銀座には、何十年も町の文化を支えてきた建築と、町の未来をつくる新しい建築とが共に並んでいる。この町で書店を営む森岡督行さんが、それらを案内。100年前のライカで写し、独自の視点で解説する。#森岡督行がライカと巡る銀座をつくった名建築10
🎨CULTURE
「Ginza Sony Park」町も建物も変わることができる、希望を高らかに示した名作
森岡督行がライカと巡る銀座をつくった名建築10
Ginza Sony Park

町も建築も変わることができる
希望を高らかに示した名作です
ここの魅力は余白(上の写真)。中に入るものによって、その時々の空気を反映した場所になれることだと思います。始まりは2016年。数寄屋橋交差点角に建つ「ソニービル」の建て替えにあたり、「解体途中を公園にする」という前代未聞のプロセスが実行されました。その後も町に開かれた施設づくりは進み、約10年経った今では、もはや建築全体が公園になったと言えそうです。素晴らしいのは、数十年後に再び刷新することも想定してつくられている点。生まれ変わり前提です。そして、こんなに贅沢で、毎日来園者で賑わっている空間が、実は会社の業績が好調ではない時に計画されたものだということにも、胸を打たれました。私にはこの建物が、「企業も町も変わることができる」という願いのシンボルに見えるのです。




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Ginza Sony Park
かつてソニービルの角地にあり、「銀座の庭」と称されていた約10坪のパブリックスペース。その思想を継承し、「銀座の公園」として拡張すべく、2017年に建て替えを開始した。18年〜21年に解体途中のビルを開放。その後、工事を再開し25年グランドオープン。
住所_東京都中央区銀座5-3-1
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森岡督行
もりおか・よしゆき>> 1974年山形県生まれ。一冊の本を売る書店、「森岡書店」店主。『銀座百点』でエッセイ連載中。GINZA SIXのポッドキャストでパーソナリティも。著書に『800日間銀座一周』(文藝春秋)、『銀座で一番小さな書店』(小学館文庫)。
Photo, Illustration_Yoshiyuki Morioka Text_Masae Wako
