〈ボッテガ・ヴェネタ〉が、ブランドらしい ユニークな方法を模索するために、プロダクトにフォーカスしたデジタルジャーナル『Issue』を刊行。記念すべき第1号となる『Issue 01』は、「マイホームでの生活」がテーマ。
〈ボッテガ・ヴェネタ〉が『Issue 01』を発刊。SNSを断ち、新たな境地はデジタルマガジンへ

クリエイティブ・ディレクターのダニエル・リーが率いる〈ボッテガ・ヴェネタ〉は、そのプログレッシブな姿勢を貫き、勢いを増すばかり。シグネチャーであるイントレチャートをアップデートしたバッグやシューズは、今や誰もが欲しくなるアイテムのひとつになっている。
そんな絶好調のブランドが、2021年初め、Instagram、Twitter、Facebookといったソーシャルメディアから突然アカウントを消してしまったことは記憶に新しい。ファンやフォロワーは、ブランドに何が起こっているのか、と不安に駆られただろう。しかし、それは、〈ボッテガ・ヴェネタ〉ならではのある「アプローチ」のためだったのだ。
デジタルプラットフォーム上から姿を消してから約3カ月、〈ボッテガ・ヴェネタ〉は再びデジタルの世界へ戻ってきた。〈ボッテガ・ヴェネタ〉の商品を購入する人だけではなく、より多くの人に向けて民主的な方法で語りかけたいという思いから、消費者との関わり方を再定義。クリエイティブな人々や私たちのコミュニティとのコラボレーションを試みる機会を、デジタルジャーナル『Issue』へと託した。
今回発刊されたのは、記念すべき第1号となる『Issue 01』。各コレクションが店舗にローンチするタイミングで年4回発行されるという。『Issue』は基本的にプロダクトにフォーカスするが、今回の『Issue 01』では、「マイホームでの生活」をテーマとした。パルクール集団のストーラー、〈ビバ〉の創業者であるバーバラ・フラニッキ、ラッパーのミッシー・エリオットをはじめ、日本からは写真家の菅井健也やバルーンアーティストの松本壮由が本号に参加。総勢28名のコントリビューターという、豪華なラインアップになっている。
第1号のカバーを手がけたのは、イギリス出身のイラストレーター/グラフィックデザイナー、ジェームズ・レイシー。「LOSE YOUR HEAD NOT YOUR MIND」(ぶれそうなときも、あなたの個性や精神を失わずに)というメッセージも書かれている。
ソーシャルメディアは、クリエイティブな作品を既定のフォーマットでしか発表することができないという意味で制限があり、そのため、自分たちのクリエイティブ作品の発表方法にオーナーシップを持ちたいというブランド独自の考えのもと、『ISSUE 01』は誕生。潔くもソーシャルメディアをすべて断ち切った行動は、決して彼らがアナログになるということでも、デジタルを好まないということでもない。消費文化に対してよりゆったりとしたペースを推進していくという、〈ボッテガ・ヴェネタ〉らしい価値観を体系化して表現する方法なのだ。
目まぐるしいスピードで進んでいくデジタルの世界に一石を投じた行動で、現代の私たちに時間をかけて深く考えることや何かに没頭することの大切さを伝えている〈ボッテガ・ヴェネタ〉。この「メッセージ」は、私たちが今後、デジタルの世界とどのように関わっていくかについて考えるきっかけになるだろう。