14 May 2021
菅田将暉×神木隆之介×仲野太賀『コントが始まる』4話 「マクベス」は、夢を延長するつらさに解散してしまうのか

『コントが始まる』(日本テレビ 毎週土曜夜10時〜)第4話の導入コントは「捨て猫」。唯一瞬太(神木隆之介)が書いたものだ。ここへ来て、3話までの展開で「マクベス」の3人(菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀)はもう解散しなくていいんじゃない? と応援していた気持ちが揺さぶられた。ドラマもお笑いも大好きなゲーム作家・米光一成も衝撃を受けながら「マクベス」の運命を再考する。
「続けてほしい」と応援する気持ちに
「次回の6月の単独ライブを持ちましてマクベス解散することになりました」
第1話で解散を発表したコントトリオ「マクベス」。
第2話、第3話で、「『マクベス』続けてもいいのでは?」感がどんどん強くなってきた。
「私の人生の支えになりました」と言ってくれるファン中浜里穂子(有村架純)も現れた(第1話)
「解散を撤回してもういちどやろう」とマネージャー(中村倫也)にも続けろと説得される(第2話)。
潤平の恋人夏美も「本気で続けたいなら応援するって」と言う(第2話)。
潤平の実家の酒店も義兄が脱サラして継ぐ話が進んでいる(第3話)。
春斗の兄は引きこもりから脱した。「お前は好きなことをやれ。両親をおとなしくさせるのは長男の役目だ」と兄に言われる。
どんどん辞める理由がなくなっている。
観ているこちらも「続けてほしい」と応援する気持ちになっている。
まさかの真壁先生!
第4話、そこを揺さぶってきた。
「マクベス」の名前の由来でもある恩師の真壁権助先生(鈴木浩介)に相談する春斗と潤平。
潤平「続けたほうがいいのか、解散したほうがいいのか。率直な意見を聞きたい」真壁先生「ま、そりゃ。解散したほうがいいと思うぞ」
真壁先生の決めフレーズ「しゃにむにやれよ」で「続けろ」と背中を押してくれると予想していたふたりは、まったく違う答えに「マジかー」と笑ってしまう。
潤平「それは、どうしてそう思うの」
真壁先生「ちょっとだけわかるんだよな。夢を追いかけるつらさがさ。ま、これまでも、いろいろとつらかったと思う。でも18から28までと、これから先の10年は別次元の苦しみだぞ。充分やったんじゃないのか」
ドラマ的なドリームを剥ぎ取るストレートで重い意見。安易に「マクベス続ければいいのに!」と祈りながらドラマとして観ていた気持ちが打ち砕かれる。
「わんわんわん」に込められた思い
同時進行するのが、瞬太と母親のエピソード。
やることなすこと否定する母親と絶縁している瞬太。もう7、8年も会っていない。
「マクベス」のコントは春斗が台本を書いているが、コント「捨て猫」だけは瞬太の台本。
捨て猫を演じる春斗(菅田将暉)と、「俺が飼い主を選んでいるんだ」と言いはる野良猫役の瞬太(神木隆之介)。
つむぎの助けもあって、母親が亡くなる直前に、瞬太は病院へ行く。ベットに横たわる母親に語る瞬太。
コント「捨て猫」のラスト。コント上では拾ってもらうために犬のマネをして「わんわんわん」と吠えている野良猫瞬太だ。だが、その「わんわんわん」は、瞬太がアルバイト先で世話になっている焼き鳥屋の大将の決めフレーズである「皮ハツ軟骨わんわんわん!」の「わんわんわん」でもある。
「親だと思ってくれてかまわねぇからな」「入ったときからそのつもりです」と瞬太と大将が交わした短い会話で伝えられた思いが、そこには反映されている。
瞬太には理由がなくなった
瞬太は、春斗と潤平に「だって俺にはもう『マクベス』しかなくなっちゃったんだよな」と言う。
だが、考えてみると、瞬太が金髪にしたのも、コントをやっているのも、母親への反発心からだったのではないか。その母親を失った瞬太は、マクベスを続ける直接的な理由を失ったともいえる。
「マクベス」は解散するのか、しないのか。
第5話は、コント「カラオケボックス」。
予告編で、潤平の「続けんのも地獄、辞めんのも地獄。どっち行っても茨の道だよ」という言葉。そして瞬太の「夢を語り合える時間があればそれだけで幸せだった」という言葉(過去形!)。重大な決断が下される回になりそうだ。
『コントが始まる』公式サイト(日本テレビ)
脚本: 金子茂樹
演出: 猪股隆一、金井紘
出演: 菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀、有村架純、古川琴音、松田ゆう姫 他
主題歌: あいみょん「愛を知るまでは」
Edit: Yukiko Arai