「パルコミュージアム トーキョー」にて、画家・友沢こたおの新作展覧会「SPIRALE」が開催。スライムを顔に乗せたときに生まれる感覚が、徹底したリアリズムで描かれる。2022年9月16日(金)から10月3日(月)まで。
新進画家・友沢こたおの個展が「パルコミュージアム トーキョー」にて開催

赤ん坊の人形や女性の顔を覆うスライム。ぬるっ、ぷるっ、どろっ…さまざまな質感に、鮮やかな色。友沢こたおの絵を見ると、ドキッとして心がざわつく。これはなんだろう?という強烈な違和感につかまってしまうのだ。
シュールな作風に見えるけど、友沢は「空想ではなくて、実際に起きていることしか描いていない」と話す。スライムを貼り付けた顔をモチーフにしたのは、彼女が実際になんとなくスライムを顔に乗せてみた体験がきっかけらしい。鼻や口にスライムが入ってくる感覚、息ができない苦しさ、と同時に、スライムからうっすら透けて見える景色の不思議さ。それらを、徹底したぬめりのあるタッチで描ききる。
実は、使っているスライムは自作。色はもちろん、硬さにもバリエーションがあり、それが、顔に乗せた時の形の違いにつながる。とぐろを巻いたり、どろっと滑り落ちたり。モデルの人形や自分の顔に乗せてみて、その様子を写真に撮る。そしてその写真を見ながら、一心不乱にキャンバスに向き合うという。
作家自身が特にこだわっているのが、色作り。一色を作るのに数色の油絵の具を使って、「これだ!」という色を納得がいくまで混ぜ込んで決めていく。けれど、生々しい作品が伝えるのは、目に見えるものだけではない。スライムの触感、重さ、それを乗せた時のなんとも言えない感覚。スライムと身体の接触が呼び起こすのは、生へのもがき、生の質感でもあるだろう。それが螺旋(SPIRALE)のように連なり、内なる探究の旅が進む。
作品集 ¥3,300 A4判シルクスクリーン作品付きの特装判を50部限定で販売。展覧会会場にて抽選販売予定。
作家は1999年生まれで、現在は東京藝術大学大学院修士課程に在学中。すでに多くの展示を経験していて、作品は即日完売のことも。今回の個展はこれまでで最大規模。新作を中心にした構成で、大型作品も多く登場。会場ではネオ・シルクスクリーンも抽選販売される。また、初となる作品集『KOTAO』(PARCO出版)を本展示に合わせて刊行。