timeleszへの加入を機に、とどまることを知らない活躍ぶりはご存知の通り。その舞台裏には、信頼するメンバーとの仲睦まじい絆があるという。ファッション哲学や初主演映画についての思いの丈を語ってもらった。
俳優、アイドル寺西拓人にインタビュー
初めて触れる、内に秘めた静かな情熱

オーディション番組『timelesz project -AUDITION-』で一躍時の人となり、躍進が止まらない寺西拓人。インスタグラムでは、清潔感のある大人カジュアルな私服をさらりと着こなす彼を楽しめる。しかし、ファッションのルーツは意外なところにあった。
「10年以上前になりますけどBIGBANGに憧れて、彼らが着ているブランドを調べては買っていました。韓国のストリートからどんどん新しいブランドが出てきていて、しかも、うちの事務所の人はそちらの服をほとんど着ないので、もともと人と被るのが好きじゃない僕の気質にも合っていたんです。何の恐れもなく、奇抜なアイテムでトガり散らかしていたなあ(笑)。ものすごく派手な蛍光のスニーカーをはいて、でっかいサングラスをかけて……みたいな。今の僕が、あまりに攻めた格好をしていると勘違いされかねないですし(笑)、年齢を重ねてトレンドの変化も感じながら、少しずつ無地のTシャツやスラックスといったシンプル系に移行しつつあります。ちょうど、今回用意してもらった服と、K-POPにハマっていた時代のスタイルの中間くらいにいます」
見かけるとつい買うアイテムは、キャップ。
「可愛いと思ったらすぐ欲しくなっちゃいますね。20〜30個は持っているんじゃないかな。髪をぱっと中に入れてしまえば、そのままダンスレッスンができて便利というのもあります。大事なのはやっぱり被った時の印象。深めのデザインが好きで、僕に合うと思います。最近買ったファッションアイテムは、黒いショート丈のアウター。え〜と……、ジップがついてて、袖がちょっと長めで……。なんて言うんでしょう、シンプルなんだけど、遊び心も感じられるデザイン。なんとなくは伝わりました……?ファッションアイテムを言葉で説明するのって本当に難しいですね(笑)」
グループとしても、個人活動でも大活躍で、多忙なのは想像に難くない。それでも、ショップを訪れ、買い物をする時間はあるそう。
「みなさんが思うよりも、自由な時間はあるんですよ。むしろ、timeleszに入ってからのほうが、見られる機会が増えた分、仕事の合間にサクッと店に寄って買うようになりました。最近は基本『timelesz project -REAL-』の密着カメラがついているので、私服だけじゃなく、ダンス着にしても視聴者に“いつも同じ”と思われたくない気持ちもあります(笑)」

次々と舞台に立ち、数多くのCMに出演するなど充実する個人仕事。公開中の映画『天文館探偵物語』では、映画初主演を飾った。
「“初”というのは最初で最後で、どれだけ時間が経っても変わりません。そこに対する意識はしっかり持っていました。ただ、主演としての気負いみたいなものは全くなかったです。共演者の方々の力を借りつつ、肩肘張らずに自分ができることをまっとうする。その一心でした」
撮影を振り返り、強く印象に残っていることとして挙げるのは、アクションシーン。
「台本のト書きでは“血を吐いて怒り、壁を殴って悶絶”とか、激しいことが書いてあるんです。文字として読んでいる間は、どうやって映像にするのか想像がつかなかったんですけど、なるほど、あの描写はこう撮るのか、と。現場でたくさん勉強させてもらいました」
演じた宇佐美蓮は、熱血漢のバーテンダー兼探偵。全ての行動の根底には、困っている人を助けたいという強い想いがある。
「あそこまで人のために動けるのはすごいですよね。僕は、助けを求められていると確信すれば、もちろん力を貸しますけど、積極的に手を差し伸べるほうではないかな。うちのグループでいえば原(嘉孝)は面倒見がいいタイプ。timelesz内での役割分担として、そこは原に任せている部分が大きいですね」
その原嘉孝や、同じ事務所の室龍太、高田翔も本作に出演。気心の知れた仲間たちと芝居を交えた。
「初めての方だと、どうしてもお互い気を使ってしまうので、知った顔がいると安心しますね。限られた時間の中でスムーズに撮影ができたのは、長い付き合いの彼らのおかげ。原は、冷徹な悪役に徹してくれました。あとはあいつ(原)、鹿児島で遊んでいただけです(笑)。この作品がクランクアップした直後に、僕らはオーディションに途中参加する流れだったので、二人で夜、ホテルで課題の振りをちょっと練習はしましたけどね」
タイトルにもある、南九州最大の繁華街、天文館でオールロケを敢行。昔ながらの商店街でのシーンには、ノスタルジックな空気が漂う。
「古くから続くお店がたくさん残っていて、素敵な街でした。貝がたくさん入ったお味噌汁を出しているお店に、3回くらい一人で行ったな。貝は、新加入してやりたいこととして“貝の仕事”と答えたくらい好き。お待ちしています(笑)」
ℹ️
『天文館探偵物語』
バーで働きながら探偵業を営む宇佐美蓮は、相棒の山下健斗と共に、訳ありのシングルマザー・凪の窮地を救った。安心したのも束の間、凪の息子が誘拐されてしまう。やがて、事件の背景にある、天文館の再開発問題に巻き込まれていく。TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中。
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寺西拓人
てらにし・たくと>> 1994年生まれ、神奈川県出身。2025年、アイドルグループ・timeleszに新加入。俳優としての評価も高く、26年はミュージカル『PRETTY WOMAN The Musical』と、W主演を務める舞台『AmberS -アンバース-』が控えている。声優として参加したアニメ映画『迷宮のしおり』は26年1月1日公開予定。
Photo_Hiromichi Uchida Styling_Kyu (Yolken) Hair&Make-up_Kiyoko Ninomiya Text_Sakiko Koizumi
