13代将軍・家定(愛希れいか)と胤篤(福士蒼汰)が「この上もない幸せ」を感じた直後の不幸。14代将軍となった家茂(志田彩良)の思い。激動の『大奥』18話(幕末編3話)をドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。17話レビューはコチラ。
衝撃の公武合体!女性同士の結婚の行く先は……
13代将軍・家定(愛希れいか)と胤篤(福士蒼汰)が「この上もない幸せ」を感じた直後の不幸。14代将軍となった家茂(志田彩良)の思い。激動の『大奥』18話(幕末編3話)をドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。17話レビューはコチラ。
喜びの後に悲しみがやってくる。喜びが大きければ大きいほど、悲しみは深くなる。
13代将軍・家定(愛希れいか)が懐妊。つわりで食事を残しがちな家定が御膳所(調理場)に詫びるためにカステラを作りに行ったり、そのカステラを食べる胤篤(福士蒼汰)を見て嬉しそうにしたりと和やかな時間が流れる。お万好みの流水紋が胤篤の目に留まり、瀧山(古川雄大)が二度と同じ柄を着られなくなったあたりも表情で見せていてかなりコミカル。そして、流水紋の裃を着た胤篤が魅力的なあまり、最上級のツンデレを発揮する家定のかわいさ! つらい少女時代を送ってきた家定が本当に心から「好きだ」と言える人に巡り会えた幸運を、視聴者としては目を細めて見るばかりだった。
*お万は、Season1で福士蒼汰が演じた伝説の大奥総取締役。
しかし、お互いの愛を確かめあい、未来を語り合った日を最後に、胤篤の知らないところで家定はたおれる。
「幸せじゃ。今この時がこの上もなく」
そう言った家定は、阿部正弘が遺言のように伝えた「幸せになってくださりませ」という望みを、ほんの一瞬だけ叶えた。けれども、
「正弘と目指したところに向け、今一度走り出すのじゃ」「身分の別なく人を取り立てる世を目指して」
家定が思い描いていた未来は叶わなかった。西洋列強が男社会の世界で、家定が描いた「男女の別なく人を取り立てる」という先進的な取り組みは、果たされることなく潰える、かに見えた。
Edit: Yukiko Arai