Spotifyが立ち上げた公式プレイリストの中でも、新たなダンスミュージックが生成される場として若者の熱狂的な支持を得続けている「planet rave」。特に18〜24歳のユーザーの間でもっとも成長・浸透しているようで、このムーブメントの立役者となったPinkPantheressが一躍カリスマ的な人気を集めることになったのも記憶に新しい。Nia Archivesやyunè pinkuといったアーティストも含めて、ダンスフロアだけでなくベッドルームでも聴ける清涼な質感が共通点。
女性のシンガーがプレイリストの約8割を占めるということも話題となったが、つまりそれはマチズモが強かった過去のUKクラブジャンルを、2020年代の感覚によってガーリーで親しみやすいものへと再構築しているとも捉えられる。ウィスパー寄りの高い声が現実社会から宇宙=planetへの逃避を表している、という考察も。
他方で、欧米を中心に伝播を続けるplanet raveが昨今韓国のインディーズシーンにも拡大の傾向にある。もともとダンス音楽の解釈が巧い国だけに、iisoのように、MVも含めたトータルのトーンとして描写する表現者も出現。今回紹介した以外にも、The DeepやID:Earthなど、宇宙を漂うような儚い歌声を持つ歌い手が多い点も可能性を感じる。
そして、先日ついにNewJeansが「Super Shy」でこのムーブメントど真ん中のサウンドをドロップ。これまでも近い音楽性を発揮してはいたが、ここまで軽快なドラムンベースを披露するのは初めて。すぐさまplanet raveのプレイリストに入ったことからも分かる通り、インディーズシーンのみならず、いわゆるメジャーなK-POPの領域でも華やかなダンスとともにさらなる解釈が広がっていくかも。