12 Feb 2023
クラシカルな音に出合えるスポットvol.1

日本最古のオルガンに、老舗ジャズクラブ、ミステリアスなカセット専門店…耳をすませばヴィンテージな世界に包まれる、とっておきの場所。
月光社
85年間、街の音楽好きを支えるオアシス
クラシックにロック、歌謡曲、モンド、さらにはインド民謡も!1937年創業の月光社は、荻窪駅北口から徒歩数分に位置する、一目で歴史を重ねてきたことがわかるレコードショップ。床から天井までいっぱいにアナログ盤が並ぶ空間には、「器楽曲・ソナタ」「シャンソン」「ワールドミュージック」といった目次プレートや、レコードに貼り付けられたメモなど、至るところに手書き文字が。まるで昭和にタイムスリップしたかのような気分になれる。
店主の髙橋さんに、「お店でもっとも古い1枚は?」と尋ねると、戦前にレコーディングされたというSP盤を聞かせてくれた。「レコードは特別なものではないので、気軽にお立ち寄りください」。気になる盤の試聴中、曲についておしゃべりできる時間も心地よい。

月光社
住所: 東京都杉並区上荻1-4-11
営業時間: 11:00〜20:00
電話番号: 03-3398-2092
定休日: 水
Kankyō Records
アンビエント音楽に浸るワンルーム
マンションの一室、扉を開くとそこには真っ白なレコードショップが!コンセプトは、“住環境でのリスニング”。アンビエントやニューエイジのレコード、CD、カセットなど、世界中から厳選された作品のジャケットが規則正しく並び、レジ下の棚には細やかな作品解説のポップが作品ごとに添えられている。
ミュージシャン、建築家でもある店主のH.Takahashiさん曰く、「環境音楽の魅力のひとつは、部屋のインテリアとして機能する点」。生活の中に自然と溶け込む音を提案しながら、環境音楽を聴くのに適したヘッドホンやスピーカーのほか、Tシャツなどのオリジナルアパレル、国内外の作家が手がけた食器類なども多く取り扱っている。タイや上海など、海外アーティストによるインストアライヴも不定期で行われている。
Kankyō Records
住所: 東京都世田谷区上馬1-35-13-107
営業時間: 13:00〜18:00
電話番号: 03-6875-3181
定休日: 不定休
ODD TAPE DUPLICATION STORE
総数500点、カセットの壁!
シルクスクリーン印刷業から派生したこともあり、カセットのプレスや販売、アパレルなども展開するマルチなショップ。ヒップホップやインディーロック、アンビエント、ジャズなど国内外の幅広いジャンルのカセットが壁一面にディスプレイされた景色は圧巻。
ヴィンテージから現行品まで、多くの再生機器も取りそろえられており、スタッフが「このジャンルに最適なプレーヤーはこれ」と提案してくれる。さらに店内には、普段なかなかお目にかかれないセルフダビングスペースも。スマホやUSBで音源データを持参すれば、それらをレコーディングしたカセットを作ることもできる。
Tobira Records
テーマは“新たなリスニング体験”
目に見えないけれど、フェスやライヴなどなぜか体験をともなって聴く音楽は不思議と記憶に焼きつく。そんな思いがもとになりオープンした、兵庫県加西市にあるカセット・レコードショップ。レーベル運営や、毎月のインストアイベント、野外ライヴイベント「極寒音楽祭」の主催なども行っている。
フロアには海外インディーやノイズ、実験音楽など、オーナーの琴線に触れたユニークな音源がオールジャンルで並ぶ。また、世界でたった10枚限定で生産された作品や、3Dプリンター作の特殊なパッケージなど、耳だけでなく目で見て楽しめるものも多数。店主が直接仕入れを行うため95%の作品が他店では取り扱われていない最新作というのもポイント。新ジャンルの扉を開きたい人にはおすすめ。
Photo: Eisuke Asaoka Text: Shunsuke Sasatani
GINZA2022年12月号掲載