文太(大泉洋)をはじめとするエスパーたちは解雇されて路頭に迷い、自分の未来を知った四季(宮﨑あおい)は無謀な振る舞いを……。一体どうなる?『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日毎週火曜よる9時〜)9(最終)話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
8話レビューはコチラ。
*レビューはネタバレを含みます。
文太(大泉洋)「愛し損ねたんです。俺たちみんな、愛し損ねちゃったんですよ」

文太(大泉洋)をはじめとするエスパーたちは解雇されて路頭に迷い、自分の未来を知った四季(宮﨑あおい)は無謀な振る舞いを……。一体どうなる?『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日毎週火曜よる9時〜)9(最終)話を、「物語」を愛するライター・青島せとかとイラストレーター・まつもとりえこが振り返ります。
8話レビューはコチラ。
*レビューはネタバレを含みます。
5話のレビューで書いた「究極のトロッコ問題」。どちらかを救えばどちらかが犠牲になる。5話の時点で文太(大泉洋)が直面していたのは、1万人を救うと信じて取り組んでいたミッションが1000万人の犠牲を生む問題だった。ところが実際は、四季(宮﨑あおい)たった1人vs1000万人。さらには、二股に分かたれた道の手前にいる人間がトロッコをどちらに向かわせるか悩むのではなく、なんと片方の道にいた当事者が、トロッコが通る道自体を潰そうとする展開が訪れた。
かつての不倫相手(吉田鋼太郎)を襲った円寂(高畑淳子)と、それを止めた文太たち。
「殺し損ねちゃったわ」「愛し損ねたんです。俺たちみんな、愛し損ねちゃったんですよ」
そんな円寂と文太の会話が印象的だった最終話前半。もう一人、「愛し損ね」そうになったのが、他ならぬ四季だ。自分のために多くの犠牲をものともしない兆=文人(岡田将生)を。半年間とはいえ、夫と信じていた文太を。そして、10年後に死ぬと知った自身を。愛し損ねた四季は、自ら全てを終わらせようとする。兆が市松(北村匠海)らをおびき寄せ、3人まとめて消し去ろうとしたクリスマスマーケット。その企みを知った文太らが本来事故で亡くなるはずであった人たちごと救う計画を立てていた。そこに2025年の文人、2055年の兆、四季……と皆が集う。
「世界にいらないのは私たちなんだよ」と、文人と共に事故で落下する予定のパネルの下敷きになろうとしていた四季を説得した文太。
「世界は誰のこともジャッジしない」
「(四季の余命である)10年だってかけがえない! 俺の半年は一生分だった」
死ぬことを考えるまで追い詰められ、一度は救われたかに思えたものの、「いらない人間」として再びどん底に突き落とされるような経験をした文太。しかも、10年どころか1年以内に死ぬと予言されてもいる。そんな彼が、四季を救おうとする。たとえ10年後に死ぬとしても。この半年を忘れるとしても。愛しているから。それは、文人とは逆の愛だ。
Edit_Yukiko Arai