〈ニューバランス/New Balance〉にとって、グレーは特別な色。そのさまざまな表情にスポットを当てたスタイル提案「Celebrating the Premium Grey」が、2024年5月17日(金)に開催された。グレーが開くファッションの可能性とは?
〈ニューバランス〉の鮮烈なグレースタイル
シグネチャーカラーに焦点を当てたイベントに潜入!
「〈ニューバランス〉のスニーカー」と聞いて思い浮かべるとき、その一足は何色だろう。きっと、多くの人が「グレー」と答えるのだと思う。
〈ニューバランス〉からオールグレーの「620」が発表されたのは、創業から70余年を経た1980年。この靴は、原色ばかりの当時のスポーツシューズの常識を文字通り塗り替える存在となった。グレーはそれからずっと、ブランドのシグネチャーカラーであり続けている。そして2024年5月、グレーの魅力に改めて注目する提案「Grey Days」が世界中で盛り上がった。店舗やオンラインでのキャンペーンのほか、東京では特別イベント「Celebrating the Premium Grey」も開催されていた。会場を訪れると、見事グレーの世界に没入。その奥深さを再認識させられたのである。
そもそも、なぜグレーなのか。答えは〈ニューバランス〉の生まれ故郷・ボストンの街にある。ランナーたちが駆けるのは、コンクリートやアスファルトに覆われた都会の道。つまり、グレーはランニングの背景色だった。その色をシューズに宿せば街並みとマッチし、環境と響き合うだろう…そんな発想でグレーが採用されたのだという。そして、このカラーは「Fearlessly Independent(恐れずに独自性を貫くこと)」の象徴として継承されていった。
硬質で都会的な印象を運ぶグレー。だけど、グレーはクラシックスタイルの象徴でもある。たとえばアメリカらしい洒脱なスーチング文化は、ずっとグレーを愛用してきた。クールでもあるし、セクシーさも醸す。つまりとても振り幅が広く、それでいて芯の強さを感じさせる色なのだ。会場に並ぶとりどりのスタイリングを眺めながら、そんなことを思った。
パネルやムービーに加えて、実際のアーカイブや商品を間近で見ることのできるイベント。会場には、〈ニューバランス〉ファンがひっきりなしに訪れていた。思い思いのスニーカースタイルをひっそり眺めて楽しんでしまった。
毎年のように新素材や新技術が登場する今、普遍的な感性や品格はどこに表れるのか。〈ニューバランス〉の場合、それが「グレー」。走る人も走らない人も、自分らしくインディペンデントに生きようとしたときに選びたくなる色のはず。
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Text_Motoko KUROKI