この日ルーカス・ドン監督の首元には、二人の人が寄り添ったデザインのゴールドのネックレスが光っていた。少年同士の親密さを描く最新作『CLOSE/クロース』とイメージが重なり、印象に残った。監督は身体的なアプローチの映画作りで知られ、俳優のちょっとした動作や視線にも必ず狙いがある。それらをまるで因数分解するように語ってもらった。
💭INTERVIEW
映画『CLOSE/クロース』ルーカス・ドン監督にインタビュー
二人の少年が並んで眠るイメージに託したもの
──前作『Girl/ガール』では、トランスジェンダー女性が葛藤を抱えながら、バレエダンサーの夢を追いかける姿を描いていました。監督は身体動作を重視した映画作りで注目され、インタビューでもよく「振付師のように演出する」と話していますね。
たしかに、自分のことは“振付師”だと捉えています。実は、もともとダンサーを目指していたんです。誰にでも一つは一生の後悔ってあると思うけど、私の場合はまさにその夢に挫折したこと。だから何事も、できるだけダンスに近づけようとしているんです。脚本には動き方や、身体的な意図を書くことが多いです。セリフで説明するよりは、身体性に注目するというか。
俳優に対しても、動作から演出することが多いです。あと、視線の意図を伝えたり。まれにセリフの言い方を指示することもあるけど、そこは基本的に俳優自身の解釈に委ね、クリエイティブに演じてもらえるように心がけています。
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Photo: Yuka Uesawa Edit&Text: Milli Kawaguchi