南アジアにルーツを持つ、シャラ ラジマさん。見た目で容易に規定されることなく、ボーダレスな存在でありたいと、髪を金髪に染め、カラーコンタクトをつけてモデル活動をしている。“常識”を鵜呑みにしない彼女のアンテナにひっかかった日々のあれこれをつづった連載エッセイ。
前回記事▶︎「vol.22 新しい音楽がくれるもの」はこちら。
シャラ ラジマ「オフレコの物語」vol.23

南アジアにルーツを持つ、シャラ ラジマさん。見た目で容易に規定されることなく、ボーダレスな存在でありたいと、髪を金髪に染め、カラーコンタクトをつけてモデル活動をしている。“常識”を鵜呑みにしない彼女のアンテナにひっかかった日々のあれこれをつづった連載エッセイ。
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大掃除の季節到来!今日は意外とわたしの人生の最重要な課題である、生活の実務的なことに切り込もうと思う。整理整頓についてだ。
今年の師走はバタバタせず、必ず年内に全てを整理すると決めている。頭の中はその人の部屋を見ればわかる、とはよく言ったものだ。わたしが世の中の法則を発見する前に、先人はすべてを書き記してくれていて、教えてくれる。とは言っても自力でその法則を発見できるまでは、いくら人から言われても気づかないのも世の常だ。自分が本気で困らない限り、人は変われない。
部屋は自分の鏡で、頭の中を表している。
様々なメディアで話してるが、私の頭の中はどうやらごっちゃごっちゃだ。現代ではADHD(注意欠如・多動症)という言葉も広く知られているが、名称とかそういうのは重要ではない。特に女の人の場合は身体の多動症状は出にくくて、頭の中が多動になる傾向が強いそうだ。大いに覚えがある。通信簿のコメント欄には必ず「落ち着きがない」の一言があり、常に同時に複数の考えやタスクが思いついてしまって、どれから片付けていけばいいか順番がわからず、優先順位がごちゃごちゃのままタスクが雪だるま式に増えていく。そんな私のように頭の中がいつもうるさい人もそうじゃない人も同等に、部屋は自分の鏡ということになる。というわけで、私の部屋は頭の中と同じように散らかっていた。長い間これはもうしょうがないこと、整理整頓は私には一生できないと思っていたが、そうも言っていられなくなった。なぜなら頭の中がごちゃごちゃでもそうじゃなくても、整理整頓された方がどんな人間にとっても快適で、物事が捗りやすいという点は変わらないからだ。
しかし私には、瞬間的に頭の中のオンオフを切り替えようとする悪癖がある。話題が突然脱線したり、やっていることを放置して無限に別のことをはじめたり。他人から見るとどうやら日々無意識に激しく生きているし、そんな脳内の切り替えがあまりに激しすぎると、いつか停電を起こすみたいにショートしかねないように感じている。先人の教えを辿れば、崩壊しないように頭の中を整理するには、まず部屋を片付けよ、ということになる。掃除や整理整頓の作業をしていると、頭の中の考えも整理されることに最近気づいた。家事には瞑想的な効果があるとさえ思えてきた。
部屋だけじゃない。食べるものも、身につけるものも、関わる人も、居る場所もすべて自分の鏡だ。生きてる限り、全ての鏡は同時に押し寄せてくる。だからどんな境遇であれ、鏡がつきつけてくる自分自身の問題を処理するためには、なるべく頭の中が整理されていた方がいいに決まってる。様々な鏡を通じで世界側が見せてくれる景色を見落とさず自分のアイディアと栄養にしていきたい。そのためにはそれをキャッチできるフレッシュな脳内環境の整えが必須だし、みんなと違う不利な点を常に補っていかなければならない。
ずいぶん壮大に語らせていただいたが、これは全て片付けの話だ。でも私にとってはいちばん壮大で荘厳な問題でもある。この世でいちばん苦手なこの問題に去年の夏、ついに手をつけた。物理的にも精神的にもパンク寸前の私は泣きながら一ヶ月かけて断捨離した。片付けというか断捨離、持つものと持たないものを決めるだけの行為だけど、情報を莫大に摂取して、全部一旦とっとく脳の私は「もう要らない」となにかを捨てたり処理することがめちゃめちゃ苦手だった。それに物の仕分けをする前に、なにをどこに置くのかの設計図が想像できなくて、なに一つ手をつけられずにいた。変な完璧主義があるのか、「まずは仕分けして後から考える」がどうしても出来なかった。最初の1アイテムからすでにこれから必要なものか必要じゃないものなのかが分からず泣きながらモノを仕分けするほどだった。意外にも10〜15アイテムくらいでだんだん慣れてきて、断捨離は推し進められたが、それでも物量があったため一ヶ月はかかった。そんな地獄の断捨離を経たわたしは、そこから約一年半、どうにか部屋を保っている。片付けられない女は卒業して、片付けられる女とまではいかないが、片付けられることもある、くらいまでは成長した。机やクローゼットの中など、未だに混沌としまうこともあるが、どうにか定期的に整理している。そういった積み重ねがついに今年2025の年末に向けて、師走に入った瞬間から大掃除を始める心を育てた。必ず年内に全てを整理し、納め、人生初の大掃除の成功を願う!⭐︎
Text_Sharar Lazima