©CHANEL
2024年7月15日(月・祝)まで、銀座の「シャネル・ネクサス・ホール」にて『Borrowed Landscapes フェイイ ウェン|パン カー 二人展』が開催中。
中国の現代アート界の新世代による作品が「シャネル・ネクサス・ホール」に集結
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2024年7月15日(月・祝)まで、銀座の「シャネル・ネクサス・ホール」にて『Borrowed Landscapes フェイイ ウェン|パン カー 二人展』が開催中。
世界中のアーティストやキュレーター、スペシャリストを招き、異文化交流や芸術的コラボレーションに取り組む「シャネル・ネクサス・ホール」。
今年、20周年を記念した最新企画では、〈シャネル〉のグローバルアドバイザー兼「UCCA 現代アートセンター」のディレクターを務めるフィリップ ティナリをキュレーターに迎えた。彼は、先日開催された『KYOTOGRAPHIE 2024』でアートユニット、バードヘッドを紹介したばかり。第二弾として、中国出身のアーティストであるフェイイ ウェンとパン カーによる新作を集めた展覧会がスタートした。
ロンドン在住のフェイイ ウェンは、2020年にスレード美術学校で博士号を取得。自然や風景を主題に作家活動を行う。
彼女の作品には、中国の山水画、もしくは日本が舞台になっているように感じられる題材や構図がしばしばある。しかし、実際には、ほとんどがイギリスとウェールズで撮影されたものだ。そのように彼女が関心を持っているのは、映されたイメージと、見る者が見ようとするイメージとの関係。
写真表現を探求しながら、露出レベルや現像技術、用紙や印刷の手法などの試行錯誤を重ねてきた。本展では、最新シリーズ「Seeing a pine tree from your bedroomwindow」からゼラチンシルバープリントとライスペーパーにジークレー印刷をした16点を発表。
パン カーは、2015年にロードアイランド・スクール・オブ・デザインを卒業。その後、カリフォルニアで数年を過ごし、現在は中国と北米を拠点に制作している。
長年研究してきたのは、アジアの近代化の過程、特に人口の多い都市において、集団から生み出された文化・歴史について。創作を通して、急速な発展を遂げる地域で育まれる熱狂や嘆き、レジリエンス、そしてその土地と結びついた生活を検証している。
2022年からは、中国の出稼ぎ労働者の居住空間や、彼らの多くが住む「アーバン・ビレッジ(城中村)」(都市のなかに取り残された、労働者の密集居住エリア)をテーマにした壁面のアッサンブラージュ『Bay Windows(出窓)』をタイクン・コンテンポラリーで発表した。エキゾチックな美的感覚を模倣した装飾的な窓は、彼らの生活、その内なる側面や、夢とその挫折を喚起させる。今回は、このシリーズの続編ともなる6点の新作が並ぶ。
両者に共通しているのは、これまで歩んできた環境だ。驚異的な経済成長を見せていた1990年代の中国で生まれ育ち、その後海外で勉学に励み、作家活動を行ってきた。どちらも写真に根ざし、レンズを通した表現をベースにしながらも、さまざまなメディアや技法を探究し続けている。
中国の現代アート界を代表する新世代の二人。彼女たちの作品は、鑑賞者に新たな視点を与えてくれるはずだ。
期間_開催中〜2024年7月15日(月・祝)
時間_11:00~19:00(最終入場18:30)
場所_CHANEL NEXUS HALL
住所_東京都中央区銀座3-5-3シャネル銀座ビルディング4階
*会期中無休
Tel_03-6386-3071(シャネル・ネクサス・ホール事務局)
Text_Nico Araki