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80年代好きライターの読書案内。松任谷由実、大滝詠一、松田聖子、中森明菜、ビートルズを聴きながら 年末年始に読みたい4冊!

80年代好きライターの読書案内。松任谷由実、大滝詠一、松田聖子、中森明菜、ビートルズを聴きながら 年末年始に読みたい4冊!

今年の冬休みは読書をしながらJ-POPの原点、60〜80年代音楽の世界へ。松任谷由実、大滝詠一、松田聖子、中森明菜、ビートルズなどにまつわる2022年後半の新刊を紐解くと、当時のポップミュージックが、フォロワーたちに影響を与えながらすごいスピードで進化していたのがよくわかる。登場するバンド名や曲名を追ううちに、自分だけの”紅白”が脳内で鳴り出すかも。80年代好きライター・水原空気が案内します。


1冊目『松田聖子の誕生
若松宗雄(新潮新書)2022年7月19日発売

『松田聖子の誕生』

聖子さんの80年代の作品はいまやJ-POPのスタンダードだけれど、数々のヒット曲の陰にプロデューサー・若松宗雄氏の奔走があったことはファン以外にはあまり知られていない。この本を読むと「松田聖子の誕生」が決して偶然ではなく、聖子さんと若松さんの熱い情熱が引き寄せた歌謡史の必然だと理解できる。クリエイターやプロデューサー、数多の人々の力の結集を、子供時代の私たちはブラウン管の前で応援していたわけで、時を経て仕事の大変さを理解した大人の自分が、その隣にいるような感覚もまた楽しい。ユーミンが作曲した『赤いスイートピー』のエピソードがいい。「年明けからも、また頑張ろう」という気持ちになる1冊。

 

2冊目『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン
山内マリコ(マガジンハウス)2022年10月27日発売

そのユーミンの少女時代を描いた実録小説がこちら。デビュー前の多感な少女・由実さんが、実家の呉服店の人々や友人、音楽業界の大人たちとの出会いを通じて、独創的な感性を開花させていく様子が生き生きと描かれている。そして、なんと言っても松任谷正隆氏との出会いがユーミンの曲のように素敵。お二人のエピソードはラジオでも聞いたことはあるけれど、アーティスト同士ならではの想いの伝え方が胸アツ。まずはユーミンの『瞳を閉じて』を聴きながら、60~70年代の東京の空気を感じたい。 

 

3冊目『ジョージ・マーティンになりたくて
川原伸司(シンコーミュージック エンタテイメント)2022年7月14日発売

『ジョージ・マーティンになりたくて』

聖子さんの『瑠璃色の地球』の作曲者としても知られる平井夏美こと川原伸司氏。ビクター・レコードのプロデューサーをしながら大滝詠一のブレーンとして『A LONG VACATION』の発売を陰で支えたり、井上陽水の『少年時代』を作曲したり、中森明菜の歌姫シリーズをプロデュースしたりと、登場するエピソードについつい唸ってしまう。特に明菜さんが『瑠璃色の地球』をカバーした際の話は必読。時代の裏にはアーティストの個性を見極める絶妙なサポートがあったのです。

 

4冊目『伝説の音楽雑誌 ティーンビート ビートルズ特集保存版
(シンコーミュージック エンタテイメント)2022年12月9日発売

『伝説の音楽雑誌 ティーンビート ビートルズ特集保存版』

松本隆がプロデュースした松田聖子のアルバム『Strawberry Time』には、歌詞やタイトルにビートルズへのリスペクトが溢れているし、大滝詠一がビートルズマニアだったのは有名な話。川原伸司氏にいたっては著書のタイトルに、ビートルズの音楽プロデューサーであるジョージ・マーティンの名前が。80年代の音楽が、ビートルズと共に青春を過ごした当時の若者たちによって生み出されたのは間違いない。言うまでもなくビートルズは現在のポップスの原点。そんな彼らを1965年から68年にかけて毎号のように特集した幻の雑誌『ティーンビート』が、この冬、書籍として復活。羽田に降り立ったはっぴ姿や、東京ヒルトンホテルでの記者会見の様子、武道館公演レポートの他、読者が選ぶベスト30、来日への期待を膨らませる妄想座談会もあり。当時の熱がそのまま伝わってくる!!ちなみに水原のビートルズ・フェイバリットは『Oh! Darling』です。

 

思えば聖子さんの『風立ちぬ』でナイアガラ・サウンドを知り、松本隆、大滝詠一、佐野元春、杉真理の『ナイアガラ・トライアングルVol.2』を聴き込み、南佳孝の『冒険王』をバイブルのように抱え、ユーミンにどっぷりハマり、大村雅朗や松任谷正隆やフィル・スペクターやビートルズまでたどった80年代。聖子さんの楽曲が、いかに深く広大な音楽的背景のもとに作られていたかを知る作業だったようにも思える。

結局、松田聖子は60~80年代の音楽の集大成だったという説に至るのだけど。今年の年末年始はレジェンドな作品群を滝のように浴びながら、私も、もう一度この4冊を堪能したいと思います。

この本を読むなら喫茶店で!

もしもこの本を読むなら、ジョンとヨーコが1979年8月に訪れた東銀座の「樹の花」へ。シックな空間の一角には、二人のサインが今もひっそりと。チーズケーキや豆カレーが人気。

「Flor de café 樹の花」

住所: 東京都中央区銀座4-13-1飯沼ビル2F
Tel: 03-3543-5280
営業時間: 11:30~18:30、日曜祝日12:00~17:30
定休日: 木曜 *2022年12月29日〜2023年1月5日はお休み
23席 禁煙

豆と野菜のカレーライス ¥1050

水原空気 みずはら・くうき

80年代好きライター。ginzamag.comにて「80年代好きライターの純喫茶巡り」を連載中。「松田聖子の80年代伝説」のインタビュアーも。

photo&text:Kuuki Mizuhara

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