男の“粋”ってなんだろう?……柄本佑さんと太賀さんが銀ブラしながら考えてみた! 前編

男の“粋”ってなんだろう?……柄本佑さんと太賀さんが銀ブラしながら考えてみた! 前編

Share it!

カッコいい大人の男を模索する2人が、普段はあまり来ないという銀座にやってきた。とある日に、ゆるりと〝銀ブラ〟しながら、男の〝粋〟とは何か探し求める。

柄本佑 太賀

太賀

 銀座は老舗と新しいものがある街。

柄本

セコセコしないし、余裕がある。

柄本佑 太賀

柄本

 ちゃんと見栄を張る人は粋だよね。

太賀

 スーツでキメてバーで飲みたい。

柄本佑 太賀

柄本さん コート ¥86,000(アレッジ │ カラーズ 03-5778-3782)/シャツ ¥24,000(コモリ │ ワグ インク 03-5791-1501)/パンツ ¥32,000(マーカウェア │ パーキング 03-6412-8217)/ベルト ¥18,500(フット・ザ・コーチャー │ ギャラリー・オブ・オーセンティック 03-5808-7515)/シューズ ¥54,000(ソーイ │ エム アイ ユー 03-5457-2166)/ソックス*スタイリスト私物 

太賀さん ジャケット ¥58,000、パンツ ¥36,000(共にコモリ │ ワグ インク)/シャツ ¥27,000(ニュアンス │ アルファ PR 03-5413-3546)/シューズ ¥58,000(フット・ザ・コーチャー │ ギャラリー・オブ・オーセンティック)/ソックス*スタイリスト私物

格を保ち続ける銀座って、粋。

太賀 普段、銀座には来ますか?

柄本 うちの親父が銀座の木挽町育ちというのを聞いていたから、身近に感じてはいるけど、なかなか来れてないね。

太賀 僕もそうですね。今日、歩いてみて思ったのは、自分が生活している街とは違った優雅さみたいなものがあるなと。

柄本 街そのものの器が大きいというか、余裕があるというか、セコセコしていないというか。極めて日本的なんだけど、外国っぽさやハイカラな感じもあっていいよね。大きな建物が並んだ、どーんと開けたメインストリートは壮観。しかも、小道に入ると、いいお店があるんだろうし。もっと銀座のことを知りたくなった。 ……普段は、「シネスイッチ」に映画を観に来るくらいかな。だいぶ前だけど、ゴダールの『さらば、愛の言葉よ』とか。買い物もしないな〜。

太賀 「GINZA SIX」くらい。

柄本 どこ?知らない!

太賀 1年前にできた百貨店みたいなところで「蔦屋書店」とかが入っているオシャレな感じです。歴史のある老舗と、新しいものの両方があって、ほどよく混ざり合ってる。あ、能楽堂もあるみたい。まさに、継承と更新。

柄本 そう、歌舞伎が見たくって。今、見なきゃいけない気がしてる。

太賀 僕も興味あります!

柄本 立ち見席でもよく見えるしね。そういうふうに計算され尽くした劇場だからこそ、長年、続いてるんだろうな。格式が高い感じがあるけど、いちばん安い席は本当に安い。銀座という街そのものが、格式が高いイメージ。そういう場所であり続けること、格や品位を下げずにいることって、すごいですよ。それはどんな仕事でも大事と思う。

太賀 だから、歩いていて気持ちがいいんでしょうね。

柄本佑 太賀

柄本 新橋と銀座の境目って、どのあたりなんだろう。

太賀 コーヒーを飲んだ「カフェーパウリスタ(銀座本店)」の向こうくらいじゃないですか?朝、銀座でコーヒーを飲むの、すごく気分がよかったな〜。

柄本 銀座は道がすごくきれいな感じがしない?新橋にはときどき行くけど、銀座に入った途端、ちょっと緊張するもん。

太賀 〝ここからが銀座だ〟という意識を、街の人が持っているのかもしれない。

柄本 意地とプライドを感じるよね。そういうふうに甘さは一切ないんだけど、見た目には余裕が漂っていて……。

太賀 それは粋ですよね。

柄本 苦労を見せないところがね。そう、昔、木挽町に住んでいたうちのおばあちゃんが亡くなったとき、封の開いてないオムツが出てきたの。それまで誰も気づかなくて、最後までカッコつけるところが粋だなって思ったんだよね。

太賀 ちゃんとカッコつける、見栄を張るっていうのは大事なことなんだなってだんだん、思うようになりました。

柄本 ハッタリというかね。ありのままの姿なんて、別に見たくないもん(笑)。

太賀 そういう、自分のありのままを見せないという部分は、俳優という仕事に通じているところかもしれないです。

知らない人に奢れる男が理想。

太賀 銀座でやってみたいことってありますか?

柄本 一日でいいから、着物を着て、シャッポかぶって、ステッキを持って街を歩いてみたい。50〜60代くらいになってからかな。こんなガキがやったってしょうがないですから。

太賀 カッコいい。僕はテーラーで一張羅をオーダーしてみたいです。スーツを着て、タイを結んで、ビシッとキメて、銀座で飲みたい。

柄本 銀座の街には、そういう格好が馴染むしね。そう、(デヴィッド・)クローネンバーグ監督の作品に、主人公がハエ男になる『ザ・フライ』という映画があるの。そいつは同じスーツを7着持っていて、毎日、同じものを着る。

太賀 デザイナーのトム・ブラウンも、たしか同じグレーのスーツだけを着るらしいです。

柄本 そういう、厳選に厳選を重ねたスーツを着続ける男になりたいなっていう憧れがあって。

太賀 役者って、現場に寝間着みたいな格好で行ってるし、実はなかなかカッコつける機会がない。授賞式の時くらいですから。

柄本 仕事の日は服が用意されているから、究極、ジャージでいいし。だから俺、休みの日に着る服がハロウィンみたい。仮装してる感じだよ。だから、菅田(将暉)氏って、本当にスゴいと思うんだ。

太賀 毎日、キメ込んでるからね!

柄本 尊敬するわ。俺、寒いと着る服の枚数が増えて、暑いと減るくらいの変化しかないもんね。そうそう、あと、知らない人に奢ってみたい!

太賀 素敵ですね。

柄本 うちの親父が蕎麦屋に行ったときに、食べて飲んでお会計をしようとしたら、「もう済んでます」って言われて。「え?」と思ってたら、店員さんが「あちらの方です」と。見ると、ベストまで着たスーツ姿のおじさんが、机の上にシャッポを置いて、ちびちび食べている。で、「ありがとうございます」とお礼を言ったら、顔も上げずに少しだけ頭をさげたんだって。

太賀 カッコいいな〜。

柄本 〝いつも見てます、贔屓にしてます〟ってことなんだろうけど、そういうことができるのは本当にカッコいい。「サインください」とか言うと野暮なわけだから。粋だし、親父、いい経験をしてるなって思ったよ。だから、それを俺もやってみたい。もうね、誰彼かまわず奢っちゃうかも。相手は「何で?」と思うだろうけどね(笑)。

太賀 多分、テレビのどっきりだと思われますよ(笑)。

銀座では、人が看板になる。

太賀 銀座の夜の顔も、もっと知りたいと思いました。六本木や麻布とは、またちょっと雰囲気違いますよね。銀座はバーも多いようで、有名な「ルパン」とか行ってみたいです。

柄本 そういうところがあるんだね。

太賀 太宰治が、そこで写真を撮っていたりするんですよ。今年で創業90年くらいみたいで。

柄本 文壇バーみたいなところなのかな。(バーの情報を見ながら)泉鏡花、菊池寛、川端康成も来てる。

太賀 画家の藤田嗣治も!銀座は、場所に酔うってこともありそうですよね。空間や、接客してくれる人だったり……。人が看板になっているお店もたくさんあるだろうし。

柄本 やっぱり、半端なやつは銀座で店を出せないでしょう。

太賀 それこそ、品格が必要になってくるだろうし。

柄本 〝おいっす、おいっす〜〟みたいな、ノリだけではできないよ。きっと、京都の祇園とかもそうなんだろうな。

太賀 街に節度があるし、超えちゃいけない一線とか、ルールみたいなものがある感じがします。

柄本 そういうふうに、来た人に勝手に思わせる品格があるってことですよ。

太賀 銀座って、銭湯もあるらしいんです。最高じゃないですか?

柄本 えー、もうね、夜に来るしかない。

太賀 一緒にお風呂に入って、立ち飲みとかバーを何軒かはしごして飲んで〜ってやりたいですよね。もっと語れるくらいに、夜の銀座に行くようにしたい!

柄本 銀座を知るには、まだまだ時間と経験が足りないね。

太賀

朝から〝銀ブラ〟は、気分がいいね。

柄本

気持ちが豊かになることって大事。

〝粋〟な店
カフェーパウリスタ 銀座本店

銀ブラ(=銀座でブラジルコーヒーを飲む)という言葉の発祥の地といわれる創業108年の老舗。コーヒー ¥650〜。

住所: 中央区銀座8-9 長崎センタービル1F
Tel: 03-357​2-6160
営業時間: 8:30〜21:30、日祝11:30〜20:00 
: 無休

●後編はこちらから

柄本 佑 えもと・たすく

1986年、映画『美しい夏キリシマ』で主演デビュー。『素敵なダイナマイトスキャンダル』『きみの鳥はうたえる』に続き、主演映画『ポルトの恋人たち 時の記憶』が現在公開中。

太賀 たいが

1993年、東京都出身。主演映画『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が公開中。ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系/日曜夜10時30分〜)に出演中。次号より、連載がスタート。お楽しみに。

Photo: Masumi Ishida Stylist: Michio Hayashi Hair & Make-up: Shinya Kawamura (mod’s hair_Tasuku Emoto)/Masaki Takahashi (Taiga) Text: Aya Shigenobu

GINZA2018年12月号掲載

Share it!

FOLLOW US

GINZA公式アカウント