「アクセや小物を手作りして売りたい」「自宅で料理サロンを開きたい」など、好きなことの延長でスモールビジネスを起業したり、ライフワークになるような兼業をしてみたいと憧れる人は多いはず。
新しいことにチャレンジしたいけれど、夢に近づく第一歩をどう踏み出せば良いかわからない女性に向けて東京大学を卒業後、外資系企業を経て、農家での経営改善が話題となっている、“改善のプロ”・佐川友彦さんに考え方のコツを聞きました。
第3回目のテーマは「課題解決」。壁にぶつかった時こそ、合理的に考え具体的に動こう。前回の「目標に向かって努力を続けるための習慣化術とは?」も合わせてチェック。
壁にぶつかったら「課題解決」で乗り越える。スモールビジネスのススメ vol.03
●人生に効く「課題解決」とは?
「課題解決」とは、シンプルにいえば理想と現実のギャップを埋めてあげること。なりたい自分や、あってほしい社会という理想に対して、足りていない自分やうまく行っていない現実をどうやって理想に近づけるかを課題に設定すると良いです。ビジネス用語ではありますが、生きていく上でも、仕事の上でも大切なものだと思っています。
例えば「ビジネスを始めるのに、どんなジャンルを選べばいいのかわからない」「思ったように周りからアクションがない」「やりたいことはあるけれど資金が足りない」など、悩みはありませんか?原因は何だろう、こういう時に何ができるだろうと、合理的考えていくことが良い訓練になります。
まずは人生や働き方を棚卸しをすることから、はじめてみましょう。今後こうなりたいというあるべき姿と、今の状況で足りていないことを、リストアップしてみます。
●課題の棚卸しすることで、心の借金を減らす。
課題以前に、やりたいことがうまく出てこない場合もあると思います。けれど、私が農家さんのコンサルティングを行っていた時、話を聞くうちに彼らから困っていることが溢れ出してきたことがありました。
課題には、本人が気づいている顕在的なものと、本人は気づかず外部の人からしか見えない潜在的な問題があります。なので、周りにいる人などに話を聞いてもらい、キャッチボールをしながら、こういう課題があったんだと気づくことも大切なのです。
「課題解決」は自分にとっては、借金を減らすようなもの。心の中の負担や人生に対する負い目を減らすと、心が軽くなり、リラックスして将来をイメージすることができます。
人は頭の中に記憶を保存し続けるだけでもエネルギーを使いますから、忘れちゃいけないと思うと、無意識にそこでメモリーを消費するんですよね。今の自分の課題を減らしていきながら、将来の自分のための投資を行う。これを同時に進めていくことが夢の達成への近道です。
●自分の言葉で夢を語ってみる。
このように目的や課題のリストアップをするときに、大切なのは自分の言葉で語るということです。
農家さんの場合でも、どういう農家になりたいかと聞いても「日本の農業を守る」というような抽象的な言葉になることが多くて、そこから先何をしたらいいのかが、思い描けなくなってしまうことが何度もありました。
そんな時は、具体的に誰をどう幸せにしたいのかとか、何をどこまで実現したいのか、ということをやり取りしながら、リストを書き直してもらいます。借り物でない自分の言葉で綴ることで、腹落ちの度合いが変わってきます。
ここでの「誰」は、「自分」「お客さん」「社会(地域、業界、コミュニティなど)」の軸で考えてみると見つかりやすいです。例えば「共働き世帯のママ向けZINEを作りたい」「町内の活性化のためにコミュニティスペースを作りたい」など。売上XX万円、利用者YY人など、具体的な目標を設定すると、とるべき行動がはっきりします。
ぜひ自分で納得のできる「課題解決」につながる言葉を見つけ出してみてください。
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佐川 友彦
1984年生まれ。東京大学農学部、同修士卒。外資メーカーDuPont社の研究開発職を経て、2014年9月より栃木の阿部梨園に参画。阿部梨園では代表阿部の右腕業として、経営管理、企画、経理会計、人事労務など、経営に関するオフィス機能の全てを担当。その改善実例300件を公開するクラウドファンディングを実施し、300人以上から約450万円の支援を集めて話題を呼んだ。現在は、経営コンサル等を行うファームサイド株式会社を起業。2020年9月、ダイヤモンド社より『東大卒、農家の右腕になる。小さな経営改善ノウハウ100』を出版。
Illustration:Hiroaki Seto Text: Mariko Kojima Edit: Karin Ohira