2020年は〈Dr.Martens(ドクターマーチン)〉が誕生してから60年を迎えるアニバーサリーイヤー。GINZA読者にもマーチン愛用者は多いのでは? ブランドが誕生してから紡いできた歴史を、タイムレスなアイテムとともに、ちょっとだけ紐解いてみよう。
〈ドクターマーチン〉が生誕60周年!8ホールブーツ「1460」のヒストリー
〈ドクターマーチン〉といえば、丸みを帯びたつま先にイエローステッチとエアクッションソール。そのアイコニックな姿と履き心地の良さは60年以上もの間、世界中の人を魅了してきた。
長年履き続けて馴染んだマーチンは、まさに相棒!という人も多い。シューレースの色を変えたり、結び方を工夫したりして、独自のカスタマイズが目を引くコーディネートも。半世紀以上にわたり愛され続けている様子は、まさにオーセンティックな存在だ。
8ホールブーツ「1460」
クラシックなファッションアイテムとして、深く根付いている8ホールブーツ「1460」(通称8ホールブーツ)は、〈ドクターマーチン〉のファーストモデルとして1960年に誕生した。
その頑丈な作りから、郵便配達員や工場で働く人が履く“ワークブーツ”として普及。当時のドイツの最新技術と、イギリスの伝統的な革靴の製造方法を合わせたブーツは、多くの労働者階級の人々の足元を支えた。
ちなみに、発売当初の値段はわずか2ポンド。今だと、1万円札を出しても数千円のお釣りが返ってくるくらいの価格。手に入れやすいプライスだったことも、広まる後押しとなった。
マーチンブーツ=カルチャーの象徴
1960年代後半になるとイギリスの若いギャングたちが、頭をスキンヘッドにして「1460」を履く、個性溢れるコーディネートを楽しむように。彼らのコミュニティー内では、その着こなしがユニフォームのように定着していった。
そして同じ頃、1967年にイギリスのロックバンド「ザ・フー(The Who)」のギタリスト、ピート・タウンゼントがクラブハウスでのパフォーマンスで「1460」を着用。ビートルズやローリングストーンズと並び、イギリスを代表するロックバンドと言われる彼らの影響力は、凄まじいものだったと想像できる。
その後、ファンを筆頭に若者へと8ホールブーツが浸透し、ユースカルチャーのアイコンとして存在感が増していった。
往年のミュージシャンやアーティスト、ファッショニスタなど多くの文化人が愛用。時代への反骨精神を表現するアイテムだった実用的なブーツは、サブカルチャーや自由の象徴へと変動を遂げた。
守ってきた技術と革新
創業当時から稼働しているノーサンプトンの工場では、一部のコレクションが今も作られている。
受け継がれた製法とブランド独自の工程を守り続け、半世紀以上。今でも、60年前と同様の素材を使い、職人の手作業によって、ひとつひとつ丁寧に生み出されているのだ。
また、今年はアニバーサリーイヤーとして、さまざまなブランドとのコラボレーションも。
60周年を記念したプロジェクト「THE 1460 REMASTERED」 では、〈ドクターマーチン〉と関わりが深いブランドとの共同モデルを、12ヶ月連続で発売。8ホールブーツをすでに愛用中の人も、気になっているけれどまだ持っていない人も、伝統と新しさを紡いだニューモデルをチェックしてみて。
【問い合わせ先】
Text: GINZA