10月22日(日)まで銀座・資生堂ギャラリーにて開催されている展覧会「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」。タイトル通り、本展のメインテーマは私たちの生活の身近にある工芸「かみ」。会場にはコズミックワンダーが手漉き和紙で作った衣服=紙衣が並ぶほか、その手漉き紙の魅力を表現するコズミックワンダーと工藝ぱんくす舎のパフォーマンス「舟水会」「お水え」で用いるしつらえ、道具、工芸品などが展示。
手漉き和紙とは?
和紙にも様々な制作方法から種類まであるが、手漉き和紙は平安時代中期頃には「紙衣(かみこ)」という衣服にも使用されていた。一見紙を衣服として用いるなんて想像も付かないが、それほど手漉き和紙は強度・丈夫さを持っていた。
機械により速く大量生産している和紙もあるが、手漉きの場合は簀桁(すけた)で時間をかけて何度も何度も繊維を絡ませる。その強度を持ってして、手で揉み柔らかくすることで私たちの身体に合った着心地のいい素材にもなり得た。
まさに本展ではコズミックワンダーが制作した新作の紙衣も展示。これは浜辺に自生する海辺植物・ハマゴウの葉で染めている。お香や薬に使われていた程独特の香りを放つこの植物は、縄文以前より日本に生息。海にぷかぷかと浮かぶ種は日本全体に分布を広げ、本展では2017年6月〜8月の間に、本州・九州・四国・淡路島・琉球の浜辺を実際に訪れ手摘みしたものを使用している。
生命の源であり紙作りにかかせない「水」
それら日本独自の伝統的な和紙の魅力を表現するのが、コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎によるパフォーマンス「舟水会」と「お水え」。お茶会に着想を得た湧き水をふるまうセレモニーで自然への畏敬の念から行われる。
内覧会に開催された「舟水会」のしつらえや道具の工芸作品が会場に並ぶ。野焼きのやきものにハマゴウ染めの紙を貼り込んだ水瓶や水碗、ハマゴウ枝の柄杓、ハマゴウ籠皿など一式としてパフォーマンスで使われた。
自然万物に神様が宿ると考える日本独自の宗教観と八百万の神の存在は、偶像ではなく現象を信じ、「みえないものをみる」といった独自の考えた方。本展で用いられる「かみ」は、いにしえから私たちの生活に根付いた「道具」としての役割を持つ一方、本展にて日本独自の感性により、一層本来の神秘的な美しさ、力を放つ。
「かみ コズミックワンダーと工藝ぱんくす舎」展
会期:8月29日(火)〜10月22日(日)
時間:平日11:00〜19:00 日・祝日〜18:00
月曜日休館日(10月9日休館)
場所:資生堂ギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目8−8−3, 東京銀座資生堂ビル