知れば知るほど奥深い街をさらに深掘り!ローカルな青果店やテイクアウトしたくなるおやつ、思わず立ち寄りたい癒やしのスポット、神社仏閣に置いてある手ぬぐい、街歩きのあとに欠かせないセルフケアグッズまで。古都を旅する時間がさらに充実する情報をどどんと。今回は、街中にふと目をやれば、そこかしこにある石の謎を探る。#KYOTO FUN FACTS JOURNAL
🛋LIFESTYLE
建築デザイナーが語る、京都と石のハナシ

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話を聞いた人_関 祐介
建築デザイナー
「YUSUKE SEKI STUDIO」主宰。京都、神戸、東京に拠点を置く。月の半分を京都で過ごす。
街中にふと目をやれば
そこかしこにある石
京都には東京では見かけない面白い“石文化”があります。そのひとつが家の角などに置かれ、車の侵入を防ぐ「いけず石」。まず名前が魅力的ですよね。直接的でなく、時には逆の態度を示して遠回しに相手に真意を察してもらう「いけず」という言葉が京都の方の気風をそのまま表しているように思えます。わかりやすくアピールせずとも、自宅の家の角を守る気質というか。執着心を込めつつも、言葉にしないということが生活の工夫だと感心すら覚えます。そもそも誰が始めたものなのかわかりませんが、普及したのはきっと車社会以降なんじゃないかな。この石があることで運転時に緊張感が生まれるし、角地での事故は確実に防いでいるはず。もしかしたら南北と東西の道路が直交する碁盤の目の街並みが残されているのは、いけず石のおかげなのかもしれません。

もうひとつ僕が気にかけている石は「祇園の石畳」。東山区の東大路通りから大和大路通りまでの400mほどの通りのことで、昭和53(1978)年に廃止された路面電車「京都市電」の敷石を再利用してこの道が作られているんです。そこから引用して京都に本店を持つ「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」のデザインを手掛けた際には、カウンターの足元に祇園の石畳と同じ敷石を置きました。素材をサイクルさせて時代を繋いでいく姿は、京都の工夫の文化と重なると思います。

Illustration_Sakuko Ishiwata Text_Nico Araki, Nozomi Hasegawa
