージをメインに構成しています。庭から共有スペースにかけてのグリーンはSOLSOが監修していて、窓から見えるセンスの良い景観にいつも癒されています。

個人的にフラワーベースは大きめのものをどんと置いてしまう方が、雑多にならずレイアウトしやすいです。ヴィンテージのキャビネットには〈101〉のセラミックベースを。

奈良の木材と伝統的な技法を用いたテレビ台は、シャルロット・ペリアンのクリエイションにインスパイアされてオーダーしたもの。日本の古くからの技法やプロダクトに対する考え方もモダンに昇華させる彼女のデザインが好きです。僕の中ではチャレンジでもありましたが、案外しっくりきて気に入っています。

アルネ・ヤコブセンのベルビューランプとバタフライチェアはテレビ前に。我が家にはソファがないので、このリラクシングチェアと、サイドテーブルにもなるスツールを並べてくつろいでいます。とはいえ一人しかゆったりと座れないので、いつも妻と取り合いに！

ピエール・ガーリッシュのチューリップチェア。僕が家具にハマるきっかけにもなった、一番思い入れの強い一脚です。座ることはほとんどなくオブジェ的に置いています。

部屋を象徴するチェアは、フランスにゆかりのあるものばかり。余白を持ってレイアウトする方がお気に入りの家具が綺麗に見えるので、インテリアは最低限のものでさっぱりと並べています。友人が来客すると「本当にここに住んでる？」と疑われることも少なくありません（笑）。

溶岩石が用いられた〈モアライト〉の照明をダイニングスペースに下げています。鉱物というジャンルレスなデザインが、ミックス感のある部屋に馴染んでくれています。

キッチンツールは基本的にステンレスで統一し、クリーンさを意識しています。並べているのは、陶芸作家・田中美佐さんの代表作「静かな空」という作品たち。ずっと憧れていて、個展でも即完売が続いているシリーズですが、たまたま良いタイミングで出会えたのでまとめ買いしました。ガラスと磁器を組み合わせた清涼感のある見た目と、光が差した時の表情がとても気に入っています。

2階の一部屋を丸々衣装部屋にしています。地味なポイントですが、ドアも木材の温もりが感じられてお気に入り。

引っ越す際に妻から化粧台が欲しいと言われましたが、なかなかしっくり来るものが見つからず、無理矢理デスクを化粧台代わりに使ってもらっています。この椅子もピエール・ガーリッシュによるもの。妻も僕も大好きなデザイナーです。

洗面所は雑多になりがちなので、これだけしか置かずシンプルに。タイル張りの壁は妻のお気に入りで、この物件の大きな決め手にもなりました。