まるまるとしたペイント、もこもこした立体……。 山瀬まゆみがつくり出す、アブストラクトな作品の源は?
まるまるとしたペイント、もこもこした立体……。 山瀬まゆみがつくり出す、アブストラクトな作品の源は?

山瀬まゆみが描くのは彼女の中に存在する、ある形。
「核のある細胞のような形が増殖していくイメージが昔から頭の中にあって、それを描き続けています」
恩師の影響でロンドンの大学へ進学。絵を描く傍ら、ソフトスカルプチャーを始めた。目で見て感触がわかるものが好きだと話す彼女の作品は、平面から立体まで表現方法に際限がない。しかし、やわらかさが伝わってくる“素材感”が一貫している。自分の世界観をつくりあげるために、手法は問わないそう。
今まさに、個展に向けて制作の真っただ中の彼女。
「自分がイメージする形と色を、掘り下げていきたい。もうひと踏ん張り、シンプルなものにしたいんです」
作品に対しての思いはもちろん、展示に対しての意気込みについても話してくれた。
「これまでは設営にあまり時間をかけず、作品をつくることに重きを置いていました。でも何度か個展をやってきて、見せ方の大切さを痛感して。今回は〈Cale〉を運営する幼なじみと打ち合わせを重ねて、展示のプランを細かく話し合っています。前回の反省点をふまえて、より詰めたものにしたいです」
まだ名前のない個展だが彼女の新境地となるだろう。
『タイトル未定』
7月1日〜7月16日/Cale gallery
アクリル絵の具で描かれるペイントは、フェルト素材の立体のようなやわらかさを彷彿させる。
やませ・まゆみ≫ 1986年生まれ。ロンドン芸術大学Chelsea college of Art and Design、Fine Art科卒業。現在は東京を拠点に、アーティスト、ライター、編集者と幅広く活動している。
Photo: Hideaki Hamada (portrait)
Text: Nozomi Kinoshita