12月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする映画をご紹介。
G’s FILM REVIEW 子どもの目の高さから1年を追ったドキュメンタリー『リトル・ガール』etc.

TIM
に着想を得て、チュニジアの映画監督カウテール・ベン・ハニアが書き上げた脚本を映画化。内戦の続くシリアから脱出し、難民となったサムが、ビザと大金と引き換えに現代アートの巨匠に自身の背中を売ることになり、“アート作品”として高額で取引される身に。難民の置かれる現実を下敷きに、現代アートの価値や倫理観に、ユーモアたっぷりに容赦無く揺さぶりをかけてくる良作。
全国公開中。
©2020 – TANIT FILMS – CINETELEFILMS – TWENTY TWENTY VISION – KWASSA FILMS – LAIKA FILM & TELEVISION – METAFORA PRODUCTIONS – FILM I VAST – ISTIQLAL FILMS – A.R.T – VOO & BE TV
『リトル・ガール』
フランス北部、エーヌ県に暮らす7歳のサシャ。出生児に“ 男性 ”としての性別を割り当てられた彼女は、2歳を過ぎた頃から自身は女の子だと自認していた。サシャを男の子としてしか扱おうとしない学校やバレエ教室と闘う家族とサシャが、ある小児精神科医との出会い、ため込んでいた苦しみを解放していく。セバスチャン・リフシッツ監督が子どもの目の高さから1年を追ったドキュメンタリーは、違いを知りともにいることについて触れる。
全国公開中。
©AGAT FILMS & CIE – ARTE France – Final Cut For real – 2020
『悪なき殺人』
南仏の雪深い山中の村で起きた、女性の失踪事件。登場人物の視 点で綴られるそれぞれの事件前後の物語が、思いもよらない形で 結ばれていく。文学賞ランデルノー賞に輝いたコラン・ニエルの 原作『Seuleslesbêtes(動物だけが)』に魅せられたドミニク・ モル監督がジル・マルシャンとともに脚色した本作。インターネットで世界中とつながれる現代ならではの偶然の連鎖に翻弄される人間をブラックユーモアで描く緻密な脚本に唸ってしまった。
12月3日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開。12月4日(土)よりデジタル公開。
©2019 Haut et Court – Razor Films Produk tion – France 3 Cinema visa n°150 076
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Recommender: 小川知子
ライター。年末ももう目の前ですが、ゆうめいの新作公演『娘』が今年最後の一番の楽しみです。