銀座には、何十年も町の文化を支えてきた建築と、町の未来をつくる新しい建築とが共に並んでいる。この町で書店を営む森岡督行さんが、それらを案内。100年前のライカで写し、独自の視点で解説する。#森岡督行がライカと巡る銀座をつくった名建築10
🎨CULTURE
「ティファニー 銀座」波のようなファサードが、かつての町の記憶を呼び覚ます
森岡督行がライカと巡る銀座をつくった名建築10
ティファニー 銀座

波のようなファサードが
かつての町の記憶を呼び覚ます
2025年7月、銀座五丁目交差点角に〈ティファニー〉の旗艦店がオープンしました。ニューヨーク五番街に本店があるブランドには「5」が似合いますね。ガラス表面が風になびくようなファサードは、建築家の青木淳さんによるもの。ブルーの色と波のようなデザインを見た時、私は「かつて銀座の周りは海だった」ということを思い出しました。というのも、銀座には今も水路や橋の面影が多く残っているし、町中から人が消えたコロナ禍には、ふと潮の香りを感じることさえあったからです。建築が時間の流れにゆさぶりをかけ、町の記憶を呼び覚ます。建築って面白いと感じた体験でした。建物そのものは「クロサワビル」といい、日本初の鉄筋コンクリート造による事務所建築として1912年に竣工したそうです。
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ティファニー 銀座
2025年7月に開店したアジア最大の旗艦店。外装は青木淳、インテリアはピーター・マリノ。ニューヨーク五番街にある本店のデザインコンセプトが踏襲されている。
住所_東京都中央区銀座6-9-2
tel_0120-488-712
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森岡督行
もりおか・よしゆき>> 1974年山形県生まれ。一冊の本を売る書店、「森岡書店」店主。『銀座百点』でエッセイ連載中。GINZA SIXのポッドキャストでパーソナリティも。著書に『800日間銀座一周』(文藝春秋)、『銀座で一番小さな書店』(小学館文庫)。
Photo_Yoshiyuki Morioka Text_Masae Wako
