SixTONESのニューシングル『GONG/ここに帰ってきて』が2024年7月10日(水)に発売される。収録2曲のMVでは、黒と白をそれぞれメインにスタイリング。対照的なコンセプトで作られた6人のコーディネートに注目したい。
SixTONES『GONG/ここに帰ってきて』のMVに見るファッション
異なるテンションの2楽曲を、黒と白で表現
「推し活」というワードにはなんとなく距離を感じていた。それでも、SixTONESは気になる。まるで男子高校生のような仲良し感につい顔が綻ぶし、それに、みんなお洒落なのだ。平均身長176.6㎝のメンバーはおのおのファッションセンスを発揮していて、今回の新曲MVにも見入ってしまった。『GONG』は黒、『ここに帰ってきて』は白と、ワントーンでの世界観作りが徹底されている。
ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』を盛り上げた挿入歌『GONG』は、ミクスチャーロックのような疾走感あふれる一曲。MVでは、ハードコアバンドさながらにレザーアイテムを身につけ、激しいダンスを繰り広げる。けれど冒頭は、別々の街角で一人ずつ歌っていて、服装もバラバラだ。
まず、ジェシーがラインストーンつきの真っ赤なトップスで登場。ポップなチョイスに個性が光る。次いで映される森本慎太郎は、スパンコールが縫い込まれたグレーニット姿。キャップから長いリボンを垂らしているところにキャラクターが出ている。路地裏を歩くのは田中樹。ルーズニットに野球帽をかぶり、胸元にはゴールドのネックレスと、普段のスタイルに近いかもしれない。場面はまたぐるりと切り替わり、埠頭に立つ髙地優吾にズームする。カーキ色のトラックスーツの中はシャツ、ボトムはチノパン。優等生風ルックをやんちゃに崩している。松村北斗は、鮮やかなイエローシャツをまとって高架下にしゃがみこむ。グレーのスラックスがカジュアルさを中和…。と思ったら今度は京本大我のマルチボーダーポロシャツが目に飛び込んでくる。星やハートモチーフのウォレットチェーンなど、トレンドを取り入れつつ愛らしさを残すのがさすが。
そしてサビに入ると同時に、6人がステージに揃う。ドレスコードは、黒のレザー。全員が息を合わせて動くたびに衣装が硬質な光を反射して、それがかっこいい。森本はグリーン、田中はレッドのパンツを履き、ジェシーはハトメが並んだ太ベルトをつけている。そうした個性的なアイテムが、引きで見たときの小気味良いアクセントになる。髙地は革のビッグジレとバーガンディニットの重ね着。ジェシーや京本のインナーも同系色なのでさりげないリンクコーデになっている。いくつもの缶バッチで飾られた松村の上着も、ロックスター感を後押し。聴いているとどんどん気持ちが高揚してくる『GONG』。ファイトソングらしい強さや勇気が、ブラックトーンのスタイリングに詰まっている。
『ここに帰ってきて』MVでは一転、穏やかな世界が広がる。『GONG』では熱狂の中で踊っていた6人の、全く別の一面を覗ける映像だ。京本主演の映画『言えない秘密』主題歌でもあるこの曲は、やさしく切ないミディアムナンバー。衣装はホワイトで統一されている。さまざまな色調の白がレイヤードされ、歌に込められた複雑な思いを表しているようでもある。
京本が着るのは、アイボリーの薄手コートに白のボウタイシャツ。やわらかな雰囲気のなか、左襟にブローチがきらり。ジェシーが羽織る刺繍入り白シャツは、繊細な表情。だけど、ゴールドとシルバーの大ぶりジュエリーで、彼らしさは忘れない。うっすらと柄の入った開襟シャツを着ているのは森本。その下に無地の開襟を重ね、白同士で奥行きを作り出す。松村の、スキッパーポロとハイネックの襟元レイヤードも印象的だ。控えめに光るネックレスとブローチは、品や儚さを強調する。田中も襟付きアイテムを取り入れているけれど、彼の場合は少しストリート味のあるワークブルゾン。アクセサリーは小ぶりなもののみをつけている。髙地はプレーンなニットを着ていて、そのシンプルさが少し意外にも思える。
でも、MV後半に画面がズームアウトしていくと、全体のスタイリングが見えてくる。髙地は確かにミニマルだけど、オフホワイトのパンツにトップスをインして程よく着崩している。松村のボトムにはプリーツスカートが重ねられ、そのシルエットが目をひく。森本はワイドパンツ、京本と田中は少しモチーフの入ったベージュ寄りのボトムで、それぞれのバランスを完成。ワントーンの装いの中、ジェシーが腰に巻いたブラックタイが、グランドピアノの黒と呼応しながら揺れる。靄に包まれた情景に溶け込んでしまいそうな6人。その佇まいは神秘的ですらある。
シングルのリリースは、通常盤、初回盤A、初回盤Bの3形態。収録コンテンツはもちろんジャケット写真も異なり、彼らの多彩な姿を楽しめる。
SixTONESの躍動感あるダンスと、伸びやかな歌声。二つのMVは、グループの魅力を別々の切り口で表現する。そのエッセンスが、黒と白の衣装に落とし込まれているのかもしれない。
Text_Motoko KUROKI