のんびりゴミ拾いをする日常回、と思いきや緊急事態が! 『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日毎週火曜よる9時〜)第3話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
2話レビューはコチラ。
*レビューはネタバレを含みます。
つらい過去を抱えているからこそ、ゴミを拾い、たこ焼き器を囲む時間が輝いて見える

のんびりゴミ拾いをする日常回、と思いきや緊急事態が! 『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日毎週火曜よる9時〜)第3話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
2話レビューはコチラ。
*レビューはネタバレを含みます。
第3話は、なんとものんびりした始まり方だった。草刈りしたり、ゴミを拾ったり、それを分別したりしながら、桜介(ディーン・フジオカ)、円寂(高畑淳子)、半蔵(宇野祥平)のこれまでを聞く文太(大泉洋)。3話にして何もミッションのない日常回だ。そうするうちに文太と四季(宮﨑あおい)は近所の神社の夏祭りにいっしょに行こう、なんて話になる。浴衣回でもあるのか!
と思いきや、後半になって急遽これまでとは比べものにならない緊急ミッションが降りかかる。その内容は「爆発で人が死ぬのを止める」。しかも場所は今まさに行こうとしていた神社、時間は30分後!
ここに来て、冒頭の四季の「夢」が気になってくる。無惨な事故現場らしき場所で倒れている文太は、四季が本当の夫の記憶を文太に入れ替えて蘇らせたものではなく、今回のミッションの結末を予知したものではないか?
闇雲に現場に駆けつけても爆発の原因も場所も特定できない。「ちょっとだけ」の能力も役に立たない。そんな中、爆発は起こってしまう。エスパーたちはすんでのところで能力も何も関係なく(唯一、半蔵の飼い犬・佐助がガス漏れを感知した!)、大切な存在を身を挺して守る。半蔵は佐助を、桜介は父であることを隠し普段こっそり見守っている息子(新原泰佑)を、文太は幼い自分を重ね合わせた見知らぬ男児を。幸い、自分たちもかすり傷程度で無事だ。夢が現実にならなくてよかった。
ただ、文太が最初に、爆発を誘因した発電機の電源を抜かなかったらどうなっていたのかは気になった。一度抜いたから、再び差した瞬間に爆発が起きてしまったとも取れる。火花が散っていた発電機は、そのままにしておいたらやはり遅かれ早かれ引火して爆発していたかもしれない。爆発を知らされていた3人が事故現場の周りを守れる状態で爆発が起きる、というのがこの場合の最善だったということか。
前半で「ちょっとだけヒーローでちょっとだけエスパー」と社長・兆(岡田将生)に連呼させられていた文太。兆によれば、ゴミ拾いのような「たわいもない小さな行い」がやがて世界を救うのだ、という。これは、もしかしたらすべての人に当てはまる真実なのではないか。私たちはエスパーでなくても、「たわいもない小さな行い」をすることはできる。今回は結果として爆発事故から人命を守るという真のヒーローぶりを発揮した彼らだけれど、文太たちがいる本当の意義は、普段のゴミ拾いの方にこそあるのではないか。
Edit_Yukiko Arai