見た目のポップさとは裏腹の
「ちゃんと辛い」キーマカレー専門店
四条烏丸にあるカレー店「スパイスチャンバー」がハマ・オカモトさんの行きつけ。
「店長の阿蘇慎太郎さんはもともとレコード会社に勤務していたそうなんです。で、カレー好きが高じて仕事を辞めてインドへ美味しいカレーとスパイスを探しに行って、京都にお店を開いた。十数年前になるのかな、僕は店がオープンした頃に初めて行って。衝撃でした。当時はまだスパイスカレーが一般的ではなかったから、こんなカレーがあるんだと。しかもここはキーマカレー専門。挽き肉でつくるキーマを極めているんです」
店はカウンター席がメイン。
「カレーをつくる阿蘇さんと、棚に並んだスパイスとCDを眺めながら食べるんです」とハマさん。
ちなみに、お店のウェブサイトを覗くと非常にロックな、というか、北斗の拳というかマッドマックスというか、ちょっと激しめの画像が登場する。やっぱ、辛いですか?
「辛いんですよ。見た目のポップさと裏腹に。スパイスカレーなのでちゃんと辛い。なんですけど、特製のピクルスとかチーズとかで自分の好みの辛さに調整して食べるのでめっちゃ美味しい。旨味のある辛さです。カリカリの梅干しものっかってて、これがまたいい」
錚々たる人たちがライヴをする
酒蔵を改装した名物ライヴハウス
スパイスチャンバーから歩いて10分ほどのところにある、ライヴハウス「磔磔」もまたハマさんの「京都といえば」の場所。
「古い木造の酒蔵を改装したライヴハウスなんです。70年代からやってる老舗で。忌野清志郎さんのRCサクセションとか遠藤賢司さんとかシーナ&ザ・ロケッツとか金子マリさんとか細野晴臣さんとか、海外勢だとブルースマンやニューオリンズファンク系が多く、アーマ・トーマス、アルバート・コリンズ、ウィルコ・ジョンソン、ドクター・ジョンとか。とにかく、錚々たる人たちに愛されてるハコ。僕らOKAMOTO’Sもデビューの頃からお世話になっているんです」
ところで、磔磔の内部はどんなふう?
「大きな梁があって、それはもう、酒蔵感満載。で、2階が楽屋なんです。木の階段で上がっていくんですが、お客さんがいるフロアとつながっているので、登場するときはその階段から降りてきて、お客さんの間をかき分けステージに上がるという、プロレスの入場みたいな感じになる。300人くらい入るといっぱいになる小ささがよくて。すごく好きなハコです。そして、磔磔でやるときはスパイスチャンバーのカレーを食べる、というのが僕の中ではセット。お店に行けないときは出前でお弁当をお願いしたりもするんです」
伝統文化だけじゃない
ユースカルチャーの街でもある
京都のライヴハウスといえば丸太町の「メトロ」、烏丸の「MUSE」も有名だ。
「どちらもデビュー当時にライヴをやりました。メトロでは黒猫チェルシーと対バン。MUSEでは浅草ジンタとかJAPAN-狂撃-SPECIALとか、ちょっと変わったバンドと対バンしたのをよく覚えているんです」
なんだかその組み合わせ、東京ではなく京都だからこそ、という感じがしますよね。
「実は京都はロックの街なんです。5月にロームシアター京都で『MUSIC AWARDS JAPAN』が開催されましたけど、そこは昔は京都会館というホールで、細野さんや松本隆さんのバンド、はっぴいえんどがデビュー当時にライヴをやった場所だったそうで、東京のバンドながら京都の若者たちの支持を得て知名度が上がったと。京都って伝統文化の都だけど、ユースカルチャーの街でもあるから、古くは、村八分とか裸のラリーズとか、東京とは違う独特のバンド文化が受け継がれていて。僕もはっぴいえんどじゃないけど、19歳で初めて京都に行き、初めて学祭に出て、同世代の学生たちが呼んでくれたのが最初でした。先進性のある街という視点で京都をめぐると面白い発見があるかもしれません」

