身につけると甦ってくる、あのとき熱狂したライヴの情景やサウンド。ミュージシャンを愛するあの人のスペシャルな私物マーチをご紹介します。
菊乃のとっておきマーチ。Sans Filtreのキャップ
音楽が好きだから♡
菊乃
MARMOT CAPITAL ディレクター
💘
Sans Filtreのキャップ

「運命でした」
菊乃さんはキャップに触れながら、そう口にした。ソン・フィルトルとは、父の堺正章さんが、ザ・スパイダースで一緒だったムッシュかまやつさん、井上堯之さんと組んだバンドだ。1999〜2001年の活動期間中に生み出した唯一のオリジナル曲「Yei Yei」で第50回 NHK紅白歌合戦にも出場している。
「手にするまでバンドの存在すら知りませんでした。親交のある大阪の古着店『JYUKU』が2023年の春に、高円寺の『KIOSCO』でキャップのポップアップストアを開いたんです。そこでオーナーが『これあるよ』と、ストックから出してきてくれて」
そこで初めてバンドについて調べた。
「聞き慣れないフレーズはフランス語で“両切り煙草”という意味です。ムッシュ氏が愛煙家であることと、“ストレートな音楽を奏でる”そんな覚悟も込めていたみたい。突き進む大人たちの姿を想像すると微笑ましくなりました。披露するのはカバー曲が中心だったのに、販促グッズは作るという茶目っ気もいいですよね。シルバー糸のステッチがかっこよくて気に入っています。ほかにはK-HIPHOPのグッズを収集中。クールなグラフィックが豊富なんです。10年、20年後も使えるものを選ぶのがポリシー。アーティストに対して今抱いている“好き”も保存したいから、ついそろえてしまいますね」

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きくの>> 1990年、東京都生まれ。2015年よりアパレルブランド〈パープルシングス〉を主宰。ginzamag.comにてさまざまなイベントをリポートする「WISH YOU WERE HERE」を連載している。
Photo_Kaho Okazaki (SIGNO) Text: Mako Matsuoka