子どもの頃からカメラで遊ぶのが好きだったというオザワ キヨエさん。世界を見つめる優しいまなざしが作品からも伝わってくる。いつもの散歩の延長のようにふらりと旅に出るのだと話す彼女が2023年、早春のパリで記録したものと、写真について──
オザワキヨエのPARIS写真日記

「子どもの頃から、周りの友達や家族を写すことが好きでした。20歳になった頃、亡き祖父のカメラが見つかり私の元へやってきました。現像されたものを手にして、私、こんな世界を見れていたんだ!と本当に感動したのを覚えています。今でも、見たものや聞いたものを全部記録して残しておきたいくらい、すべてのものが美しく、愛おしいんです」
午後から晴れることの多いパリ市内
「数年ぶりの渡仏となった今回、ファッションウィーク真っ只中のパリに滞在しました。この時期のパリは過去にも訪れていたものの、客席からショーを見せていただくのは初めてのことで、とても幸いでした」
「幼い頃から、古いものに惹かれる傾向があります。平成で生まれちゃったんですけど(笑)、もっと昔に生まれてみたかった。これはもう、私の体質というか先天的なものからきているんでしょうけど。現存する建物や古い道具なんかを見ても本当にありがたくて。写真を撮るって、その瞬間を残すことですけれど、だから、自分も残さなきゃいけないなと思います」
「街を歩きながらシャッターを切るときは、これを残したいと思う、何秒か“前”にもう切っていたりします。感覚でしかないのですが、後からそれについては考えたりします」
「20代になってから、時折、旅に出るようになりました。着いた先を歩き回って、風向きを見ながら行く先を決めていきます。この辺は気持ちいいなと思ったら、コンコンと扉をたたいて、今日泊まれますか?って。あるいは、田舎道などで声をかけてくれた人のお家に泊めていただくことも多いです。そうやって旅をしているうちに、世界が広がっていくというか、苦手なものや怖いものがどんどんなくなっていきました。話してみると、いい人の方が多いんですよ。本当にね、みんなのことが大好きになりました」
光のほうへ
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KIYOE OZAWA
写真家。旅をしながら写真を撮る。 国内外でファッションやポートレート撮影を中心に活動中。古いものが好き。最近は舞台裏などのドキュメンタリー作品を作っている。