銀座には、何十年も町の文化を支えてきた建築と、町の未来をつくる新しい建築とが共に並んでいる。この町で書店を営む森岡督行さんが、それらを案内。100年前のライカで写し、独自の視点で解説する。#森岡督行がライカと巡る銀座をつくった名建築10
「Apple 銀座」情報と共に歩んできた町を、このビルがヴァージョンアップ
森岡督行がライカと巡る銀座をつくった名建築10
Apple 銀座

情報と共に歩んできた町を
このビルがヴァージョンアップ
9月26日、銀座通り・松屋通り・ガス灯通りという3つの通りに面した場所に「Apple 銀座」がリニューアルオープンしました。もとは2003年、米国以外では初のApple Storeとして開業し、注目された店舗です。建て替え工事のための一時移転を経て、再始動するわけですね。建物は銀座の空を映すように輝くサヱグサ本館ビル。「サヱグサ」といえば明治初期に、「おしゃれな子ども服」という新しい風を銀座へ運んだ存在です。町の象徴でもあるビルに、世界の情報を司る「Apple」が入り、今回さらに刷新した。それを見た私の脳内に浮かんだのは「明治のスマホの中に、現代のスマホが落とし込まれた」という妄想でした。すると、ビルの四つ角のアール(下の写真)がスマートフォンのそれに見え、特徴的な窓(下2枚目の写真)も、もしやスマホの形なのではと思えてきた。もちろん私の勝手な思い込みですが、そんな想像を膨らませてくれるのも建築の魅力です。



ℹ️
Apple 銀座
2003年に本国以外で初の「Apple Store」として開業。銀座を情報と文化の発信地たらしめてきた。25年9月26日にリニューアルオープン。
住所_東京都中央区銀座3-5-12 サヱグサビル本館
tel_03-4345-3600
🗣️
森岡督行
もりおか・よしゆき>> 1974年山形県生まれ。一冊の本を売る書店、「森岡書店」店主。『銀座百点』でエッセイ連載中。GINZA SIXのポッドキャストでパーソナリティも。著書に『800日間銀座一周』(文藝春秋)、『銀座で一番小さな書店』(小学館文庫)。
Photo, Illustration_Yoshiyuki Morioka Text_Masae Wako
