若い頃は、ちょっと冒険する的な相手に、熱病のように恋をすることもよくあります。
全然住む世界が違うけど、好きになっちゃった!とか、メンヘラな女の子を好きになっちゃって、振り回されて修羅場だった!とか。
でも、年をとるごとに、人は自分の人生をともに歩む人を冷静に探し始めるようになります。だから、何度か会っているうちに、すぐに判断はついているのです。「この人は、自分の人生をともにしていく相手ではないな」と。
若い頃はそれでも、そういう冷静な判断に、恋愛感情が勝ってしまうものですが、年をとるごとに、「それはそれ、これはこれ」、と思うようになります。
つまり、恋愛と結婚は別物だ、パートナーを選ぶというのは、人生を選び取ることなのだって。
だからこそ、恋愛における判断は迷いなくなっていく。
絶対に違う、と思った相手に、ぐずぐず時間を割いたりしなくなるんです。だから大人の恋は、残酷なまでに、結果が出るのが早い。
何回か会う。最初はすごくいい感じだったのが、気がつくと、なんだかよそよそしいテンションになっていたりする。あー、これは、相手が「この子と付き合うのはないな」ってモードに入ったなって思う。それを敏感に察知したら、こちらも少しテンション下げる。
そして、無事「いいお友達」へ。みたいなね。
逆も然り。最初は、「素敵な人!」ってテンション上がってたけど、何回か会ううちに、「この人のペースじゃ私の望むような生活はできないかも・・・」と思う。そしたら、なんとなく態度をクール目に調整して、お互いに、大人な距離感に戻す。とかね。
お互いに、わざわざ「付き合いましょう」「やっぱり別れましょう」みたいなやりとりをせずに、一歩手前でギリギリまで近づいてみて、やっぱりやめるとか。特に告白などなく、グレーな関係になるけど、やっぱりないな、と思ったら、早々に関係を終わらせる、とか。
こういう成熟したコミュニケーションは、年齢相応のものを身につけないといけないのです。ずっと恋をお休みしてたりすると、どうしても、コミュニケーションの成熟度がどこかで止まっちゃってたりする。下手すりゃ40過ぎてても、20代初頭の気分で恋をしたり。そうなると何が起こるか。
40にもなって、「向こうから告白してくれなきゃ付き合えない!」とか言い出すわけです。いやこれ、大げさな話じゃなくて、実話ですよ。そういうこともあるんです。
そんなふわっとした恋は、もうとっくに適齢期を過ぎている。20代ならいいけども、30代には、30代の。40代には40代の恋の仕方ってもんがあるんです。
いい年になったら、ふわっとした恋なんかしてる場合じゃありません。
先がある恋なのか、ない恋なのか、くらいは見極めて、自分で自分の行動に責任持たなきゃいけません。
たとえば、30代も後半になったら、周りに既婚者があふれかえります。既婚者から言い寄られることだってるでしょう。そんなときも、「相手が強く来てくれて、私も好きだったから」なんてふわっとした乙女な態度で受け入れてしまうと、先々はただの独り身の不倫女です。大人の恋は、進んじゃいけないものに限って、変にロマンチックだったりするものですからね。
それよりも、自分の一生の相手として本当にふさわしいのか、ちゃんと見極めようとしている冷静な相手を見つけることです。そして、そういうちゃんとした相手、しかも何人かから、ちゃんとフラれることです。
「え?!フラれるのやだ!」って思うかもしれませんが、さっきも書いたように、フラれると言っても、まともな大人の男は、面と向かってフッたりしないで、さりげなく脈がないことをほのめかしてくれます。それを何度か経験するといいんです。
男だって、来る者拒まず何でも食べちゃう雑食系だけじゃないんです。
向こうだって真剣に選んでいる。それを知るだけでも、すごく良いことです。
何度か「選ばれない」「選ばない」経験をすれば、それが実は大したことじゃなくて、当たり前のことなんだってわかるはず。だって人生には、たった一度の正しい組み合わせがあればいいんです。それだけが見つかれば、恋愛人生は終りです。
そんな簡単に、一発で、運命の相手に出会えるわけないって思いませんか?
何人もの相手を吟味して、こっちも選んで、考えて、それで「やっぱりこの人だ!」って確信する。それまでは、試行錯誤を繰り返せばいいし、フッたりフラれたりしていいんです。そこを恐れていたら、何も始まりません。
いい歳したら、失恋は怖いでしょうが、いい歳だからこそ、失恋を恐れてはだめです。
それよりも、ふわっとした先の見えない恋に時間を費やすことを避けてください。
違ったら、何度でもやり直せばいいんです。誰か別の人と。
たった一人の人は、その中にきっといるはずですから。