歌舞伎俳優・初代尾上眞秀の初舞台を記念した祝幕が完成し、2023年5月27日(土)まで銀座・歌舞伎座でお披露目されている。 〈シャネル〉のサポートのもと、現代アーティストのグザヴィエ・ヴェイヤンがデザインし、刺繍工房の「モンテックス」が制作した特別な一枚だ。
🎨CULTURE
〈シャネル〉が初代尾上眞秀の初舞台を記念した祝幕制作をサポート。歌舞伎座でお披露目中

10歳となった歌舞伎の次世代を担う初代・尾上眞秀。7代目尾上菊五郎の孫で、俳優の寺島しのぶとフランス人アートディレクターのローラン・グナシアを両親に持つ幼い才能の門出を祝うのは、フランスが誇るメゾンがサポートした舞台幕。パリで制作された祝幕は、2023年5月27日(日)まで銀座・歌舞伎座の舞台を飾る。
デザインを手がけたグザヴィエ・ヴェイヤンはフランス人の現代アーティストで、刺繍を施した「モンテックス」はフランスが誇るメゾン〈シャネル〉傘下の刺繍工房だ。「モンテックス」のアーティスティック・ディレクターのアスカ・ヤマシタも、尾上眞秀と同じく日仏両国にルーツを持つ。
15世紀の誕生以降、伝統に革新を重ねながら発展してきた歌舞伎。その芸能の未来を示すかのように、祝幕はモダンで彩り豊かだ。エクリュカラーの生地の上に、青や水色、朱色や黄色など全部で20色のオーガンザパーツが無数に並ぶ。レーザーで丸くカットされたパーツは、まるでピクセルアートのように抽象的なモチーフを描き出していく。下手側には大きく「眞秀」の名が、上手側には音羽屋の家紋が入れられた。
トラディショナルな意匠からあえて離れながらも、サヴォワフェールを惜しみなく発揮。パリでの作業時間合計は800時間を超えるという祝幕が彩るのは、尾上眞秀の初舞台『音菊眞秀若武者』。豪傑・岩見重太郎の狒々(ひひ)退治の伝説をもとにし、尾上菊五郎の演出で、眞秀が女方と立役を勤める。舞台と舞台幕、両方を堪能したい。
【「團菊祭五月大歌舞伎」初代尾上眞秀初舞台『音菊眞秀若武者』祝幕】
お披露目期間: 2023年5月27日(日)まで
場所: 歌舞伎座
住所: 東京都中央区銀座4-12-15
Text: Motoko KUROKI