GINZA本誌のデザインチームにも参加する岡﨑真理子さんが、写真家・畑直幸さん、建築家・Sawada Hashimuraと協働して異色の展覧会「Syntactic Forest」を企画。2020年12月9日(水)から27日(日)まで、神保町の「The White」にて開催される。
岡﨑真理子、畑直幸、Sawada Hashimuraが共同展示。神保町「The White」にて開催

英和辞書で「Syntax」とひくと、「統語論、構文論」などと出てくる。そもそもは、文中の言葉の配列様式やその機能を研究する学問のことだが、岡崎さんは今回「部分同士を関連付けて全体を構成するためのルール/構造」を広義のSyntaxと捉えたという。彼女が惹かれるのは、物事の根底にある普遍的な構造。付与の素材同士をどう関連づけるか。そのルールもしくは構造を、素材を観察して抽象化する中で獲得する作業…それが、彼女にとってのグラフィックデザインだ。
そういった意味で単なる造形作業にとどまらない営みが、写真と建築でも生まれている。岡崎さんが出会ったのは、現在大分を拠点に活動している写真家の畑直幸さん。そして、澤田航さんと橋村雄一さんによる建築ユニット・Sawada Hashimuraだ。
畑さんは近年、植物をグレーに塗装したものに赤、緑、青のライティングをして撮影した作品を通して、人間の視覚と意識について考えてきた。展覧会では、写真に複数のピントを持たせる「深度合成」という技術を使いながら、あえて写真のレイヤーをバラバラに解きほぐし、重ね直したものを提示。あたかも「イメージの森」とでもいうべき視覚体験をもたらす。
畑直幸 作品
いっぽうSawada Hashimuraの二人は、長谷川集平の絵本『はせがわくんきらいや』をスタート地点に設定。物語の実態と文脈をそれぞれマテリアルと仕上げに置き換え、物質化することに挑戦した。図式を抽出することは、その物事の数ある解釈の一つに過ぎないとしつつ、解釈によって物(この場合は絵本の物語)が別のメディア階層にジャンプする様子を示している。
Sawada Hashimura 作品
既存の素材からどうやって新たな作品を生み出すか。展覧会では、三者三様の手法と観点で生み出された制作物が並ぶ。
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岡﨑真理子
グラフィックデザイナー。1984年東京生まれ。慶應義塾大学、オランダのヘリット・リートフェルト・アカデミー卒業。neucitora、 village®を経て2018年よりフリー。建築、写真、美術、ファッション等の文化領域を中心に、観察とコンセプチュアルな思考に基づいた、編集的/構造的なデザインを探求している。
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畑直幸
1979年、岐阜県出身。2011年に第4回写真「1_WALL」グランプリ受賞。2014年、オランダのヘリット・リートフェルト・アカデミー卒業。個展に2012年「Pelletron new no.4」(ガーディアン・ガーデン、東京)、2018年「MEAT MAN」(べっぷ駅市場、大分)など。主なグループ展に2019年「LUMIX MEETS BEYOND 2020 #7」「浅間国際フォトフェスティバル」などがある。
Instagram: @naoyuki.hata
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Sawada Hashimura
澤田航(さわだ・わたる)
1986年金沢生まれ。イギリスの AA スクール にて建築を学ぶ。能作文徳建築設計事務所を経て2015年にSawada Hashimuraを設立。東京藝術大学建築科教育研究助手、桑沢デザイン研究所非常勤講師。
橋村雄一(はしむら・ゆういち)
1984年大阪生まれ。多摩美術大学、イースト・ロンドン大学 (イギリス)にて建築を学ぶ。Tony Fretton Architects、Carmody Groarke、新素材研究所 を経て2015年にSawada Hashimuraを設立。一級建築士。